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15 生徒会長は生徒会長でしかない



4000PVありがとうございます

評価してもらい嬉しかったです。








「洸夜くん。昨日は学校休んだみたいだけど大丈夫?」


俺にとって久し振りに聞く声が生徒会室に入ると真っ先に飛んできた。

声の主はもちろん生徒会長だ。

こうして会うのも久々だが、どうせならもう少し会いたくなかった。心配してくれるのはありがたいが、家まで来られなくて安堵しかない。


もうあれはトラウマなんだ………


俺がそんなことを考えていると、会長はこちらに寄ってきて、


「どれ、おでこを出しなさい」


と言い、手を俺のおでこに当てた。


「うわ!!」


「なにぃ?その声?会長は洸夜くんの体温を感じ………測ってるだけですよ〜」


なんだこの背筋が凍るようなものは……

凄くゾッとした。

会長はにかぁと気味の悪い笑顔をこちらにみせる。近寄っていて顔が近いために怖さ倍増だ。


「もう、いいでしょ、離してください」


「やだ」


俺が手を振りほどこうとすると会長は抵抗する。おでこには冷えピタのように粘着して離れない会長の手が、


「そんなことしてたら仕事できないじゃないですか」


「いいの、別に」


「あなたはよくても生徒会はよくないです。さっき進行状態確認しましたが、最悪の進み具合じゃないですか!このままだと文化祭の準備間に合いませんよ?」


「あら!生徒会のことここまで考えてくれるなんて会長は嬉しい!」


わざとらしく喜ぶと会長。この人の演技は、おふざけのことが9割だがたまに本気で騙そうとするので油断ならない。非常に昔から厄介な相手だ。


「あなたの命令で仕方なくやってるだけですから。もしやなくていいなら、バイトしますし」


「そうやってバイトを重ねてまた生徒会に迷惑かけるんだ?」


「迷惑なんて――」


「かけたでしょ?何のためにわざわざ生徒会を手伝ってもらってるかわかる?」


「人手が足りないからですか?」


「今はおふざけ禁止。あなたが倒れないようにバイトの頻度を減らすようにしたの」


「それでも違法の時間をお許し頂いている理由は?」


「禁止してもどうせ破るでしょ?だから予め了承して時間を指定しておけばそれ以上は破らなくなるんじゃないの?」


「わかりませんよ?そんなの」


「まあ、次倒れられたら庇うのはもう無理だから、退学になるだろうね」


「それは、俺も同意済みです。だからなるべく約束を優先してますよ。一度庇ってもらってますし、生徒会には恩を感じていますから」


「へぇ〜そーなんだ。」


「そうですよ?だから非常に不本意ですが、あなたの下僕になっているんですけど……」


「そうだったそうだった。もう洸夜くんは生徒会の一員と言っていいほどだしね」


「そうですかね?まあ会長がそう思ってるならそれでもいいですけどね」


「じゃあ〜〜さ、早速仕事を始めてくれる?」


「わかりました」


俺は自分のデスクに向かった。何故か俺専用のパソコンが生徒会に置かれている。もはや役職付きに匹敵するほどまで昇格したようだ。


俺は、そのデスクに座り、今日も資料とにらめっこする。


会長は、出来上がった資料にハンコを押すだけ。

簡単そうで非常に羨ましい。


会話は少なくなり、この空間が静寂に包まれたとき、突然会長が俺に話しかけた。


「ねぇ〜〜洸夜くん。昨日、副会長と話し合ったんだけどさ」


「何でしょうか、副会長がなんか言ってましたか?」


「それがね。最近、学力の低下が激しいことから定期考査を一週間早めようと思うの」


「えっと………意味がわかりません」


「だからっ!!この学校のおバカさんたちには徹底的な指導の余地があるの」


「へぇ……それはそれは」


「だから今回の赤点を45点にして、一つでも赤点を取ったものには、一週間放課後活動を禁止し、補習授業にあてる」


「それで一週間早めるんですか?」


「そう」


「でもそれは、さすがに……45点はハードルが高いと思います。多分脱落者半端じゃないと思いますよ」


「随分と他人事だね。洸夜くんは」


「まあ、他人事ってわけでもないですけど」


「天才って、ホントに羨ましいわ」


会長が俺に向かってそういう。正直嫌味にしか聞こえない。何が「天才って羨ましい」だ。

毎回、オール100点を取り続ける化け物には言われたくない。


「そのままそっくりお返しします。天才」


「あら、洸夜くんにそんな評価を貰えるなんて会長は頑張った甲斐があったわ」


「会長の頑張っている姿なんてこの二、三年一度も見たことがないですけど、なら生徒会の仕事もそれと同じくらい頑張りましょうね」


「それは善処しますとしか回答できないけど、さっきの案は洸夜くん的には賛成なの?」


「別に俺はどちらでもいいです。俺には放課後活動がないので」


「まあ、そう言われればそうだった。じゃあ、その案を先生の会議の時に提案してもらおう」


「批判の嵐じゃないですかね……」


「批判はないと思うよ?頼んできたのは、教師たちだし……」


「えっ……まじすか」


「そうそう、まじまじ。頼んできた手前、批判はできないと思うけどね……」


「案外、会長って仕事してるんですね。文化祭の資料を俺に丸投げだったので、遊んでるだけかと思いました」


「私だって、遊んでるわけじゃないから。色々な教室を回って、自然の風景を眺めているんだよ」


「それはただの逃亡では?それか現実逃避」


「観察だよ、失礼な!」


「違うと思いますけど………」


「私が観察と言ったら観察なのっ!会長権限で観察以外は認めない!」


「横暴だ……」


全く面倒な会長だ。すぐに適当な案を考え職員会議に提出しようとする。別に異論はないが、もう少し吟味する余地がある。この案の最終調整は俺がしよう。勝手にそのまま提出されても困るだけだし。


「それとね洸夜くん??」


「ハイ、なんでしょうか……」


「文化祭も一週間早めて、九月の第二火曜日に開催することにした」


なんだそれ………

これまで考えた文化祭の準備予定が全て崩れる。


爆弾発言に俺は口を開けて立ち尽くすことしかできなかった。



かなりゆっくりなペースになりますが、お願いします。

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