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戦うメイドと忍者(後編)

主人公、メイドでも容赦はしません

中庭でメイドさん達に囲まれた僕達。

この状態を打破するには戦うしかない。

僕は腰の後ろにある忍者刀を抜き放ち、逆手にもって構える。

舞は手に鎖鎌を持っている。

分銅のついている鎖をグルグル回転させている。

メイドさん達は銃剣の付いた89式5.56mm小銃を突きつけている。


「総員、確保!」


その声にメイドさん達が飛びかかってくる。


「無駄です!」


舞が鎖鎌の分銅の付いた鎖をびゅ〜んと放つ。

その攻撃にいくらかのメイドさんがダウン。


「ゴメンな」


僕は一言謝罪の言葉を述べる。

そして迫り来るメイドさん達に僕は忍者刀で斬りつける。

まぁ、峰打ちだから死ぬことはない。怪我はするだろうけど……。


「タァ!」


「ていや!」


僕と舞は次々と飛びかかってくるメイドさん達を戦闘不能にしていく。


「つ、強すぎます!化け物ですか!?」


後ろの方にいるメイドさんが叫ぶ。……化け物とは失礼だ。

僕達は忍びであって化け物じゃない。


「そこまでです!」


凛とした声が響く。

その声の方を見ると総勢6人のメイドさん。

その中心には西山さんの専属メイドの人がいる。

どうやらこの人が声の正体みたいだ。


「あなた達は下がりなさい。今の状態では戦闘は無理でしょう」


「しかし!――」


「大丈夫です。あの侵入者どもは私達がぶちのめします」


……なんか、口悪くなってないか?


「さあ、みんなを安全なところへ」


「はい!」


残っていたメイドさん達は倒れるメイドさん達を支えながら去っていく。

残ったのは6人のメイドと2人の忍者。


「さて、よくも好き勝手にやってくれましたね……」


鋭い目つきでこちらを睨みつける。


「私達、ドーベル隊が許しません!」


一斉に89式5.56mm小銃をこちらに向ける。


「撃て!」


―バババババババババ―


甘い!


―キンキンキンキン―


僕は飛んでくる銃弾を忍者刀で弾いたり叩き落とす。

弾ききれなかったり、叩き落としきれなかった銃弾は素早く動いて避ける。

動きが速くて残像が残っている。


「兄さん、援護します!」


舞が無数の苦無を放つ。

飛んでくる苦無に気づき、2人のメイドが撃ち落とす。

2人が撃ていた分の銃弾が飛んでこないこの隙に、飛んでくる銃弾を避けながら一気に距離を詰める。


「はぁ!」


忍者刀を一閃、一人倒す。

後ろから89式5.56mm小銃の銃底で殴りかかってきたメイドの鳩尾に忍者刀の柄で一撃を加え、メイドさんは昏倒。

これで二人。


「兄さん、こちらの二人を無力化しました」


苦無を撃ち落としていた二人を舞が知らぬ間に無力化、これで四人。


「くそぉぉおおぉぉ!!」


叫び、フルオート射撃しながら突っ込んでくるメイドさん。

なかなか男勝りじゃないか。

しかし、何事も自棄になってはいけないな。

僕は足元に落ちていた小石を拾い……


「てい!」


と、手首の力だけで放つ。

小石は見事にメイドさんの額に直撃し、そのままバタッとぶっ倒れた。


「私だけ……ですか」


残ったのは西山さんの専属メイドさんのみ。


「どうやら銃でなくつるぎで戦わなければ勝てないようです」


メイドさんはそう言うと89式5.56mm小銃を放り投げ、どこからともなく銃剣を取り出した。

こちらも忍者刀を構え直す。


「…………」


「…………」


双方睨み合ったまま時間が過ぎる。

その緊張感に耐えかねたのか、舞が少し足を動かし、ジャリと音が鳴る。

それが戦闘開始の合図だった。

始めに動いたのはメイドさん、少し遅れて僕も動く。


―カキン、キン、キンキン―


壮絶な斬り合い。

金属と金属がこすれ、ぶつかり合い火花が散る。

こんな相手は久し振りだ。ゾクゾクするね。


「ハァ!」


一瞬の隙をつき、苦無を放つ。

しかし、メイドさんに弾かれてしまう。

それでも問題はない。

なにせ僕の狙いは別にあるのだから……。

僕はメイドさんが苦無を弾いた瞬間、目に見えないで真後ろに回り込む。

そして忍者刀を一閃。


―ガキィン―


!防がれた!?


「舐めないでください……そんな子供達騙し……私に通用すると思わない事です!」


鍔競り合いをしていたけどメイドさんに押し返される。

どうやらメイドさんは本気のようだ。

だったらこっちも本気を見せてやる!


「行くぞ!」


僕はメイドさんに向かって走り出す。

メイドさんは銃剣を防御の構えでもつ。


「我流・ゼロ斬り!」


僕の編み出した技『我流・零斬り』。

この技は文字から想像出来るように、数字のゼロを描くように楕円形に斬りつける技なのだ。

そして、僕はその技を繰り出す。


「ぐふっ!」


そんな声をあげ、メイドさんがバタッと倒れる。

どうやら僕が勝ったようだ。


「兄さん、さすがです。お見事でした」


「う〜んそうかな……まだ改良の余地があるよ」


「あっ!そう言えば涼の居場所を聞き出すことを忘れてました」


「あっ……」


すっかり忘れてたよ。

これじゃあ、涼の居場所をが分からない。


―ピロピロピロピロピロ―


?この音は?


「あ、私の携帯です」


舞はゴソゴソと懐を探り、携帯を取り出す。


―ピッ!―


「はい、あっ、母さん……はい……はい……しかし涼は……はい……はい……分かりました。では」


―ピッ!―


「母さんから?なんだって?」


「それが…『よくメイドさん達を倒したわね。帰ってきていいわよ』と」


「じゃあ涼は?」


「それは『涼だって忍者なんだから脱出しないと、これも修行よ』とのことです」


……ということは、まさか涼を連れ帰るというのは嘘で本当は戦闘訓練ってことか?


「はぁ、なんかどうでもいいや……帰ろ」


「そうですね……」


僕と舞は溜め息を吐くと帰宅のため、夕闇の中に一瞬にして消えた。


その後、涼は夕飯ギリギリに泣きながら帰ってきた。

向こうでよっぽどのことがあったらしい。

後、僕と舞がボコボコにしたメイドさん達は半数が入院したらしい。

その他にも、トラウマを抱えたのがいたという話を聞いた。

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