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最終章・闇に胎動せし者達


闇……。

光は無く、ただ暗闇が支配する。

見渡してもなにも見えない…否、見ることが出来ない闇。

そんな闇でも、人の気配だけはあった……。


――暗闇に朧気ながらも、光が出現した。

赤く燃える灯火。

ろうそくの炎だった。

暗闇にろうそくの炎が次々と現れ、暗闇を照らした。

そこは、朽ち果てた木造の家屋の中らしく、神社かお寺のようだった。

ろうそくの光に照らされた室内には、黒装束の人間が集まっていた。

さらに、全員が『ひょっとこ』のお面で顔を隠していた。

怖いような、滑稽なような……。


「時は満ちた」


「今こそ我らが鉄槌を下す」


「力がすべて」


「力は何者にも勝る」


「力で世界を変える」


「黒き霧で闇を覆う」


「「「今こそ我らの復権の時!!」」」


ひょっとこの面を被った全員が吠えた。


「「「そうはいくか!!」」」


「「「――っ!!」」」


突如、乱入してきた人間達。

覆面をし、紫色の忍装束。そして緑色の忍装束。


「やはり貴様ら何か企んでいやがったな!」


「なっ!鷹山家と桃地家の忍か!なぜバレた!」


ひょっとこ達に動揺が走った。

ただ、表情は伺いしれない。

ひょっとこのお面を被っているから。


「このところ、怪しい行動ばかり闇でしていたからな。警戒していたんだ」


「くそ、感づかれていたか」


「そりゃ、そのお面を付けて毎回集まってると目に付くのは当たり前だ」


「「「…………」」」


ひょっとこ一同沈黙した。


「"黒き霧"との繋がりの証拠も上げてある」


A4サイズの茶封筒から、バサッと沢山の写真をバラまいた。

そこには忍者が迷彩服の人間とやり取りしているところや、背広姿の人間と飲み合っているところが写っていた。


「言い逃れは出来ないぜ。”黒井”」


「……その様だな」


「「「若頭!」」」


ひょっとこ達が左右に別れ、その間に出来た道から、ガタいの良い中年男性が現れた。


「黒井家若頭、黒井 圭介。忍三家の掟を破り、闇への介入。そして、黒き霧との繋がり……。すべて吐いてもらう」


「くっくっく……」


気味悪く、黒井 圭介が笑い出した。

ひょっとこ達を囲む忍者達がギョッとする。


「ハハハハ……ヒャヒャヒャ、ゴホッ、ゲホ」


むせた。笑いすぎで。


「……ふぅ、笑わせてくれる。まるでそちらが主権を握っているようだな」


パチンと指を鳴らす。

すると、どこからともなく迷彩服の人間達が現れ、銃を構えて忍者達に狙いを定める。

忍者達に動揺が走った。


「黒き霧の戦闘員……!はめられたという事か!!」


「そう言う事だ。残念だったな」


ダダダダダン!


朽ちた廃屋に銃声が鳴り響いた。



「さて、準備は出来たな」


黒井 圭介の言葉に、ひょっとこ達と迷彩服の戦闘員が頷いた。

部屋の隅っこには、忍者達が簀巻きに猿轡をされ転がされている。


「若頭、一人逃げましたが追撃しなくていいのですか」


「別によい。今更、手のうちようがないだろう」


「……確かに」


一人のひょっとこが頷く。


「しかし、驚きましたよ。躊躇いなく発砲したんですから」


「ゴム弾の装填を命じていたからな。このゴム弾は通常の銃器で使用できる物でな、実弾を装填しているように見えるのだ……」


その後も、クドクドと話し始める。

長話になるムードが出てきた。


「……にしても、小遣いが二万五千円とは低すぎないか?ウチの嫁は厳し――」


「若頭、話が愚痴になってます」


「……おっと、すまなかった。さっきの愚痴は忘れてくれ」


――こんな事を部下に愚痴ったのがバレたら後が怖いからな。


最後の言葉はボソッと言った。

どうやらカカア天下で尻に敷かれているご様子だ。


「……では、これより大規模攻勢を行う。まず、虎之介!」


「はっ!」


黒井 圭介の前にひとりの忍びがシュッと現れる。

ひょっとこの仮面はもちろん装備済みだ。


「お前の部隊は、黒き霧と連合して暗部機関本部を抑えろ」


「しかし、同盟関係にある魔法協会の介入も……」


「抜かりない。そちらには龍之介の部隊を送る」


虎之介と呼ばれた忍びの隣にシュッと新たな忍びが現れる。


「お前たちの部隊で、暗部機関本部・魔法協会に一斉同時攻撃を仕掛け、速やかに無力化せよ」


「「御意」」


シュッと姿を消した。

沢山集まっていたひょっとこ軍団からも、何人か消えている。


「隼人」


「はい」


今度は、お面をつけていない忍者が現れた。

前の忍者よりは若い。

大学生ぐらいといったところか。


「お前は……分かっているな?」


「はい」


「それで、お前の妹は拒否しているのか?」


「……はい」


黒井 圭介は、ウ〜ムと言いながら顎に手にやり、何やら思案する。


「仕方ない。抵抗する場合は、邪魔にならないように閉じこめるなりして無力化しておけ」


「はい」


そう言ってシュッと消えた。

残ったのは黒井 圭介と十数人の忍び達だけ。


「……では、我らも行くとするか」


「ですが、若頭。どこに攻めるというのですか?闇に関連する場所は桃地家と鷹山家の邸宅ぐらいですよ?」


その指摘に黒井 圭介は首を振った。


「そこにはすでに兵を送ってある。もう制圧してるんじゃないか?ほとんどの兵力がコッチに来てたみたいだしな」


そう言って、簀巻きになってある忍者達の群れを一別にて、嘲笑した。


「なら、尚更どこへ……?」


「決まってる。忍三家を管轄している組織……」




――宮内庁にな

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