50 練習 バッティングセンター編
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7月4日。
土曜日の午後、俺はいつもの喫茶店の前にいた。
休日の午後になぜ?
それは、ばあちゃんの誕生日の日。誕生会の終了後の帰路の会話から始まる。
○
ばあちゃんの誕生会が終わって、飾り付けなどを外し全部片付けてから老人ホームを出た。
外を出る頃には夜の十時半を過ぎていた。もう、かなりの夜である。もしかしたら補導される可能性すらある。
俺たちは、警察に遭遇しないように歩いた。もう月はかなり上まで上っている。
これ、ホントに遅くなった………ちょっと、失敗したなぁ……
と反省していると隣の夏帆が、
「ねえ、そう言えば、対戦のことだけど、日に日に近くなってるね……」
と言ってきた。俺が負けるかもしれないと不安になっているのだろうか?
しかし、大丈夫だ。勝てる自信もないけど、負ける自信もない。どうにかなる………いや、どうにかしてみせる。
種目の中には俺が以前習っていたスポーツも含まれている。
サッカー、陸上。
この二種目は勝てる自信がある……のだが、残りのテニス、野球、水泳………
テニスはまだ、やったことがあるのだが、野球なんて学校の授業で少しキャッチボールをしたぐらいだし、水泳なんて小学生の授業を最後に一回もしてない。
だからクロールしかできない。
種目で、平泳ぎとか背泳ぎ、バタフライなんて言われたら勝てるわけがない。
とにかく、まとめると、野球と水泳が不安であった。
「まあ、俺の得意の種目もあるんだけど……あんまりやってない種目もあるからなぁ。少し不安だ……」
「不安なの?」
「ああ、不安だ」
「どの種目?」
「野球と水泳だな。授業でしかやったとかないから、制球対決とか、ホームラン対決とかされたら困るな」
「まあ、野球は、多分、バッティングセンターでバッティング勝負だと思うよ?」
「そうか……バッティングか……自信ないな……」
「自信ないの?」
「ああ、バッティングはな……」
「ねえ、洸夜……」
夏帆が俺の名前を呼んで袖を引っ張ってくる。
「ん?どうした?」
俺もそれに答えた。すると夏帆は、
「………あさって空いてる?」
「あさって?土曜日か?」
「うん……」
「午前はバイトだが………」
「じゃあ、午後は?」
「別に問題ないけど………」
「じゃあ、練習しよ?」
「練習?バッティングのか?」
「うん、バッティングの練習、ついでに不安の水泳も練習しよ?私、水泳得意だから」
「そうなのか?」
「うん、任せて!」
「ああ、わかった。頼むな」
「任せなさい!」
そんな感じで今に至る。
午後一時が集合時間。
俺は十分前に来て待機していた。すると、夏帆も俺から遅れること五分。いつもの喫茶店に到着した。
今日は快晴で蒸し暑く、太陽を恨みたいほどガンガン照りだ。地球温暖化防止に努めたくなる。
フロンを使わないように気をつけましょう。
さて、地球温暖化防止の呼びかけもバッチリ出来たところで、さっそくバッティングセンターに向かいたいのだが………
夏帆の服装が張り切っている。
すごく夏っぽい服装だ。白シャツに、白プリッツスカートが凄く可愛い。ふんわりとしたシフォン素材のプリッツスカート。全身白に統一することにより涼しく見える。とても、綺麗だ。これだけは確かであった。
「その服、似合ってる」
「ありがとう……」
服を褒めると、なんだが照れた様子でお礼を言う夏帆。その照れた様子も見ていて癒しになる。
俺たちは手を繋いで、バッティングセンターに向かった。
バッティングセンターに到着すると、人が沢山いた。
こんな暑いのに………
野球少年たちは、全身汗グッチョリになりながらも必死になってバットを振っていた。
ああやって日々努力をする人が甲子園に行けるんだろうなぁ……
頑張っている野球少年たちが輝いて見えた。
バッティングセンターの唯一の短所は屋外にあることだと思う。
夏場に来ると、本当に暑いのだ。クーラーなんて付いているわけもないし、風もろくに通らない。
ただムシムシするだけだ。そんな中、俺は、まず80キロのバッターボックスに入った。
右打ちのストレートのみ。これが一番遅い球速なので、こっから挑戦。
まず1球目は、球のスピードを見た。思っていたのと違って意外にゆっくりだった。
これなら余裕かもしれない。そう思って次を構える。
専門用語がわからないがあのピッチャーの映像がボールを投げると、機械からボールが出てきた。俺はそれをよく見てバットを振った。
がぎん!
バットにボールが当たったがあの気持ちいい音ではない。
そして、ボールは前に飛んでなかった。
どこ行ったんだ?
と思い後ろを向いてみると、あった。
ファールボールだった。
しかし、コツがつかめた気がする。
3球目も同じような感覚であってみると今度はゴロだったが前の方へ飛んだ。
「いいかんじだよ〜〜。もっと球速あげてみたら?」
バッターボックスの外にいる夏帆がそう言った。確かにその通りかもしれない。
本番ならもっと早い球速な筈だ。俺は一気に100キロのバッターボックスに入った。
「え?もう100キロ?まだ90キロとかでも……」
「いや、感覚掴めたから、このまま維持させたい」
「そ、そうなんだ……このバッターボックス球速調整が自分でできるらしいから。 私やろっか?」
そう言って夏帆がバッターボックスに入ってきた。一応、球速調整のところにはボールが当たらないように壁がある。
多分大丈夫だと思うが………
夏帆がせっかく手伝ってくれるのだから俺は、夏帆に球速調整を任せることにした。
「じゃあ、まず。90のストレートね」
そう言ってから五秒後。
先程よりも早いボールがこっちに向かってきた。俺は慌ててバットを振るが空振り。
やっぱり、80をみてから90をみると速く感じる。
しかし、打てるようにならなければ。
「もう一回、90のストレートね〜〜」
今度こそ、打ってやる。俺は集中した。
ピッチングマシーンから、ボールが放たれる。二球目なだけあって目は慣れている。
俺はバットをタイミングよく振った。
カキン!
いい音がして、ボールが飛んだ。ホームランボードにはつかなかったが、結構いいあたりだった。
「すごいよ!ヒットだね!じゃあ、次は100キロいってみよー」
俺が打ったことでテンションが上がったのか、容赦なく100キロ宣言をする夏帆。
たまに容赦がない。
だが、やってやろうじゃないか!
俺はバットを構えると、ボール放たれた。
ビュン!
素晴らしいストレートだった。やはり速くて初見は無理だった。だが、二球目で修正するのだ。もう一回見た。
俺がバットを構えると、またボールが放たれる。速い……やっぱり速いが………
もう大丈夫だ。
俺は思いっきりバットを振った。
カキーン!
甲子園で打者がホームランを出したときのようなそんないい音がバッティングセンターに響いた。
「…………お?これは、いったか?………これは、大きなあたりだぁぁぁ!!お?伸びて伸びて伸びて入ったァァァッ!!
見事なホームランです!!!」
隣のバッターボックスにいたおじさんが突然のアナウンス。
俺はそれに一番ビビった。
セルフアナウンスってあるんですね。
俺のホームランを見終わった、隣のバッターボックスのおじさんは、
「キミ!若いのにスジがいいじゃないか!いやぁ!いいもんを見せてもらった!」と一人満足そうにしてバッターボックスを出て行った。
なんだったんだ………
俺は呆然とする。
すると、夏帆が後ろで、
「まさか………100キロを二球目で捉えるとは………さすが洸夜……だけど!!今度は球速ランダムだあ!」
火が付いたように夏帆は、ボタンを押す。すると、ピッチングマシーンからボールが放たれた。俺は急いで構えたが間に合わなかったのだ。球が速すぎて、
「おい、夏帆。今の何キロだ?」
「130キロストレート」
「俺、プロじゃないけど」
「じゃあ、110キロからにする……」
「それもかなりの難易度じゃないか?」
そう夏帆に言ったが夏帆は聞く耳を持たない。なんでこんなに対抗心を燃やしているのだろうか?
元はと言えば、手伝ってくれる約束だったのに。
またピッチングマシーンから、ボールが放たれた。今度は130キロよりも遅い。
俺も目がかなり慣れていたので、バットを振ろうとした……その時、
急に球が下に沈んだ。
…………おい
「夏帆?なんかしただろ?」
「え?球速は100キロだよ?別に問題はないと思うけど……」
「球速はな!球種なににした?」
「フォークボール」
「プロじゃないけど……」
「わかった、じゃあ今度から、スライダーとかカーブとかにする。ご所望ならシンカー」
「何度も言うが、プロじゃないんだけど。バリバリの初心者なんだけど?」
「だって!こんなすぐにマスターされたらせっかくのバッティングセンターデートが台無しじゃん!」
「面白いデートだな。もう既に対抗心を燃やしてる時点でデートかどうかも怪しいんだけど……」
「よしっ!!練習しよ?」
「揉み消した………」
その後、俺たちは三時間ほど、みっちりバッティング練習をした。
そのせいか俺は、120キロを余裕で打てるようになってしまったとさ。
次回は水泳の練習でプールに行きます。
よろしくお願いします!




