藁人形
「どうです?景気のほうは」
「低空飛行。墜落はしないけど、地面すれすれ」
「あれは売れてますか?」
「細々と。ブラジルだっけ?何とかというネットで毎月ある程度は売れてます」
「需要があるから」
「藁がヤバい。ただで仕入れたのは、よかったのか、わるかったのか」
「フレコンのやつでしょ?」
「そう。8000ベクレル超とか」
「毎日はさわらないでしょう」
「そう。作る日にいくつかまとめて」
「高校の同級生で医者になったのから聞いたら、
毎日さわらないで、さわる日も1時間か2時間くらいなら大丈夫って言ってました」
「フレコンが2つもある」
「置いているうちに、安全な数字になったりして」
「あの、ブラジルだかどこだか知らないけど、何とかって言うネット業者。
仕入れの担当は、とにかく口がうまい」
「何て言われた?」
「日本の伝統工芸ですから。受け継ぐのは大切です、だとさ」
「あはは、うまい」
「市民団体とかで、食品の数字がいくらかはかってるでしょ?藁人形を持ち込むのはいないよね」
「買った人たちの中には、マジで仕返ししているのもいたりして」
「あのときのおエラ方を呪う」
「心臓に毛が生えたような連中だから、元気で長生きするかも」
「駆け込み寺もあるんでしょ?都合がわるくなったときのために」
「フレコンは天気が荒れたというか、雨や風がかなり強かったときに、
いくつか行方不明になってる」
「上がいいかげんだから、
おれたちみたいな末端もそう」
「それじゃ、お元気で」
「はい、どうも」