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61 終業式

最終章、開幕よろしくお願いします!



あれから、数週間が過ぎた。あの後から棚山は夏帆に積極的には近づいて来ず、かと言って疎遠にはなっていない丁度いい距離感を保っていた。


俺はこの学校にいなく見られていないはずなのに、勝負の結果をしっかり受け止めて律儀なやつである。


相変わらず、俺には微妙な絡みをしてくるがそれを抜けば煩わしいことなど何もない…………いや、あるな………


この暑さが煩わしい!!


七月の下旬に差し掛かると暑さも加減を知らなくなる。教室にはクーラーが効いているため授業中は大丈夫だが、廊下に出るとサウナであった。


早急に生徒会で話し合い廊下にクーラーを設置しなければである。


さて、かなり脱線したが、その後の夏帆とも順調であった。

あの件から一気に距離が近づいたと言えばいいのか、夏帆は積極的に電話をかけてくるようになった。


毎日、深夜にかけてきて「一緒に勉強しよ〜〜」と言ってくる。

前回のテストでいい点数を取ったからかわからないが夏帆はとても勉強熱心になっていた。


今は毎日のように、片方が寝落ちするまで、通話しながら勉強している。


これで通信量が若干上がったが、夏帆のためだ。仕方ない。

尚、あの後、バイトを休みすぎて店長に怒られたことは言うまでもない。お陰でかなりハードなシフトになった。


またまた脱線してしまったが、実は今、終業式の途中である。

校長先生のどうでもいい話………おっと、とてもありがたいお話を聞きながら俺は、このことを考えていたのだ。


もう既に10分ほど立ちながら、校長先生の話を聞いている。うちの学校の校長先生は、やたら名言を残したがる。

そして、なんか言ったと思えば、その後に続くのは世間話や自分の話。


もう、終業式が40分ある理由はこれにあると思う。

教頭先生さえもあくびをしてしまっている。教師がこんな感じだから俺が話を聞いてなくても別にいいだろう。


この後、更に10分ほど話して気分が良くなった校長先生は上機嫌で降段した。話が終わると教頭先生が、


「他にもありましたが、時間の関係により各自教室でおこなってください」


と言って終業式を終わらせた。


それでいいのか、教頭先生………


俺らとしたら別にどちらでもいい……っていうか、ラッキーだったが…………


こんな感じで終業式は校長先生の演説だけをして終了した。


この後、各教室でその後の諸連絡や通知表が配られてその日の学校も無事に終わりを迎えたのだ。



いよいよ、明日から夏休みである。



今日が一学期の最後の日だからといって俺たちの放課後は何一つ変わらない。


放課後は、生徒会室に向かい、仕事をして、夏休み中の当番制のことについてミーティング。

この生徒会は根本からおかしくて夏休みは当番制になる。

それぞれの生徒会役員が、決まった日に登校してその日に仕事をするのだ。

全員で登校して仕事をしないのなんてあんまりないんじゃないか?と思うが、俺はこの当番制、賛成である。


何故かは、多分もうわかるだろう。


バイトがハードだからだ。半日シフトだと取り返せない可能性が高いので1日シフトの方がいい。

よって一日休みがある当番制に賛成だ。



生徒会の仕事を終えて、駅に向かい電車に乗り、いつもの喫茶店で待ち合わせ。

そして、夏帆といつも通りに合流する。


7時になると、夏帆が到着して、俺たちは老人ホームに向かった。


その道中、夏帆がこんなことを話してきた。



「ねえねえ、洸夜って夏休みの予定とかあるの?」


「あるさ、そりゃ………生徒会にバイトがある………」


「そ、そっか……………」


夏帆は、それをそれを聞くと少し顔を暗くしてしょんぼりした。


「ど、どうした?なんか、あるか?」


「い、いや………別に、それほどのものでもないし………忙しいなら別にいいし………」


夏帆はなんだか拗ねた感じで、中々話してくれない。


「なんか、あるなら話してくれ。なんか、それ凄く気になる。忙しくてもどうにかするから、教えてくれ」


俺が夏帆に頼み込むと、夏帆はようやく話してくれて


「前、プールに行った時あったじゃん?」


「あ、あったな………泳ぎの練習に行ったときか……」


「そうそう………その時、私、スク水でさ、ビキニじゃないから洸夜がなんか拗ねたじゃん?」


「あ、そうだったな………って、ちょっと待て。なんか話がちがうぞ?」


「いやいや、全然違わない。拗ねてたじゃん?」


「いやいや、そんなこと………」


「拗ねてた!」


「はい………」


「だから、今度海に行く時着るって約束したじゃん?」


「言ってたなぁ……そんなこと………」


「だからいこ?」


「は?」


「だから、一泊二日でどっか海あるとこいこ?」


「いっ、一泊二日か?」


「うん。もちろん。おばあちゃんには部活の遠征とか言えばいいし………」


「でも………一泊二日は…………」


「えっ?……………ダッ、ダメ?」


「っ………わ、わかった………今から金貯めとく……」


「約束ねっ!」


俺の言葉を聞いた瞬間に彼女はパァーッと笑顔を見せる。

夏休み、夏帆との一泊二日の海旅行決定。


そして、俺の財布も破産決定。

新作候補の短編を書いてみました。

読んで頂けると嬉しいです!!




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