63 海についた
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「うわぁ!!うみ〜〜!!ねぇねえ!海だよ!」
電車から降りて、駅のホームから真正面に見える海を見て、夏帆がそう叫ぶ。
夏帆の家の最寄り駅から電車に揺られること約3時間。ようやく、目的の駅に到着した。
その駅は、俺たちがいつも利用している駅と比べると、古く昔ながらの趣が残っている駅だった。
一泊二日なので、キャリーバッグを引きながら降りた目の前には、夏帆が言った通りに海が広がっていた。
ビーチが有名なこの港町は、漁業が盛んで新鮮な魚を求めて全国から観光客がたくさん集結する街であった。
取り敢えず、駅の改札から出る。すると、道路を一つ挟んだ向こう側にビーチが広がっている。海には、サーファーや観光客、バカンスを楽しむ人たちが大勢いた。
「ねえねえ!さっそく海いこ?」
夏帆は海の方を指差して俺の腕を引っ張って連れて行こうとする。しかし、
「ちょっと待て、海もいいけど、先にホテルにチェックインだ」
「ええ〜。先に海がよかったぁ……」
「荷物が多いだろ?それぞれの部屋に置かないと……」
「へ………?あ、うん、そ、そうだね。それぞれの……」
「ん?どうした?」
「い、いや!なんでもないよ!ちゃんと予約はしたから!」
予約の仕方などよくわからない俺がホテルに予約など取れるはずがない。なのでここは夏帆に頼んだのだ。
夏帆によると、この時期は混んでいてなかなか部屋が取れないが、ギリギリ部屋が取れたらしい。
尚、その旅館は高校生だけでも泊まれるプランのついたホテルだった。
一応、保険のために夏帆がおばあちゃんに合宿のときホテルに泊まるから同意書を書いてくれと頼んでくれた。
普通なら、合宿で同意書?と違和感を覚えるはずだが、夏帆のおばあちゃんは、「今どきの合宿はそんなのも書かないといけないのねぇ……」と言いながら同意書にサインとハンコを押してくれた。これで多分、夏帆は大丈夫であろう。
俺の場合は、クラブユースが全国出場して、誘われたことにしている。
それで俺は本メンバーじゃないからという理由で同意書を書いてもらった。
犯罪すれすれだが、問題ない!…………か?
まあ、なんとかなるだろう。
最悪の場合18歳の高校生ってことで年内詐称すればいいし………(立派な犯罪)
俺たちは、自分たちのキャリーバッグを引きながら、ホテルを目指した。ガンガンと容赦なく照りつける太陽に負けそうになりながらも歩くこと約15分。
ようやく目的のホテルに到着した。
取り敢えず、ホテルの中に入ってチェックインする。
「ようこそ、お越しくださいました。」
「あの、予約していた西条なんですけども………」
「少々お待ちください……………西条さま、2名でのご予約で間違いないでしょうか?」
「はい、間違いないです」
「では、こちらの用紙に……」
その後、夏帆がチェックインのために色々書いたが特に高校生のことについては問題なかったらしい。
というか問われなかったそうだ。
俺は何故か夏帆に言われて離れた場所でキャリーバッグを守っていたのだが、チェックインが終わった夏帆にそう言われた。
どうやら、夏帆は高校生プランがあるホテルを選んだらしいがそのプランにはしていなかったようだ。
じゃあなんで、プランのあるホテル選んだんだよ?
と言いたくなるが、これも夏帆の保険なのだろう。
もしバレた時に、プランのあるホテルなら注意だけで済むかもしれないし、どのみち同意書もあるから、これをいつ見せればいいかわからなかったと言ってしまえばそれでいい。尋ねられなかったんだから、ホテル側に落ち度があるため、そこまで大ごとにはならないだろう。
「ただ今、まだ前日宿泊されたお客様がいらっしゃるためにまだお部屋にお入りになることはできません。3時になりましたら、鍵を渡しますのでそれまでこちらのロビーにて、ごゆるりと………」
普通チェックインは、早くて2時なのだが、今はまだ10時半。やっと前日の客がチェックアウトする時間帯だ。
どうやら早くチェックインし過ぎてしまったようだ。
夏帆はそれをわかっていて、俺を離れた場所に置いて待たせていたのか?
どうせロビーに案内されると知っていたからか?
本当のことはわからないがそうだと信じたい。
本来なら、まだチェックイン出来ませんと追い返されるところだが、優しいフロントマンさんは、チェックインさせてくれたようだ。
そこについては感謝しかないのだが、この荷物をどうにかしないと海に行けない。ここで2時まで寛いでいるのもかなりの時間ロスだしどうしようか…………
しばらく考えた俺はある案を考え付き、ダメ元でフロントに向かってみた。
「あの……」
「はい、西条様。いかがなされましたか?」
「これから外出したいんですが………」
「お荷物、どうされます?もしよろしければ、フロントで一回預かりましょうか?」
なんて、優しいフロントマンなんだ。
サービス精神が凄すぎる。
「いいんですか?」
「はい、ビーチだとお荷物が熱くなってしまいますから」
「ビーチに行くってわかってたんですね」
「はい、先程から彼女さまでしょうか?」
「はい。」
「キャリーバッグの中からパラソルや折りたたみ椅子を出していたのでもしかしてと思い……」
「え?」
そう言って微笑むホテルマン。俺は慌てて夏帆の方を向いた。すると、夏帆がキャリーバッグからビーチで使う道具を出して、他の袋に詰め込んでいたのだ。
本来なら、部屋でやるべきことなのだが……部屋に行けなかったので仕方ない。
「きっと、すごく楽しみにしていたのでしょうね。あの笑顔からそれがすごく伝わってきますよ」
「は、はぁ……そうですね」
たしかに、分別は大切だが、場所を選ぼう。流石にホテルのロビーでやられるとは思ってなかった。
俺は夏帆の方に歩いて行き、
「さすがにロビーで広げるはまずいでしょう……」
「だって、部屋に入らないから仕方ないじゃん。それに最低限のしか広げてないから他人の迷惑にはならないと思うけど。」
「人目を気にしような?」
「誰もいないけど?」
確かに今、お客さんはいなかった。
「ホテルマンさんがいるだろう」
「いいよ。一人ぐらい。これからの楽しみに比べたら」
夏帆は本当に楽しみにしている様子でこれ以上強くは言えなかった。
海に持っていくものをバックに詰め込んだ後に、キャリーバッグをフロントに置いてもらった。
本当にすみません。
と海に行く前にホテルマンの人に一回謝ってから俺たちは海に向かった。
ようやく待ちに待った、夏帆との海だ。
次回から海水浴になります。




