表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

弟とおじさん

作者: 花野&れみ

こっそり投稿。

前半が母(当時小学4年)、後半が現在の私。

同じ人物について書いています。

『弟』 花野


私の弟は、弱虫だ。

ほかの子とちっとも遊ばない。

自分より小さな子がそばに来ても逃げ出す。

それに、まだ乳母車に乗っている。

あと何日かで四歳なのに。


すぐおこるし、わがままだ。

外に行く時、私がちょっとでも先に出ると

おこってわあわあ泣き出す。

公園へ行っても

よその子がブランコに乗ると

自分の乗るところがちゃんとあっても

きまって泣く。


弟のすきなものは汽車の絵だ。

コンテナ車、ゆうがい車、とんせき車

なんでもとてもよく知っている。


「書いて書いて書いて」


またはじまった。



* * *



『おじさん』 れみ


わたしのおじさんは、わるい魔女と二人で住んでいる。

ほかの人とはちっとも話さない。

わるい魔女の言うことしか聞かない。

それに、まだ働いていない。

あと何日かで六十歳なのに。


わるい魔女があばれると、おじさんはご飯やお菓子をあげてなだめる。

つかれるとわたしのところへやってきて

じっと座っている。

おじさんは紙のようにぺらぺらなので

ドアや窓の隙間から入ってきてしまうのだ。

それでもわたしは、時々いないふりをする。


おじさんは、もえないごみの日をいつも覚えている。

にごり水、赤い羽根募金、町内会の集金

なんでもとてもよく知っている。

わたしが風邪をひくと、具合はどうかと聞きに来る。

わるい魔女と暮らしているけれど、きっとおじさんはわるい人ではない。

だけどわたしは、時々いないふりをする。

三分間だけ気配を消して、遠い場所で眠ったふりをする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 胸がきゅっと痛みました。 男性のかげろうのような後ろ姿が目に浮かびます。
[一言] 前半部は、弟が妙にかわいく思いました。わがままで泣き虫なのに、なぜでしょう。 考えに考えて、わたしなりの結論が出ました。 「赤毛のアン」シリーズでアン・シャーリーが男女2人の子供を預かる話が…
[一言] 何回か、読みました。 この作品は、れみさんの文章があって、初めて完成した形になった気がします。 『弟』が成長して『おじさん』になった。 一人の人間の生き様が、他者目線でとても赤裸々につづられ…
2018/02/28 17:29 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ