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54 対決 野球編②





俺は再び打席に立つと一回深く深呼吸をした。もうそろそろ一球目がくる。

絶対に逃さない。俺は、視線を一点に集中させ、ボールが放たれるのを待った。



すると、ピッチャーの映像がが動き出し、ボールが放たれた。


やっぱり、ゆっくりだな。



初球であるため少し不安であったが目は慣れたままであった。放たれたボールが凄く遅く感じた。

球種は、ストレート。



俺はタイミングを合わせて思いっきりバットを振った。



カキーン!



甲子園に響き渡るくらいのバットの音がバッティングセンターに響き渡った。

ボールが飛んでいく瞬間に俺は、ホームランを確信した。


俺の思った通りにボールは高く上がりホームランボードにバン!と大きな音を立てて当たった。


初球でホームラン。


その事実が未だに信じられないのか、棚山ほか、男子たち、夢葉や奈美、夏帆は一言も言葉を発せていない。


しかし、他の打席で打っていた人が拍手を送ると、事態を呑み込んだみんなは次第に声を上げる。


「やばいだろ………初球って……」


「まさか、だよな……」


男子たちはがっくりして、夢葉たちは、


「ナイスーー!!すごいよぉ!!洸くんやっぱり凄い!!」


「洸くんって何でもできる系?すごくね?」


「いいよ!洸くん!練習の成果だね!!」


と賞賛の嵐。


一方で棚山は、


「くそっ!ストレートじゃ打てるかっ!変化球にすればよかった!!」


と悔しがっていた。

俺が打てないとでも思っていたのだろうか?

あれだけ本気でいくと言っていたのに、心のどこかで俺を下に見ていたんだろう。


その結果がこれだ。最初からやっておけばよかったものの………


「もう、変化球しかやらねぇ……」


歯ぎしりしながら棚山は、言う。

どうやら、ストレートはもう投げないらしい。


情報提供までしてくれて本当親切な相手である。


変化球なら俺は打てないだろうと思っているのだろうが、問題ない。トラウマ(れんしゅう)済みだ。


2球目は、スライダーを投げてきたが、もう俺の流れは止まらない。

もう一回ホームランを打ってしまっているから流れに乗るなと言う方が無理な話である。


カキーン!


「うわ……」


「まじか………」


素晴らしい音を立てて、ホームランボードに当たると、男子軍たちは、落胆した。これで6点。次で勝負を決める。



3球目、棚山のボタンを押す手は震えまくっていた。

だってこれでヒットを打たれて仕舞えば、自分の勝ちはなくなる。ホームランならゲームセットだ。

棚山は、ようやくボタンを押す。

ボールが機械から放たれた。


さて、どんな球種が来るのかは、知らないが。



――もう、大丈夫だ。ゲームセット。



カキーン!!



投げられた球種はカーブボール。俺が棚山にホームランを打たれた球種だった。


これで終わりだ。



ボールは、高く上がりまたまたホームランボードに直撃した。


その音が第一回戦目の終了を報せる。

まだ、7球残っているがこの時点で棚山のポイントを超えてしまったからもうやる意味がない。


第一回戦目の野球。


結果は、俺のストレート勝ち。


幸先の良いスタートを切ることが出来た。



バッターボックスから出ると、女子たちが祝福してくれる。


「さすが、洸くん!」


「ストレート勝ち、カッコよかったよ!!」


「洸くん、練習の成果が出てよかった……」


夏帆はホッとしたのか、安堵した表情を浮かべていた。



一方で男子軍は、落ち込んでいた。

棚山が戻ってくると、


「残念だったな……」


と励ますことも忘れない。いい友情のシーンであった。棚山も落胆した様子だったが、自分の頰を両手でバシッと叩いて喝を入れた。


「一回戦目は負けたが、二回戦目は、俺が勝つ。二回戦目は、水泳だ!場所は市民プールだからさっさと来い!」


そう言った棚山は、先にバッティングセンターを出て行った。


切り替えがいいのは長所だが、あの切り替えはいささか無理矢理過ぎた気がした。


負けた時の顔は絶望に近い表情をしていたのに、大丈夫だろうか?


まあ、棚山はサッカー部だし、切り替えは多く求められる。そういうところで慣れているかもしれないので余計な口出しはしなかった。


次は水泳。


いささか不安な競技だが………こっちもストレート勝ちしてやる!


そう意気込んで俺たちは、バッティングセンターを後にした。

次回は、水泳です。



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