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最終回・現代忍者の日々


――ドカン!!


この日の朝は爆発で飛ばされることから始まった。

ベッドで眠っていたはずだったが、爆発により見事に天井にめり込んでいた。


「起きた?」

「……あぁ、バッチリだよ母さん」


ドスンと霞は天井から落ちる。天井は人型に凹んでいた。


「さて、次は涼ね」


嬉々として母が、霞の部屋から出て行く。

霞は、未だ爆発のショックから抜けない頭を振って、頬をパシッと叩いて気合いを入れる。

そして、いそいそと制服に着替え始めた。


――ズドン!!!!


再び爆発が起こり、家が揺れた。

しかし、霞は気にすることなく着替えている。いつもの事だ。

着替え終わると、リビングの方に向かう。


「おはよう」

「……おはようございます」


低血圧ぎみの舞と挨拶をかわし、自らの席につく。


「父さんは?」

「……もう出ました」

「そうか」

「…………」

「…………」


相変わらず、朝は会話が進まない。


「おはよ〜」


まだ眠たそうに目を擦りながら、涼がリビングにやってくる。

今は、中等部の『女性用』の制服に身を包んでいる。


「母さんにも困ったものだよ。いい加減、目覚まし代わりに爆裂玉を使うのは止めてくれないかな……」

「あら、それは自分で起きない限り無理ね」


いつの間にか、リビングに戻っていた母さんがのたまった。今更驚かない。


「でも、体が保たないよ」

「黙らっしゃい!!」


その瞬間、母さんの手から沢山の苦無が放たれた。そのすべては、涼の方向に向かわず、何故かトーストを食べている霞に向かっていた。


――パシパシパシパシパシ……


向かってきた苦無を全て片手で受け取った。

トーストを食べているままでだ。

その光景を見た母さんは、関心したような声を漏らした。


「へぇ、ちょっと前だったら避けるので一杯だったのに」

「僕だって、成長しているってことだよ」


グイッと牛乳を飲み干した。



「いってきます」


学校に行く道中は、霞は涼と舞と一緒に行く。

変わらない日常だ。

しかし、最近は増えた。

居候している朱里。そして途中で合流する桜。そこに、二人揃って登校する鳴海と東も入る。

朱里と桜は互いを口撃しあい、舞と鳴海は新兵器の話し合いをしている。

涼はといえば、"女の子"として登校してから、東に口説かれて困っている。今も、霞の背後に隠れて東をやり過ごそうとしている。


そして……


「おはよう」


交差点で待っていた一組の兄妹。

九尾に操られていた隼人とチビ先輩の夏。黒井兄妹だ。

黒井家は、若頭一派が捕まえられ、監禁されていた頭により、全員がモヒカン頭にされて街頭募金をさせられている。

隼人は、操られていたということもあり、無罪放免とはいかないが、里を降りて世俗を勉強してこいと言われて兄妹で学校に通い続けることになった。

少し、賑やかになったが、変わらない日常だ。

だけど、そんな中でも世界は動いている。

しかし、霞は思うのだ。

世界と言われても分からない。未だにこの現代社会で忍者が必要なのか分からない。役割もいまいち分からない。

だけど、その力が必要な時があったら、全力でそれに対処しよう。

分からない事だらけだけど、別に分からなくたってもいい。自分が決めた事を守ればいい。それが、どう世界に作用するかは知らないけど、僕は、僕の日常を守るだけだ。



こうして、現代忍者は自分の日常を日々過ごしていく……。

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