5弾 女子高生とモシンナガン
銃の撃ち方には方式というのがあるのが黒美は初見であり、初耳だった。モシン・ナガンはボルトアクション方式。手動で装填するという、戦国時代の火縄銃の装填みたいな手間のかかる作法と重ね合わせた。
だが火縄銃の30秒間とは大きく隔たりがある事に残念な思いには至らなかった。
少数の敵を排除するのだから弾は多量に携わる必要はない。ボルトアクションが理想的だという。
迅速でなければならないといけない思いで10秒間の間に弾2発込めた。咄嗟柵の前に膝撃ちの体勢に構えた。
実戦歴は無い。ただ本物と似た練習により、段取りは柔らかく流れを通して展開する事ができた。軍人の訓練は体力向上だけでは不適切であり、標的を仮想敵兵士に似せたり、制圧訓練受けたりするなど、バラエティーに富んだ形式に強制的の行じられるのが常だ。
黒美はPUスコープを目から少し間を開けて中の世界に瞳を向け込んだ。映画等では十字の線が描かれている事でそのイメージが濃いかったがスコープの描きは多彩であるとマリスの声が再び、聞こえたのである。
単純な模様ではない。距離を図る事を洗練されている。銃弾というのはビームみたいに直線描いて飛んでいる訳ではない。投げられたボールみたいに放物線を描いて飛翔する。
“僅かな角度でね。だから素人だの一般市民では直線だと勘違いしてしまうのさ”
銃マニアでも。いや銃マニアが間違えるのは当然と讃えるべきだ。
“自分から標的がどの位の距離かを数字を引き出すのが絶対的な条件”
彼の伝えてきた重要な部分は鮮明に記憶に残していた。暗記しながらずっと。
この時の姿勢は立て膝。もっと安定する姿勢、伏射で構えたい抱えだった。しかし標的は黒美よりも位置は下だった。下に向けて覗き込めるよう、立て膝を選ぶ方が良いと選んだからだ。
銃は重く感じる。それを忘却する事なるのを避け、気を重く置いて掴む力を緩めず安定を保つ。スコープを移動させ、男をスコープ内に置かせた。
“調整ノブを距離と合わして回せ”
この真ん中の立った棒の先に合わせる手順とはノブを回す事だ。着弾点が中心が来るようにする。黒美の右手がノブに触れた。親指、人差し指を踊るようにくねらせて動かす。ノブを見ない。カチカチと音でどれ位合わせたかを感覚で覚える。
ここから下の男への距離は50メートル。2回動かして、1回戻す。
ノブから指を離した。人差し指が引き金の位置に移る。