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42 仮カレカノ 友達と遊ぶ その4

だんだんと近づいてきました。



お化け屋敷。


それは、遊園地のアトラクションである。そして、俺の嫌いなアトラクションである。


どこが嫌いかと言われると具体的に言い表せないのだが、なんかやだ。

あの、背筋がゾクっとするところや不意打ちで驚かされるのがやだ。驚いてしまうから前もって教えてほしい。

「ここにお化けあり」みたいな矢印があればいい。「おどろかしますよぉ?」声をかけてくれば大助かり。

これが俺からお化け屋敷への要望だ。(貴方にとってお化け屋敷とは?)


さて、俺のお化け屋敷嫌いもしっかり説明したところで、いよいよ入るのだが、ここで一つ問題があった。


それは、チーム分け。


このお化け屋敷、一緒に入るのは二人組と決まっているのだ。やけにラブコメ気質なお化け屋敷である。


それで誰と誰が一緒に入るかの相談だった。


「まあ、1組目は有無を言わず決定だね。」


「そうそう、洸くんと夏帆は、決定だね」


女子二人組は、そう言って俺たちの方を見た。


彼氏彼女の関係だからこれは当たり前と言えば当たり前の結果である。

だから今更驚いたりしない。


「ああ、わかった」


「う、うん……」


と二人で頷くとほぼ同時にあの人が声を上げた。


「な、なあ!!やっぱり、じゃんけんで決めね?」


棚山である。


「それいいね!確かにあとはじゃんけんでもいいね〜」


夢葉が賛成していると、棚山は続けて言った。


「いや、あとの人じゃなくて、最初からじゃんけんしようや?な?」


棚山は女子たちの顔色を伺いながら言うが、こんな提案許されるわけがなかった。


「は?それはないって……立場を考えなよ?」


「そうそう、洸くんは、わざわざ来てくれたんだよ?勝手に男子増やしても何も言わなかったのに……洸くんと夏帆のイチャイチャタイムを奪ってるんだからそこをちゃんと考えて物事いいなよ……さすがにちょっと引いたわ……」


「……じ、冗談だよっ!冗談に決まってんだろ??お、俺だってそんぐらいわかってら!!」


如何にも冗談話をしているかのように話すが明らかに目が泳いでいる。繕っているのがバレバレだ。


「あーもう、シラけたわ……はやくチャっチャっと決めちゃお……」


そう言って彼女たちはじゃんけんした。


結局じゃんけんの結果、男子グループ、女子グループに別れてしまった。本当になんの時間だったのだろう。


「じゃ、先行ってるねーー」


と奈美と夢葉は、速攻お化け屋敷の中へ。

そのあと、男子たちが続いた。棚山はお化け屋敷に入る前、思いっきり俺を睨みつけてから入っていった。


なんだよ、俺の所為なのかよ……


なんだか八つ当たりされた気分だった。



さて、一番最初に残ったのは、俺たち。


お化け屋敷のお姉さんが、


「では、お楽しみくださぁい〜〜」


と入口のドアを開けてくれたので、俺たちは中に入った。

お化け屋敷の中は真っ暗で所々に気味の悪い灯りが灯っていた。


これぞ遊園地の代表的なアトラクション、お化け屋敷であった。


俺たちは辺りを警戒しながら進んでいく。すると、隣で歩いていた夏帆が、


「ね、怖いから……手ぇ……繋いで……」


と言った。

薄暗くて、彼女の表情はよく見てないが、なにやら俯きながら言っているようだった。


「あ、ああ……」


俺は、薄暗い中彼女の手を探して、しっかりと握る。

すると、夏帆はビクッと反応した。どうやら、いきなりで驚いたらしい。


「あったかい………」


手を繋いだら彼女がいきなりそう言った。


「え?ど、どした?」


「なんか、洸夜の手ってあったかいね……」


「そ、そうか?」


今日、たくさん手を繋いでいたが始めてこんなことを言われた。


「まさか、洸夜ってお化け屋敷苦手?」


「あ、ああ、苦手な部類に入るな」


「へぇ〜、意外…………緊張してるの?」


「そうかもしれない」


「そうなんだぁ………お化け屋敷が苦手って………なんかかわいい……」


「かわいいなんて初めて言われたな」


俺の人生において初体験だ。


「見た目じゃないよ?」


「さすがにわかるわ」


クスクス笑いながら言う、夏帆にツッコミをいれる。


「私は……洸夜にも苦手なことがあって嬉しい……」


「嬉しいのか?」


いきなり言われた。全く意味がわからなかった。


「うん、洸夜って、私が見た中では常に完璧であって、弱点なんてほとんどなかったから………ちょっと格差を感じてたの」


「格差?」


「うん、なんでもできる洸夜の近くに私がいて………しかも恋人の設定なんて、おこがましいと言うか……本当は私なんかよりもっと………」


「それは、違う!」


「洸夜?」


どんどんメガティブになっていく夏帆を俺は気付いたら止めていて、その意見を否定していた。

夏帆は、突然止められて若干驚いているようだった。


「俺だって、そんなにいい人間じゃない。夏帆は俺のことを過大評価し過ぎだ。俺は夏帆が近くにいてくれて感謝している。だから、もうそんなこと言うな」


「あ、う、うん……」


夏帆は返事をした。


一方で俺は言った瞬間に我にかえった。


「よ、よし、じゃあ行くか……」


そう言って夏帆の手を引っ張った。


「あ、うん……わかったけど………洸夜なんか手が熱くなってるよ?」


「緊張してるんだよ……ホントはお化けもジェットコースターも大嫌いなんだ」


「ふふっ……な〜んだ!やっぱり。乗ってる時表情仏だったからそうだと思ったぁ〜」


「しっかり仏だっただろ」


「うん、でも嫌いなら言ってね。洸夜の嫌いなことをムリしてまでやりたいとは思わないから」


「いいんだよ……そんなこと気にしなくていいから」


俺は君の笑顔が見れるなら。浮遊感なんて我慢出来る。だから、そんなことを言わないでくれ。


「でも…」


「いいんだよ」


「わかった……だけど、洸夜さっきよりも手熱くない?熱でもあるの?」


「進んでいるからお化け出てきそうで怯えてるんだよ」


「私がいるから大丈夫。しっかり驚いていいよ?」


「絶対、変な声なんて出さないからな」


「それは、気になるから、是非」


そんな会話をしながら俺たちはお化け屋敷を進んで行った。


道中、俺は自分の心臓の脈がどんどん早くなっていることが気になって仕方なかった。

なんで、こんなに緊張してるんだ?

俺はそんなにお化けが怖いのか?

そ、そうだ。きっと怖いのだ。

きっと俺の手があったかいのも緊張しているからだ。

決して、手を繋いでいる所為じゃない。暗いところで二人でいるからとか、そう言う所為じゃない………


…………いや、もうそれも違うかもしれない。

こんなのはただの自分への誤魔化しだ。

もうやめよう自分を騙すのは………覚悟はもうしているのだから。





この先、進んでみたが、お化けは全然出てこなかった。


おかしいな……ここのお化け屋敷は怖いと評判だったのに……お化けの役の人は何を?


なんかお化けに緊張して、損した気分になった。


遊園地編あと、二話です。



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