23 初めての電話は後悔しかしない
30000PV突破ありがとうございます。
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週間ランキングにも入る事ができました。
皆さまのお陰です!!ありがとうございます!!
今回はシリアスです。洸夜の過去と苦悩。
俺は、歳をとることにつれて同級生と交際するということができなくなっている気がする。
中学時代に自分意思で身内と昔からの知り合い以外交流を持つことをやめた。
理由は沢山ある。
家の事情とかいろいろ。
無理して仲良くしているときは金縛りにあっているような気がした。年がら年中ずっといて、トイレなど一緒に行ったりして、お前ら女子か!!ってツッコミたくなったり、休日では飽き足らず平日までも遊びに駆り出された。
そんなことが続いていた。最初はもちろん楽しかった。だが、一ヶ月後からそれは、突然苦しみになった。
再度言うが理由は色々ある。
一番の理由は金がない。
今の年代は、校庭でサッカーしたりそんな遊びをしたりしない。カフェ巡りしたり、ショッピングしたりゲーセン行ったり、どこ付いて行っても金を落とすことしかしない。
平民なら、それは出来るかもしれない。だけど、俺はそれ以下だ。
当時叔父から送られてきたのは、十二万。
それで家賃代、光熱費、食費、日用品などを払って手元に残るのは僅かばかり、そんな状況で最初は遊びに行っていたから、一ヶ月で自分の貯金が底を尽きた。
小さい頃から貯めてきた貯金を切り崩して、出来るだけ遊ぶようにした。でも、それはもう出来なくなった。
遊びを誘われ断り続けると、「あいつ、付き合いわるくね?」と言われ、距離を置かれるようになった。
自分でもわかっていた。だから、これ以上、大切なものを壊さない、他人に迷惑をかけないために、俺は、人との交流を絶った。
そんなことで誰にもワケを話さず急に交流を絶ったのだから、あとはご想像通り。
高校に入ってからもそれは同じで………いや、悪化したかもしれない。
前よりかは、お金もあってバイトも出来るようになり、余裕は出来たが大学進学の件もあり長年の性格、主義は治らない。
俺の性格も、人付き合いが得意な体質ではなくなっている。
話しかけてくれる人もいたが、初対面の人にまず目を見て会話しない。誘いを全部断る。ノリよく話さない。
同級生には、そうしてきた。
だからクラスメイトの第一印象なんて最悪だ。
そんな人間だから、それを理解してくれる人がいないと俺はずっとボッチだ。
自分が変わればいいなんて世間は言うけど、そんなに甘くない。自分を変えられる人なんて、強い人しかいないんだ。その強い人がそういうことを言っているだけ。みんながみんなじゃない。
だが、こんな人間でも態度を変えず優しく接してくれる人がいた。
わかってくれている人がいた。
自分にとって大切だと思える人が数少ないが出来た時期があった。
だから俺は、そんな大切な人を傷つけたくない。
その為だったら、自分を犠牲にする。常に相手を一番に考える。
そういう主義だ。だがしかし、それをすると大切な人はどんどん離れていった。
理由はイマイチわからない。悪い事をしたつもりはなかったのに……
けれど、大切な人は離れていった。
ほら、また…………離れられるんだ
○
今日は、色々と内容が濃すぎた。未だに頭でも理解できていないところが殆どだ。
特に美月さんのことが………
あんなに急に居なくなるなんて思わなかった。あんなご都合主義的な展開が訪れるとは思わなかった。
故に驚いて、悲しかった。
俺は、美月さんに何か返せたであろうか?
あんなに癒しを与えてくれた、美月さんに………
まだ、返しきれてなくて、それがとてつもなく悔しい。
思い出すだけで、涙腺がもろくなる。
もしかしたら、午後のプレゼント買いの時にもその表情が、出ていたかもしれない。
そう考えると、夏帆には申し訳ない気持ちになった。
そんなことを考えていると、自分のスマホの着信音が鳴った。
スマホを手に取り見てみる。相手は夏帆だった。
どうしたんだ?なんか、忘れ物でもしたのか?
全く身に覚えがないなかで、電話を繋いだ。
「あ、もしもし?………洸夜?」
「そうだけど?………どうした?」
あまり元気ななさそうな声。何かあったのだろうか?
「あのね………今日、奈美と夢葉に会ったんだけどね――」
そりゃそうだ。付いてきてたんだから。
「なんかあったか?」
「写真があったの……」
「写真………?なんだそれ……」
意味がわからない。何を言ってんだ?
「洸夜があの先輩と楽しそうにお茶してる写真だった…………」
「なっ………」
思わず言葉を失った。
なぜ?誰が?いついたんだ?
疑問が溢れ出てくる。
「誰がそれを?……」
「えっと………クラスの男子が………」
「そうか………」
まさか、撮られていたとは思ってもいなかった。
「それでね?クラスの男子が明日、そのことで………」
「俺をいじめるのか?」
「いや、奈美たちは、いじめるなんて…………」
「どっちにしろ同じことだろ………」
「まあ………そうだけど……」
彼女は俺に言われておし黙る。
「……それで夏帆は俺に電話を?」
俺は彼女にそう尋ねた。俺に伝えて利があっただろうか?
わからない。
「うん…………」
「ありがとな……助かる………」
「それと………」
彼女はまだ何か言いたい様子、言うか言わないか迷っているような声音。それは、俺にも伝わった。
「どうした?なんか気になってるんなら言ってくれ………」
もしかしたら、それを帰り際に聞こうとしていたのかもしれない。なら、話して欲しい。
「う、うん………わかったけど…………洸夜って、先輩となんかあった?」
「な、………なんで……」
弱々しい声音だがその内容は俺にとっては鋭い刃物のようだった。
「その反応………ホントなんだ……」
「ち、ちがう…………」
とっさにそう言ってしまった。
「な、なんでウソつくの?」
「ち、ちがうから………」
「告ってフラれたの?……」
「それは、違う……」
「じゃあ、なんで泣いてたの?」
「ドライアイだったんだ……」
「……私を信じてよっ!!!」
俺がそう言った瞬間に彼女の強い声が響く。
「………………」
その声を聞いて俺は黙り込む。
言えない……先輩との別れが悲しかったなんて……
言えない、感謝を返しきれなくて……悔しくて涙を流したなんて……
言えない、完璧な形で門出を祝う事が出来なくて後悔したなんて……
それと、
先輩のことを話せばまた夏帆の表情がよくなくなるかもしれないから、話したくないなんて……
「なんで、話してくれないの?……」
電話の向こうからは涙交じりの声。
なんで、夏帆が泣く必要があるんだ……
そう考えていると、
「もういいよ……………ごめん」
そう言って突然電話が切れた。
ああ、この感じ………
覚えがある……
大切な人を失うときの感じだ。
電話を切られて俺は、本当の想いに気づいた気がした。
さっき言った理由も、もちろんあった
けれど、俺が言い訳した理由は、
本当は、一番は、
俺が涙を流した………
夏帆にそんなところを見せたくなかったとか、ただのくだらない信念だったのかもしれない……………
今回は、少し珍しい洸夜の過去と苦悩を書きました。
これまで、洸夜の苦悩は深く書いていなかったのでまた、私もかなり表現を悩んで書きました。
少し大目に見てもらえるとありがたいです。
次は、もしかしたら早く投稿できるかもしれません。
この章もあと、4話くらいだと思います多分。(またやってる)
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