西山家へ侵入せよ!
長くなりそう……
母さんに涼の迎えを頼まれた(脅された)僕は舞と一緒に西山家の前にいる。
「デカいね」
「大きいです」
僕達の目の前にあるのは西山家の門。
僕の家ぐらいあるな……。
とにかくインターホンはどこだ?
あっ、あった。
「……舞、金持ちでもインターホンはあんまり一般人と変わらないんだな」
「インターホンに変えようはないでしょう」
それもそうか……。
僕はインターホンを押す。
「…………」
反応がない。
僕はもう一度インターホンを押す。
しかしなにも反応がなかった。
「おかしいな……どうしてかな?」
「涼の携帯にかけてみます」
舞はスカートのポケットから携帯を取り出し涼の携帯にかける。
「……ダメです。圏外か電源が切られてます」
「圏外ってことはないと思うし、多分電源が切られてるんだろうね」
「そう考えるのが正しいでしょう」
さて、これからどうしようか……。呼び鈴を押しても反応がないし、涼の携帯にも繋がらない……。
「とにかく、誰もこないんだから勝手に入るしかないと思うけど……」
「事実、それしかありません」
「でも不法侵入だよ?」
「私達は忍者です。法律なんて関係ありません」
いや、関係大ありだと思うよ?
「そうと決まれば早速侵入です」
舞はそう言うとおもむろに自分の服に手をかけ、一気に剥ぎ取る。(ように見えるけど素早く脱いだだけ)
すると現れたのは忍装束の舞。
全体が藍色のような色の半袖の忍装束で腕には三本の苦無をくくりつけている。
「ほら、兄さんも忍装束になってください」
「なる必要……あるか?それ以前に侵入はダメだろ」
「つべこべ言わないでください!」
り、理不尽だ……
「早くしてください!」
「わかったよ……」
僕は自分の着ている服に手をかけ、一気に剥ぎ取る。
そこには忍装束の僕。
闇に溶けるような色の忍装束で、舞と違い腕は露出していない。
そして、腰の後ろには直刀の忍者刀。
普段は前髪で隠れている目が現れている。
「あぁ、やっぱり兄さん格好いいです」
舞がなんかポ〜として僕を見ている。
格好いい?嘘だぁ〜。
「さて、兄さんがカッコ良く忍者姿になったところで早速侵入しましょう」
「まぁ、侵入すると決めたからには真面目にしまいとね」
そう言って僕は覆面をする。
その隣で舞も覆面をする。
もうどこからみても忍者にしか見えないだろう。
「さぁ、行こう!」
僕と舞は跳ぶ。
そして門を上に着地。
まずはどういうとこか見とかないと……。
門の上から見えたのは、まず広い前庭。
そこには噴水とか温室?みたいなやつがある。
そしてその奥にある建物。
「どうやらあれが西山家の邸宅だな……」
「そのようです」
「だとしたら、あの中に涼がいると考えるべきだね」
「ですがあの大きさです。探し出すのは大変かと」
「確かに……」
これじゃあ、絶対に夕飯までに間に合わない。
「そこで、私が新しく作った忍具を使うことを提案します」
「ほぉ、どんなのだ?」
舞はおもむろに懐から、手のひらサイズの黒くて丸いものを取り出した。
「これは、私が特別に火薬を調合して作った爆裂玉で、あの邸宅ぐらいなら木っ端みじんです」
そんな物騒なもの、いつの間にか作ったんだ?
「……で、木っ端みじんにした後どうするんだ?」
「瓦礫の中から涼を掘り出します」
「その方が時間がかかる。却下」
「…………」
舞が恨めしそうな目でこっちを見ているけど無視。
絶対、爆裂玉を使いたかっただけだ。
「まっ、仕方がない。とにかく涼を探そう」
「……分かりました」
僕と舞は門からの上から飛び降りて、邸宅に向かい走り出す。
とりあえず短距離の陸上選手の全速力以上のスピードで。
―ビー!!ビー!!ビー!!―
噴水の近くまでくるとなにやら警報音が鳴り響いた。
その音で僕と舞は走るのを止める。
「なんでしょう?」
「警報音……センサーがあったみたいだね」
「では警備員がすぐに来てしまいますね」
「そうだろうね、警備員が来たら厄介だし……とにかく急ごう」
僕と舞が再び走り出そうとした時だった。
『警告します!!直ちに西山家の敷地から立ち去りなさい!!でなければ攻撃を加えます!!繰り返しはしません!!』
僕達の前方で拡声器を片手に怒鳴る人。
声からして女性みたいだ。
「女性の警備員ですか?それにしてはなにか……」
「……ん?いや……違う!あれは――」
『メイド!』
僕と舞がハモる。
なんで警備員じゃなくてメイドさんが出てくるの!?
しかもあの人だけじゃないし!?
なんか横に5人ぐらい並んでるよ!?
……ん?なにあれ?なんかメイドさん達の前に置いてあるもの……。
……って、おい!あれは!
「ガトリングガン!?」
うわ〜、ガトリングガンをこっちに向けてるよ……。
『……ところであなた達、その格好はコスプレ?』
……あんたたちだけには言われたくないよ。
「……兄さん、どうしますか?」
「とりあえず……物騒なもんだけでも潰しとくよ」
僕は袖から飛び苦無を五本取り出し、腕はそのまま手の力だけで、苦無を一度に五本放った。
苦無は音もなく飛び、ガトリングガンに命中。
ガトリングガンは煙を上げ使い物にならなくなった。
突然使い物にならなくなったガトリングガンに驚いてメイドさん達が慌てふためいている。
今のうちに行っちゃおう。
「舞、行くぞ」
「……(こくり)」
僕と舞は今度はある程度本気で走る。(というより跳んでいる)
普通の人だったら一瞬の影にしか見えないだろう。
僕と舞は一気に駆け抜ける。
その場に残ったのはガトリングガンをなんとか動かそうとするメイドさん達。
僕達が消えたのに気がついたのは大分たってからだったとか。
どうもありがとうございます。いきなりですが更新スピードが遅くなります。スミマセン。次こそ絶対にバトルさせようと思います。