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992年1月10日

 あぶね。三日坊主になるところやったわ。


 でもな、日記は書いていないけど、この記録用魔石には色々とメモしてよ、使い方を研究してたんよ。後さ、空間操作を色々と試したり。


 空間操作って名前だからさ、時空を弄ってワープってか、転移出来ないかなって試すんだけど、うまく行かないねぇ。収納と同じ様に空間に境目を作ってさ、いきたい場所にも境目を作る。そして、境目同士を繋いだらこっちゃからあっちゃまでトンネルで繋げたらOK?って試すけどうまく行かない。両腕を広げ、右手で格納したいものを持って、左手も取り出すつもりで両手を収納に突っ込んだら、予定通り収納内で右手から左手に移動できるんだけど。まだまだ考えないとな。


 記録用魔石は、常に空間収納して、ほんの指先だけ突っ込んで、記録することにした。この使い方は慣れやったわ。でも、まだまだ実験と練習を重ねないとな。


 実験と言ったらさ、空間収納に…収納で良いか。ま、その中に朝飯の黒パンをスープに浸した後にバレないよう仕舞ってね、昼のおやつにしたんだよ。ほら、アースってば、まだ昼飯食べないじゃん?昼にさ、こっそりと食べようとしたら…黒パンにスープを浸した部分、今浸けたばかりの様に暖かいの!考えてみたら、四次元で時間から切り離しているようなもの?かな。だから、収納してる間は時間が経たないって事だよね?


 その後、ミミズ捕まえてさ、収納に入れてみたの。これがさ、入らないのよ。ミミズ持って肘まで突っ込んで収納内で離しても、話した瞬間にミミズだけが指先がある付近に『ポッ』と浮かんで落ちちゃう。アリなんかで試しても同じ。活きてる物はダメかなって思ってさ、雑草を根ごと掘り起こして試したら…入るのよ。


 今日の考察結果として、生物の内、動物は収納不可。植物は可。自分で判断して動けるものは時間軸から切り離せないから、収納出来ないって事なんだろうね。


 空間操作だけ弄くってるのも飽きるから、色々な魔法の実験もしてるよ。ただねぇ、魔法を使うのってさ、精神的に疲れるんよ。集中して何かをしててさ、ホッと一息ついた瞬間に『ドバッ』でな感じで、身体の中に溜まった疲労が吹き出す感じ。集中しすぎて疲れたらさ、うまく魔法が使えない。


 でさ、この2・3日で気になった事があんのよ。セラがさ、なんでか俺を監視してるような…気のせいかな?普段よりね、母屋と倉庫の間にある俺の定位置にさ、覗きに来るようになったんだよ。俺、なんか変なことしてたかな?


 セラもここに来るって事は暇なんやろう思ってさ、読みたかった本の朗読頼んでみたら、読んで貰えたからラッキーな一日やったわ。


 ま、今日はこんな感じかな。



 ・ ・ ・ ・ ・



 私はセラ。今日はキリー様から、本を読んで欲しいとおねだりされた。手を引かれて『このご本よんで』と言われたのは、執務室に置いてあるお姉様の書籍です。


 読むことは問題はありません。私にお姉様からも読みたい本は自由に読んで良いと言われてますし。


 ただ、何故この書籍をキリー様は選ばれたのか?確かに、背表紙は朱色の革綴で題名が書いてあり、私から見ても重厚で高級そうですが。お子様とは、なんと言うか…もっと可愛い物を選ぶのではないのでしょうか。ジェフ様はそうでしたが。


 書物に親しむ事は良いことですので、私はキリー様にお読みいたしました。声を出して読む…私にも勉強になりました。


 ああ、本の題名ですね。それは…≪魔法の構成と発動≫。私の様な初心者が、感覚で覚えた魔法を頭で理解するための考え方の指導書のようで、本当に勉強になりました。前書きに『多くの者に実践出来ることを願う』と書いてあり、読んだら直ぐにわかると言うものでは無いようですが、これを選んでくれたキリー様には感謝です。


 ついつい、目から鱗な内容も多く、朗読が止ったりしましたが、その度にキリー様が『セラ、疲れた?今日はお仕舞いにする?』と、声だけは可愛く気遣いしてくれました。目は…『早く読め!』と、修道院時代の経理担当司祭様からの無言の圧力を思い出しました。


 夕食の準備のため、読み聞かせは一旦中止しましたが、早く続きが読みたいものです。

お読みいただき、ありがとうございます。

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