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62 出発

久しぶりの投稿となってしまいすみません。




まだ、太陽も完全に上りきっていない、早朝。弱い日差しがカーテンに刺さり真っ暗な部屋を少し明るくする。


本当ならまだ寝ていたい時間だ。しかし、俺は目を覚ましてしまった。


太陽の光のお陰ではない。

むしろ太陽の光で起きれたらよかったのに…………


俺が起きた理由、それは着信音である。


容赦なく耳元でプルプル鳴る携帯電話。こんな目覚ましコールは求めていないぞ!と電話を掛けてきた相手に言ってやりたくなる。


まあ、だいたい予想はついているのだが…………


携帯を取って画面を見てみると、やっぱりだ。

まだ少し………いや、かなり眠いので眠気を覚ますために目をこすりながら電話に出た。


「ふぁ……もしもし?」


「あ?洸夜?」


電話の相手は夏帆だった。


「どうした?こんな朝っぱらから………」


「えっ!!だって、今日は、約束の日じゃん!忘れたの?」


「いやいや、そんなことはないぞ、全然忘れてない……」


なんか眠たくなってくる。


「洸夜………もしかしてまだ眠たい?」


「ああ、凄くな」


「私、目覚ましコールしようと思って……少し早かった?」


「少しと言うか、かなりだな。今何時かわかるか?」


「え?午前5時?」


「俺、健康的なご老人じゃないんだよ。朝の目覚ましコールにしては、設定がアレだったな。それに、夏帆の家に迎えに行くのが確か7時半だったよな?それならもっと遅くでも………」


「あ、えっとね…………それなんだけど………」


「なんだ?」


歯切れが悪そうに話す夏帆の声を聞いて俺はなんか嫌な予感がした。


「あのさ、落ち着いて聞いてね?」


「落ち着いてるけど……」


「も、もしもだよ?もしもだからね?い、今、私が洸夜の家の前にいるって言ったらどうする?」


「なんだよ、そのホラーな展開……」


「え?ほ、ホラー?」


「普通に怖い……」


「そ、そうだよね!うん、じょ、じょーだんだから、じゃ、後で迎えきてね!」


そうやって今すぐにでも電話を切りそうな勢いで喋る夏帆に、


「今から帰ったら二度手間だろ?うちに上がれよ?」


と言った。

いやね、あれだけ言われたら信じたくないけど、信じるほかないからな、途中から階段降る音まで聞こえたらもうそりゃ確信するだろ普通。


その言葉を聞いて、「えっ……」と電話の先で硬まる夏帆。


俺は、電話を繋いだまま家を出て階段で止まってしまっている夏帆を無理やり引っ張ってうちに上げた。


「なんでこんな早く………しかも、俺の家に……」


家に入れて、座らせてお茶を出してから夏帆にこう尋ねた。すると、


「だ、だってぇ………たのしみだったんだもん。いいじゃん。お泊まりだよ?寝れるわけないじゃん……」


とウルウルしながら言われたので降参した。


さて、この後二度寝など出来る訳もなく睡眠時間が強制的に削られた俺だが、朝食を作った。


夏帆もどうやら食べていなかったらしく、二人分だ。


そして、食卓を二人で囲む。思えばこれは、初めてかもしれない。片方の家に入りちゃんとしたご飯を一緒に食べる。


なんか、半同棲気分だった。



ご飯を食べ終わると、俺は食器を洗う。これから1泊2日だし放置なんてもってのほかだ。

だから、先に食べ終わると食器を持っていき洗っていると、


「私も手伝う」


そう言って夏帆も近づいてきた。


「いや、大丈夫だから」


「私だって一人暮らしなんだから、洗い物くらいできるし!」


「そうじゃなくて、一人で洗えるから……」


「手伝う!」


「女子が自ら手を荒させるようなことするな、こういうのは手とかオシャレしない男がやっとけばいいんだよ」


「な、なにそれ。」


「だから、お前の手を荒れさせたくないから、洗い物しなくていい」


「そ、そう。そこまで気遣ってくれるんだ……ありがと……」


「気にするな」


俺がそう言うと夏帆は、俺の身体を背後からぎゅっと抱きしめてきた。


「お、おい」


「優しい洸夜見てたら、ついぎゅっとしたくなっちゃった……」


「でも、今、洗い物中だから……」


「大丈夫。支障はないはず……」


「最近、スキンシップ多くないか?」


「問題ないよ。だって付き合ってるし」


そんなことを直球に言われるとなんだか改めて恥ずかしくなった。


その場の恥ずかしさを紛らわせるために、


「こうやって毎日これを義務のようにやってる主婦は凄いよな」


思ったことを言った。

しかし夏帆は、


「え?ハグが?」


と見当違いなことを言う。

そっちじゃないだろ。洗い物だろ普通。

なんで主婦がハグを義務化させて毎日やってんだよ。仲睦まじくていいと思うけどさ………


「違う。洗い物な!」


「そっか……そっちね……」


「そうだよ……」


「うん。そうだね。洗い物とか、手荒れがひどい人もいるだろうけど、やってるんだもん凄いよ」


俺の言葉に夏帆も頷く。


俺も洗剤負けしやすい方だから手が荒れるのはよくわかる。だからこそ、女子にはさせるべきではないと俺は思っている。

こんなことを文句ひとつ言わずにやってる主婦は凄いと改めて思った。


その後、色々片付けやら準備やらをして、ようやく出発の準備が整った。今から、海に向かう。


次回は、出来ればこの土日のどちらかに………

と思っておりますので、よろしくお願いします。

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