25 もっとも憂鬱な月曜日 ②
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ホームルームで教師から、遂にあの事が話された。
「ええ、今回、生徒会からの提案で、定期考査を一週間早めることにした。詳しくはプリントを配布するから、それを見てくれ」
『生徒会からの提案』って……よく言うよ。頼んできたのは、そっちなのに……
クラスメイトからは、落胆の声が聞こえてくる。
そして、教師が生徒にプリントを配った。
クラスメイトにそれが配られると、プリントを持ったまま固まった。
俺の前の人が中々プリントを渡してくれない。
何があったんだ?
と不思議に思っていると、やっと前の席の人が俺にプリントを渡してくれた。
嫌がらせをする人ではないし………どうしたんだ?
と思いながら配られたプリントの一行目に目をやると……
『★★「定期考査一週間早めるよう!みんなバカだからこうなったんだよww」の実施について。』
何故こうなった………
これは、企画書の題名だろ?
それなのに、こんなに堂々と、しかもなんで星マークまで……なぜグレードアップしてるんですかね?
プリントに記載する本当のやつは、
『早期定期考査〜もっとこの学校に知的な生徒が溢れるようにしよう。大丈夫!!多分みんな出来る!!やれば出来る子だもん!〜』なはずだ。
ちなみに、プリントに記載する予定のタイトルの名付け親は………一応言うが、会長だ。
最初は、もっと酷かった。生徒会の努力によってここが妥協点。
こんな煽り文書、生徒に配ったら…………
びりっ!!
どこからともなく紙が破かれるような音が聞こえた。
ほら、やっぱりな………
これ多分副会長やってないな………誰にやらせた?
印刷なものや最終的なことは副会長に託したはず。
それなのに、何故か題名が変えられて印刷されている。
もしかしたら、誰かが配布物の題名と企画書の題名を勘違いして書き換えたのかもしれない。
あんなインパクトのある題名を間違えるのか?
という疑問が頭をよぎるが、そうとしか考えられない。
だって、生徒会を困らせようとして意図的にやった生徒会員は、いるはずがないからだ。
もう十分、今の現状に困ってるからこれ以上困りようがない。面倒ごとなど生徒会員は大嫌いである。よって間違えたとしか考えられない。
俺が生徒会員の中で間違えた犯人を考えていると、ホームルーム終了のチャイムが鳴った。
やばい………バカとアホに火を吹いてその上に油かけてしまった。
ほら、凄い形相でこちらに向かってくる、先ほどのチンピラがいる。
こんな状況、事態の悪化でしかない。
次は殴られるかもしれないな。
休憩時間は10分、一限の担当教師は、2分前には、教室に来る素晴らしい教師だから、8分我慢すればなんとかなる。
棚山を筆頭に再び、俺の机の周りを囲む。
嫌われている人気者はつらい。
棚山は、俺の真っ正面に立ち、俺の机を両手でドンっと思いっきり叩いた。
俺が言える立場じゃないけど、物にあたるのはどうかと思う。
「お前、生徒会の一員だよな?」
睨みつけながら、俺にそう問う。
「まあ、一応………」
事実なのでそのまま話した。
「この案、生徒会提案なんだろ?誰がやった?」
その質問に俺はどう回答するのか迷った。
発案は、会長と副会長。それをまとめて、教師にプレゼンしたのは、俺。その企画のプリントを制作したのは、俺で……つまり、俺?
いやしかし、誰かの誤操作がなかったらこんな問題は、起きなかったし……そもそもあのタイトルの名付け親は、会長で……でも、そのタイトルでプレゼンしたのは、俺だから………やっぱり俺か?
そんな思考を張り巡らせて考えていると、待ちきれなくなった棚山は、
「誰だかわからないけど、生徒会の総意でいいんだよなぁ?」
「……まあ、否定はしない」
これも事実なのだから、そう答えるしかない。
実際に生徒会によって可決されているのだ。タイトル以外は………
「なんで、こんな提案した?あ?教えろよ?部活一週間削って勉強しろだと?それに、一教科でも、赤点を取ったら一週間放課後に補習授業だと?ふざけんな!」
タイトルを言われるかと思ったらまさかの内容の方だった。タイトルは、そのままでよかったのか?
棚山は怒鳴るように俺に言うが、そんなこと言われても困る。この学校のテストは、毎日勉強してればよっぽどではない限り、赤点なんて取らないのだ。
それでもこの学校は、それが出来なかったから、赤点の点数を上げ、取れなかったら補習授業を行わせる。
危機感を与え、生徒全員に努力させようとする思惑がある。少し無茶だが、理にかなっている。
教師たちもタイトル以外は、普通に賛成してくれた。
こんなに生徒会に力があるのがこの学校の若干怖いところであるが、今更だ。
それなのに、なんで俺にばかりあたるんだ?
文句があるなら会長に言ってほしい。全て会長が始めたことだから。
「俺に言われても………」
本当は、
知るかボケ!勉強すればいいだろ?
とでも言ってやりたいが、ここで煽ると事態の終息が見えないので、やめておく。
「あ!??少し自分が、勉強できるからってふざけんなよ!!?勉強ができる精鋭の人たちを結集させた生徒会の一員だからって調子に乗んな!!殺すぞ!」
と言って、再度机を叩く。
「………………」
えっと、これは、褒めてるのか?
唐突にそんなこと言われて俺は一瞬思考が停止した。
彼としては、そんなつもりがないのかもしれないがそう受け取っても仕方ない。
叩いて、褒めて、叩いて………
こいつ、まさかのボコデレかよ………
俺は、壮大な勘違いをしてしまった。
「あ!?何黙ってんだよ!?ふざけんなよ!??お前は、生徒会でチャラチャラしてればいいけどよ、こっちは違うんだよ!?!!」
しかし、彼の暴言は止まらない。
そんなこと言われると、こちらとしても殺意しか湧かない。
生徒会でチャラチャラだと?
なら、実際生徒会に入ってみて確かめてほしい。トップ職が遊んでるからチャラチャラする暇なんてないから。
寧ろ生徒会が成り立っているのを褒めてほしい。
俺含め、生徒会のメンバーには給料が出てもいいと思う。
最近、また生徒会のメンバーを臨時で二人増やしたが、その人たちも三日で乾燥わかめみたいになっているのが現状だ。
チャラチャラじゃなくて毎日カタカタしかしてないんだよ!!
あんなやつらを生徒会のトップ職に推薦、又は投票したやつ誰だよ??
思わず、怒りの矛先が会長たちに向かってしまったが、取り敢えず、落ち着く。
今日の俺は、案外イライラしているようだ。
俺が怒りをグッと堪えていると、棚山が俺の胸ぐらを掴んでくる。
「お前は、オタク部かもしんないけどよ??俺は、サッカーに命かけてるんだよ?あ??わかるか?部活の時間を削られるこの苦痛…………わかんねぇよなぁ!!暇人はよぉ!!」
棚山がそう言った瞬間に、隣の夏帆が、教科書を引き出しから取り出し、バンッ!!と強く置いた。
それに、棚山だけではなく、周りの男子、ついでに俺も驚いた。
「ねえ、棚山、近くでそんなに声出されると、うるさい……」
夏帆が怒った様子で、棚山に言った。すると、棚山は夏帆から言われてオドオドする。
「い、いや、俺は別にお前に言ったわけじゃ…………」
「あたしに言ってなくても、そんな近距離で声出されたらうるさいよ!」
「わるい………」
棚山は、夏帆が強く言うと反省して、思い切りしょぼんとする。
情緒不安定である。
そんなところで、授業のチャイムが鳴る。普段は、早く着くはずの教師だったが、今日は資料を持ってきたため遅れた。
こんな時に限って……と思ったが、先程は、夏帆が助けてくれたのだろうか?
そう思って隣をみると、ノートに、何か書かれていた。
○
死んじまえ
ちょうめざわり
殺意湧く
見事に五七五であった。
これは、多分助けてくれたわけじゃないっぽいな…………
やはり俺は、相当嫌われたらしい………
次回は、同じ場面で、洸夜と夏帆、どちらの視点からも書きたいと思います。
両方完成したら投稿したいと思います。
ブックマーク、評価、是非よろしくお願いします
誤字報告、ものすごく助かっています。
ありがとうございます。




