3弾 女子高生と中年男とロシア人
「ここで叫ばず、ゆっくり、黙って…従えばいい」
まずベッドに座れと指示された。私はシャッターを下げ、そして軸を微かに回した。
そこから男の言う通りにベッドに腰を据えた。私の前に目に映ったのは中村のまともともいえない歪んだ顔付きだった。奇妙たる気味の悪い、シワだらけの笑み。化け物が正体を明かしたという訳だ。
「ここで言う事聞けば安心させてやる。ただ別の件ではやましくなるんじゃないかな?君にとって…」
「…」
名誉毀損で訴えても勝算はある。契約書には“記載後の記事に対して一切クレーム付けません”と大きな文字の下に小さく書かれていた。
「君は死より恐ろしい現実を待遇することになるだろう…いや君達。そう君みたいな優勝歴のある子犬共と同じ運命に辿る…さあ…取材を始めようじゃないか、まずはその汚らしい服を脱げ。その方が白く美しい肌を披露目できるだろう…」
「…」
「嫌だとは言わせたくはないぞ。可愛く丁寧に扱ってやるからな」
「そのヘラ口を叩くのが嫌ですから」
「ほほぉーっ勝機な事はね~そんな面を見せるとは光栄だな。なら残念だが血で綺麗にするしかないな。報酬も待っているんだぞ。あのバッグには3万札の封筒が入っている」
「いえ…あなたよりもいち早く承諾したんですよ。斎藤賢治さん」
中村。と言われていた者がパッと目を丸く開いた。彼の行おうとした事が彼女の口に抑制される。
本名は既に知られている。というよりどこを。いつそれを知ったのか。
(この小娘如きが悟っていただと…)
「警察と肩を組んでいるのか。だがさっき言ったように裁判では勝てんぞ。誰も…助けなど来ない…!」
「いえ…警察でも正義でもありません」
正義でもない。それは表からやってきたのではなく、裏からの黒き来訪者。
「あなたのような変質狂よりも…更に酷い人ですよ。もう既に見てますよ」
黒美はふふんと健気に微笑みかけた。彼女の口がハッタリではないと信じた斎藤がどこだと焦り、辺りを見渡した。
斎藤の頭部がガクッと左に傾いた。「グウッ!」と強い唸りを上げた。
物体が高速で潜り込んだかのように押さえられ、左の耳辺りから血が枝別れに飛散。
その時に顔も笑顔が消え去っていた。不意に突かれた顔が停止してしまっている。
持っていたナイフを落とした。同時、男の直立も崩れ落ちた。
黒美はその彼の亡骸となるまで見届けた。斎藤という男の名刺もそれは偽造。編集の担当者も嘘。何にも就いていない。残っているのは腐りきった本人の顔のみ。
男の頭に込んだのは…とても危ない物…1発のライフル弾が壁に食い込んでいた。
電話機が震えだすと私は耳に当てた。
“男は生きてないか?ここからじゃ倒れてだけしか視認できないからな”
この若い少年の声に私ははいと頷いた。
「ダウンです」
“そうか。お前が知らされずに窓をシャッターに合間立てたおかげで騒ぎを出さずに済んだ”
殺害に協力に感謝込めている。大変込めているのは分かる。ただ黒美は心躍る様子が見られず
「こちらからも1つ申し上げたい件があります」
“何だ?”
この時に及んで何を尋ねる?もうこれでおさらばするのに?相手はそう思っているに違いない。
私は命掛けた1発勝負に挑んだ。
「私に殺める術を授けて下さい」