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992年1月2日

 久々に夜更かししたから今日は朝から眠かったよ。夜更かしって言っても、21時には寝てるんだろうけどな。昨日は、神社もないから初詣も無しの元旦だけに何もせず、自称神様の事も日記を書くとき以外は考えずに過ごしたよ。あれ?神社がないから夢の中に押し掛けられたんかな?



 明日、両親のパーティーが遠征に出る予定だから、朝からパーティーメンバーが準備の為に出入りを繰り返していたんだ。今日は今日で落ち着いて物も考えられん。可愛い息子としては、暫く会えなくなるパパンとママンに甘えとかないといけないしな。あっ、中身はおっさんでも父さん母さん大好きだよ。なんてぇの?肉体年齢に精神年齢が引っ張られてる部分が有るような…安心するんだよね。


 兄ちゃんはさ、父さん母さんを俺に譲ってくれて、暇そうなパーティーメンバー捕まえては冒険話をせがんだり、木剣使ってチャンバラせがんだりしてたわ。皆が忙しければ、俺の相手をしてくれたし。チャンバラオンリーだったけど。


 これは、父さんが戦士だからかな?チャンバラせがんだり、素振りとかしてるとめっさ機嫌ええんよ。旅立つ前は、気分よく送り出したいって兄ちゃんの心づかいだね。優しい兄ちゃんで良かったよ。でもな、3才の可愛い弟に鍋蓋持たして盾持ち訓練をするのは止めてくれよ。俺は大人になったら、今度こそ危ないことする気ねぇし。


 ああ、ついでに父さんの事を少し書いておくか。父さんは、成人前から丁稚奉公的な冒険ギルドの補助員登録して、冒険者パーティーのポーターからスタート。成人と共に冒険ギルドに本登録して、依頼毎に仮パーティーを組み経験を積むスタイルをとっていたらしい。その時の仮パーティーで気の合った奴らとつるんでいたら、いつの間にか固定パーティーが出来上がって居たんだと。で、いつの間にか兄ちゃんが仕込まれていた…と、メンバーの肉食エルフが言っていたな。


 セラは、保存食のパッキングや携帯食作りで忙しくてさ、今日は遊んでくれそうもない。そうそう、セラは家の住み込みメイドだけど、母さんの遠縁に当たるみたい。母さんの事を『お姉さま』って呼んでるから、従妹扱いかな?父さんの事は『旦那様』って呼んでる。アースの修道院って、女性の職業訓練所を兼ねてるのかな?セラも元修道女だし、前に、近所のねーちゃんとセラが立ち話をするときにくっついていたら、そのねーちゃんもさ、元修道女で食堂の厨房に立ってるって言ってたし。


 母さんとセラは、メリハリのついた眼福する身体付きしてるんだよな。母さんには身内だから、そんな気にはならないのは解るけど、セラにもいっそ…鼻息も荒くならない。やっぱ、子供の身体は賢者モードか。


 いやいや、話がそれた。なんで消去機能付いていないんだろう。



 何時ものように、母屋と倉庫の間にある物陰に嵌まりこんでさ、昨日付与された空間操作を試してみることにする。自称神さんは四次元の概念って言ってたから、三次元の立体+時間かな?解りやすく青いタヌキ型玩具の四次元ポケットをイメージして、手をそれに突っ込んだ。


 うん、イメージした空間位置で伸ばした手が指先から消えていき、気持ち悪い。肘手前から奥には入らなくなったが、指先には物に触れた感触はない。試しに手を抜き、小枝を拾って袋に入れるイメージをしたところ、小枝が消えた。小石も入れてみた。薪を拾ってきて入れてみた。手を突っ込まなくても収納は可能。


 次に袋から出すイメージを作ると、何にも出てこない?暫く悩んだね。手を突っ込んでみて何があるかを考えたらさ、袋に入っているもののイメージが脳裏に浮かんでさ、それを基に取り出すイメージをすると、取り出し成功!やっぱり慣れが必要なんかな?暫く練習やな。


 実は俺、習ってないけど簡単な魔法なら使える。去年の夏くらいだったかな?母さんやセラが魔法で遊んでくれた後、それまで考えなかった詠唱の意味を考えてみたら、『もしかして俺にも出来る?』って思っちゃった。いつもの様に物陰に潜んでで練習してみたんだ。初めは、うろ覚えの詠唱で。土でキューブ作ってみたけど形が歪。これ、集中力いるね。面白そうだったから、集中力の訓練は今もしてる。


 だからかな?皆には内緒にしてるけど、簡単な魔法は使える。詠唱もしない。なるべく物理的や科学的な考えをイメージすると発動する。例えば、初めのうちは『空気中の酸素原子2に対し水素原子1を、混合後に高速対流により発熱爆破』ってイメージすると、爆発と共に水が飛び散った。兄ちゃんやセラが飛び出してきたけど、爆発音の理由が解らずにさ、暫く自警団の巡回コースに組み込まれちゃった。今は空気中の水分から集めてるからね。


 まぁ、あんなこんなで『簡単な魔法なら詠唱無し』で、使えるんだ。一度発動した魔法は暫く訓練したらさ、簡単なイメージだけで発動するから便利だね。



 遠征前の夕食は、俺たち家族とパーティーメンバーが席に着く。夕食会が終わったらそのまま泊まり込んで、早朝に遠征に出発するのが流れ。


 食事前、皆が席につくと、父さんが簡単な挨拶と目的を話して、母さんが大まかな日程を説明する。これって≪隊長と参謀≫?じつは、パーティーのリーダーって知らないんだ。最初の挨拶するから、多分父さんかな?皆はリーダーって呼ばずに『ゴー』って読んでるからさ。


 メンバーは戦士が父さんと、髭が立派な小柄で小太りなおじさんのローバーさん。盾持ちが、これまた立派なお髭の小柄で小太りなお兄さんのドランさん。二人とも大酒飲みだから、リアルにドワーフやろか?弓がエルフのカイトさん。これは見た目でわかった。尖りお耳の細マッチョなイケメン兄さんだ。このイケメン、どっちの食も肉食らしくてイメージ崩れた。魔術師が母さん、治療魔法と生活魔法やもろもろの技術持ちのリンダさん。いつも黒いフード付きローブを着ていてるおねえさん。甘いもの大好きな人。実は、兄ちゃんやの憧れの人(笑)


 以上が冒険者パーティー『赤い旋風』構成員6名だ。


 話をせがんで聞いた限り、魔物を倒したり、ダンジョンに入って宝物みつけたり、誰かの護衛で遠出した時に旨いもの食ったりしてるらしい。酔っぱらいのドランさん曰く、『もう少しでAクラスになれそうだ』と言い、同じく酔っぱらいのローバーさん曰く、『依頼主と俺達が喧嘩するからC落ちかも』って言う。父さんに聞くとニコニコ笑って頭を撫でるだけだった。


 兄さんはカイトさんに弓の心得を真面目な顔して聞いているし、母さんとリンダは、セラと一緒に台所で…摘み食いしてた。


 セラが町に買い物するのにくっついて行くと、たまに父さん達のパーティーの話題が出る。大体が一山当てただの、難易度の高い討伐依頼をこなしただの、貴族が横槍入れてきたから小競合いになったらしいだの。危ないことはしてほしくないなぁ。平和な生活に慣れた中身のおっさんとしては。


 ま、危なく無い範囲で養ってな。子供としては。


 俺は、食堂を抜け出し部屋に。明日はお見送りしたいから早く寝よう。この日記を書いたら直ぐに寝ようと思ってる。外が薄暗いから19時台か?俺用の時計が欲しい。

お読みいただき、ありがとうのございます。


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