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1 出会いは突然に!老人ホームだけど……


初めての作品となります。

頑張りますので、よろしくお願いします。






「ばあちゃん。大丈夫?」


「ああ、問題なんてねぇ〜よ。安心しなさい。」


駅前から徒歩15分の老人ホーム。今日から俺の祖母はここで生活する。


「ごめん。俺が叔父さんにしっかり言っておけば……」


祖母が老人ホームでお泊まり生活をしなければならなくなった理由は、叔父にある。


小学五年生の時に親が事故で他界してから叔父が親代わりになってくれていたのだが、中学入学と同時に祖母の介護が忙しいと理由をつけられお金を渡され一人暮らしをすることになった。

その叔父が今度は介護をほっぽり出した。

仕事場の上司に無理矢理頼み込んだらしく二年間の海外出張に行ったことにより介護する人がいなく、このような結果になった次第だ。

まったく、家でできていた仕事を放ってまで海外出張とは………

確かに介護は大変だ。俺だって職場体験で老人ホームの仕事をお手伝いしたから大変さは充分わかっている。

だからこそ、頼って欲しかった。


聞いた瞬間はもちろん呆れたし、言葉も出なかった。

それから色々話あったが、最後に俺が投げ出す形で終了し、叔父は親の保険金残高三千万と家の所有権を無理矢理、俺用(祖母名義)にして海外に行った。


これは、予想だが絶対に戻ってこないな……

祖母には、この内容を話していない……というか、話せるわけがない。

介護が理由で逃げ出し、終いには保険金残高をそのまま投げつけていく奴だ。どうせ、あと残りの高校の色々な金と大学の金額。それとこの老人ホームの金をそれで払えってことだろう。三千万で足りるとか思っている時点でまず脳みそ腐ってる。

そして、足りなかったら思い出の祖母の家売り払ってもいいそうだ。


ほんとうにふざけんな!

と引っ叩いてやりたいが相手がいないので我慢する。


こんな事情なので、祖母だけには一定期間の出張としか伝えなかった。


「大丈夫じゃよ。気にすんな。海外出張ってやつじゃろ?仕事なら仕方ない。」


「俺が面倒見れればいいんだけど……」


祖母は、認知症はないのだが、脚が悪く一人では立ち上がることができない。故に常に介助員が必要だった。


洸夜(こうや)は、一人暮らしじゃから迷惑はかけられん。」


「…………」


小さい頃から一番面倒を見てくれた祖母。力になりたいが、自分には出来ないとわかっている。介護なんて初心者には無理なのだ。


「なぁ〜に、大丈夫。この部屋で一人ってわけじゃない。私の友人が一緒の部屋らしいんじゃ!」


祖母は、元気そうに胸をどんと叩き、相部屋が友人だということを俺に話す。

気にすんな!と励ましてくれているのだろうか?

自分だって、不安なはずなのに………


ますます祖母に対して申し訳ない気持ちになっていると、


トントン!


ドアをノックする音が聞こえ、


弥津紀(やずき)さん〜!!」


と祖母の名前を呼ぶ女性の声が聞こえた。


「お!早速じゃな!どぉ〜ぞ!」


祖母がそういうとドアが開く。車椅子に乗ってきたご婦人。そして、それを押す女子高生?


「げげっ!!幡川(はたがわ)!?」


その女子高生、俺を見て驚いた………若干嫌がる様子で俺の苗字を呼ぶ。


えーと、どちら様?


とお得意のすっとぼけをしようとしたのだが、あのご婦人、多分お祖母様だろう。そんな人の前で無礼なこと出来ない。故に………一応、返事をすることにした。


「ん?あ、西条(せいじょう)…………」



その女子高生は、俺のクラスメイトである。

しかし殆ど喋らないので、互いのことなんて全く知らない。

アイツは、クラスの主格グループのメンバー。それに対し俺は、安定のぼっち。

クラスの陰キャにさえ喋りかけないほどの上級者ぼっち。


色々な意味で俺と彼女は住む世界が違うのだ。


だからこんなところで俺に鉢合わせて嫌そうにしているのも頷ける。だって、俺孤立してるもんな。

クラス内で会話が成り立っているのなんて真面目に教師くらいだ。



「あら!もしかして知り合い?」


相手のご婦人が西条に向かって話す。


「あ………えっーと……」


なんだか微妙な受け答えをする西条。

おいおい……それは、ひどいだろ。お前だって俺をたてろよ。

なんて言ってみようかと思ったが、俺が勝手にしただけなので彼女には言わなかった。


「う、一応、……しりあ……いや、ただのクラスメイト」


妥協点か……

クラスメイトは、間違ってない。

それにしてもどんだけ嫌いなんだよ……


「お?洸夜そうなのか?」


「うん……まぁ……」


俺も曖昧な態度で返す。


「お、どうした?クラスメイトじゃろ?もっと仲良くないのか?」


「そうよ。仲良くないの?」


両ご婦人が俺と彼女に問い詰める。


「いや………」


「えっと………まぁ………そこそこね」


西条がそう言った。

えっ!!そこそこで、いんですか!?


予想外の返答が返ってきて多少驚いた。

まさか、そこそこだったとは………いや、これはお世辞だ。うん、そうに違いない。


「そうか。そこそこなのか」


「てゆーことは、仲がいいってことね!」


どうしてそうなった!西条おばあちゃん!

意味わからない解釈をして堂々と言う、西条のご婦人。

呆気にとられてしまった。


「えっ!なんでそうなるの!?」


解釈がおかしい。そう思ったのは、俺だけではなかった。西条も驚いてお祖母様に聞き返す。


「だって、仲がいいんでしょ?そこそこってそう言う意味じゃないの?」


違うんです!お祖母様!多分、西条は、気を使ってくれただけなんです!!

やめてください!俺のメンタルが少し崩壊すると言うか、もう、なんか………


「そこそこって言ったのは、特に何とも思ってないってこと!!」


西条がそう訂正する。

うん、間違ってない。

ふつうに話さないんだから、仲良い悪いの話どころじゃないよな?眼中にすらないもんな!

特に何も思ってないんなら、それでもいい。だって俺だってクラスの奴らなんて眼中にないし。


「そうか、特に何とも思ってないか………」


俺の祖母が少しテンション低めの声音。もしかしてこれは、怒ったか?


「あ、っ………ち、違うんです。特に何とも思ってないって意味は、特に悪いと思ってないって意味なんです!別に幡川が悪いわけじゃ………」


西条もこれは、まずいと思ったのか必死になって弁明してきた。西条をジッと見つめる祖母。そして、


「そうなのか!それなら何でもない!西条さんの娘さんは何ていう名前なんじゃ?」


夏帆(かほ)です……」


西条が少し安堵した様子で自己紹介をした。


「夏帆さんか、綺麗な名前じゃな」


「い!いえ、そんなことは………」


「顔も整っていてこれぞまさに大和なでしこって感じじゃ。」


「そっ、そんな………」


西条は、褒められて嬉しいのか少し照れ臭そうにもじもじしていた。


「夏帆さんは、いつも加代さんの面倒をみてくれているのかな?」


「えぇ、そうなの。今日からここに来ることになって今朝毎日お見舞いしにくるからね!とか約束してくれてもう自慢の孫よ。」


「おばあちゃん!それは、言わないでよっ!」


西条さんは、顔を朱色に染めてお祖母様に向かって言う。

恥ずかしいな、これ。俺が言われたらマジで恥ずかしくて死にそう。


「あぁ、それならうちの洸夜もさっき、毎日来るからなんかあったら言って……って言っておったわ!」


あぁ!!死にたい!!

なんで言うのかなぁ……ねぇ!恥かかせたいわけ?

別に、西条に何思われても傷つかないけど、お祖母様に可愛いわね、とかからかわれると恥ずかしいんだが!


「まぁ!それは、洸夜くん。可愛いわね!」


あぁ!死にたい!!(本日二回目!)


なんで俺が嫌なことをこうも連続に………

超能力とか持ってんのかな?このご婦人たち。


もう恥ずかしくてここにいられなくなった俺はすぐさま帰ることを決断する。すると、


「ねぇ、お互い毎日来るのなら、同部屋だし一緒に来たら?」


「「ええ!!なんで!?」」


俺と西条は、同じタイミングで同じ言葉を発する。


「それはいい。わしも夏帆さんの顔を見たい。」


「待って、ばあちゃん!それはさすがに……」


「洸夜は、この際どうでもいい!」


ひどくね!?俺、ばあちゃん大好きだよっ!?

今日一番メンタルがやられた。


「夏帆さん……」


「…………で、でも!」


「夏帆……一緒にこれない?私も洸夜くん、見たい」


「夏帆さん、ダメかの?」


「……………べ、別に、、い、いいですよ……」



西条が、苦渋の決断のような感じで答えた。





――はい!厄介ごと増えたぁ〜〜〜!!





読んでいただきありがとうございます。


もしよかったらブックマークを是非!!


そして、☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けると、執筆が若干はやくなりますのでよろしくお願いします

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