19 過酷な日曜日 ①
過酷な日曜日。
午前の部は、美月さんとの客呼びの案を考える。
七時集合と言われたので、すぐに家を出た。
美月さんの家に着くと、
「お?早いね〜〜」
と美月さんが出てきた。
「早朝に呼びつけたのは、そっちでしょ……」
俺がそう言うと、美月さんは笑いながら部屋から出てくる。
「今日は、どこに行くんですか?」
「いろいろだよ!」
「そうですか………」
これから色々始まるらしい。
美月さんに貢献できるように頑張ろう。
○
まず、俺と美月さんが行ったのは、デパートだ。
美月さん曰く、ほかの店をたくさん見れば何かヒントを得られるらしい。
最初に向かったのは、服屋さん。
どんな客引きをしているんだろう………
服屋さんが行なっている客引き………ってなんだろう……と見ていると、
「今日は10パーセントオフで〜〜す。いかがですかぁ〜〜」
おお……割引……だけどこれは、使えないな……
割引券とかならありかもしれない。
「美月さん提案ですけど、割引券なん――」
「ねえねえ!洸夜くん!これ着てみて!」
「何しに来たんですか?」
「ショッピングだけど?」
ショッピングが目的じゃないだろ。
「目的忘れましたか?」
「いえ、全然……でも、着てね?」
全然わかってねぇ………
でも、取り敢えず着ることにする。
「わぁ……似合ってるよ。買ってあげようか?」
「いや、大丈夫です。趣旨がずれてます」
「でも、プレゼントだから、買ったげる」
そう言い、美月さんは買ってくれた。
「あの………本当にいいんですか?」
「もちろん、お姉さんだから!」
「すみません……ありがとうございます」
美月さんから洋服を買ってもらい俺たちが次に向かったのはケーキ屋さん。
「ほら、ケーキ屋さんとか接点多いからなんかヒントがもらえるかもだし!」
と美月さんが言い、店内に入った。店内に入るとケーキはもちろんのこと、洋菓子、和菓子まであった。
「すごい……菓子が沢山ある」
菓子ものを増やす。これも一つの案かもしれない。
色々なものがある喫茶店、とても魅力的だ。
「ねぇ、ここでなんか食べていこうか?」
美月さんがそう言った。
「え?まじすか」
「まじです」
「そうですか……」
「ほら、味見も大事だから」
まあ、味見も大事なのは、わかるが………
これ、なんか違くない?
「ご注文は、何にいたしましょうか?」
店員さんがそう尋ねてきた。
「えっと、私がショートケーキと紅茶で……洸夜くんは何にする?」
「じゃあ、俺も同じで………」
なんかお茶会が始まった。
「う〜ん。このケーキ美味しいぃ〜〜!」
笑顔で、ケーキを食べる美月さん。
「やっぱり、ケーキは最高ウゥ!!」
ご機嫌だ。甘いものは、正義らしい。
「ケーキ好きなんですね」
「うん。ケーキは子供の頃から好きだよ、洸夜くんは?」
「俺も好きです。最近食べてませんけど……」
「そっか……じゃあ食べれてよかったね」
紅茶を飲みながらそういう美月さん。
紅茶のいい香りが漂ってくる。
「ところで、美月さん、客引きのことですけど……」
「ああ、そのことだけど……やっぱなしで」
「え?なんて?」
意味がわからない。どうしてだろうか?
「だから、もうしなくていいよ」
「どうしてですか?」
ますます意味がわからない。店長からのお願いが取り消されたということだろうか?
「私、もうあそこに勤めてないから……………」
それを聞き固まっている俺に彼女は追い討ちをする。
「――今日で私たちはお別れだよ」
連日投稿です。
あと、5話程度でこの章を閉めようと思います。
次の章が最終章になると思います。
引き続きよろしくお願いします。




