39 仮カレカノ 友達と遊ぶ その1
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午前八時、俺は夏帆の家の前にいた。理由は今日、夏帆の友達の夢葉や奈美と遊ぶからである。
しかし、遊ぶ場所はまだ聞かされていない。
尋ねたら、「ナイショ」と言われたので………知らない。
ホントにどこで遊ぶんだろう……
そんな不安を抱えながら、俺は夏帆の家のインターホンを押した。
数秒後、
「ごめん!待った?」
と言って、夏帆が家から出てきた。
「いや、今来たところ……」
待ち合わせのシチュエーションっぽいが、自宅待ち合わせである。来てすぐにインターホンを押したので待ったもクソもない。
だがしかし、これも新鮮である。新たな待ち合わせ方法が開拓されたようなそんな気がした。
今日の夏帆のファッションはそれまた気合いが入っていた。いつも、制服だから私服はとても新鮮だった。
見つめてると、
「どうしたの?私になんかついてる?」
と夏帆が尋ねてきた。
「いや、なんか夏帆の私服が新鮮で………」
「え?そ、そう?前も一回デートしたじゃん…」
「あれ、デートじゃないけどな……」
「あ、そ、そうだったね!うん、もちろん覚えてるじょーだんだよ、じょーだん」
「そうか……」
夏帆は、笑顔になって俺に言うが、そのあとすぐにしょぼんとした。
これはデートにしておいた方がよかったのか?
女心はわからないが、明らかにこれはデートの方がよかったらしい。あって数分、夏帆がショボくれた。
せっかく遊ぶのだから、テンション高くなければ、楽しめない。
だから、俺は夏帆に笑顔になってほしかった。
「そ、その、服……」
「え?な、なに?」
「その服、とても似合ってるぞ……うん、夏帆らしい……」
わかっていてもやっぱり恥ずかしい。
一方夏帆は、
「え?ホント?あ、ありがと……」
とにっこりしてました。
俺は、思ったことを言っただけなので、笑顔になってくれて安堵する。
これで、行ける。俺が歩き始めると、夏帆も俺の隣にくっついて、手を繋いできた。
「え?」
驚いて、夏帆の方を見ると、
「ほ、ほら、今日は、彼女彼氏の設定だから。手を繋がないと不自然だから……そうだから………繋ぐの……」
だんだんと小さくなった声音は最後には殆ど聞こえなかった。しかし、言いたいことはわかっていた。
半端に握られている手を俺はしっかり握り返す。
「え?」
突然の出来事に夏帆が驚く。目を丸くして、俺を見つめていた。
自分で言っといて、驚かないでくれ……
「ほら、彼氏彼女だろ?」
俺がそう言うと、
「うん!」と笑顔を見せながら夏帆も頷いた。
そして、俺たちは、集合場所に向かった。
○
学校の最寄り駅――それが集合場所だった。
3番線ホームが集合場所らしく、そこに向かうとみんながもう既にいた。
奈美と夢葉。これは夏帆の友達。そして、あの棚山。その他に棚山とよくつるんでいる男友達三人がいた。
こんなにいるなんて聞いてないぞ………
集合場所に来てみれば、八人もの大所帯。棚山が他の男友達を連れてくるのが予想外であった。
まだ、棚山たちと距離があるうちに俺は夏帆に尋ねる。
「おい……あの男たちって………」
「あ、あれね……なんか昨日夜遅くメールきて、男友達も数人連れていくって……」
「幾ら何でも非常識だろ……」
「まあ、そうだね………」
夏帆は苦笑いをする。
まったく、友達と遊ぶんじゃないんだぞ?女友達の彼氏の紹介がてら遊ぶのに、そんな伏兵いらないから。
心の中でそう毒づいた。
しかし、歩くほど彼らとの距離は縮まっていく。
やれやれ、どうやらかなり厄介な日になりそうだな……
俺はそう覚悟した。
*
「どうも〜〜!貴方が夏帆の彼氏?はじめましてぇ〜〜!」
これぞ、まさに陽キャの挨拶。
眩しすぎて一瞬目をつぶってしまいそうになった。
しかし、ここで負けてはならない。夏帆の名誉のためだ。
「ああ、どうも。夏帆さんの彼氏です。名前は………」
俺が一瞬戸惑っていると、
「名前は、川幡洸くんだよ!」
と夏帆がナイスフォロー。
助かったが……その名前、やっぱり危険な気がする。
と俺は心配するがどうやらそれは杞憂だったようだ。
「そっかー!洸くんだね!よろしくー!夢葉っていいまぁーす。夏帆がいつもお世話になって……」
「ちょ!夢葉っ!!」
「奈美っていいます。………ああ……洸くん、やっぱりイケメン………夏帆、いい男とっ捕まえたな……やるときはやるじゃん!このこの〜〜」
と奈美と夢葉がニマニマしながら、夏帆をいじっている。
夏帆は顔を真っ赤にして………照れているのか怒っているのか、俺にはわからなかった。
そんな三人を見ていると奥から突き刺さる視線があった。
棚山だ。
その目は、殺気に溢れているといってもいいだろう。
まるで、誰かの敵討ちをするかのような目をしていた。
おいおい……俺に親でも殺されたのか?初対面で殺気立った目は最悪だろ……
そう思いながらも、自己紹介しない訳にもいかないので取り敢えず、棚山のところに向かった。
「どうも、夏帆の彼氏です。川幡洸といいます。よろしく…」
「棚山だけど……お前、夏帆とホントに付き合ってんのか?」
そう言って顔を近づける。本来なら、下を向く俺だが、今は夏帆の彼氏の設定だ。こんなところで負けてはいられない。
「はい………お付き合いさせていただいてます……」
「お前、顔だけだろ?……どうせ、お前がナンパとかして捕まえたんだろ?」
「いや、そんなんじゃ……」
な、なんだ、こいつ。挨拶一つでめんどくさいな……
「顔は認めてやる……確かにお前はイケメンだよ。だけどな、スポーツ、勉強面なら俺の方が上だ。お前どうせバカだし、運動音痴だろ?調子乗ってチャラチャラしている奴に限って録でなしなんだよ?」
え?それって自己紹介?
調子乗ってチャラチャって………
俺はそう思ったが、言わない。
黙っていると、棚山は続けて、
「だから俺の方が上だ。顔しか売りがないやつに夏帆は相応しくない。わかったか?」
「は、はぁ………」
「さっさと、別れろよ……」
いきなり、ケンカを売られた。40点男に………
俺は呆気にとられた……まさか、こんなにも態度が悪いとは予想外である。
男友達の立場を利用して俺たちを別れさせようとしている……そんな風に感じられた。
だが、今の関係を崩したくない……俺にもプライドがある。
だから、
「別れるつもりはありません」
とそう言った。俺の覚悟は決まっている。大切な人を失う訳にはいかないんだ。
その言葉を聞くと、棚山は、さらに目つきを悪くさせ、
「絶対別れさせてやる……」
と言って、男子たちの方に行った。
そういや、あの男子たちにも自己紹介しなきゃなんだよな……
この数分で自己紹介が凄く嫌いになった。
けれど、ここで頑張るのだ。意を決して自己紹介に向かうと、他の男子たちは割とすんなり受け入れてくれた。
あれ?まさかの?棚山だけ?
男子全員の総意じゃないってことは……
まさか……
嫌な予感がした。
この友達との遊び、少し長くなる可能性があります。
どのくらいになるか予想がつかないです。
次回は、電車の中からです。
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