涼とお嬢様
1日で二回目の更新!
今日は土曜日。
週休2日制のおかげで学校は休み。
あ〜、ゆとり教育最高!
さて、僕は今何をしているかと言えば何もしていない。
つまり暇なのだ。
―ピンポーン―
呼び鈴が霧島家に鳴り響く。
誰か来たみたいだ。
―ピンポーン―
アレ?誰もいないのか?
「母さ〜ん」
返事がない。
仕方がない、僕が応対するか。
―ピンポーン―
「ハイハイ、今行きますよ〜」
僕はリビングから出て玄関へ急ぐ。
玄関のドアにかかっている鍵をあけ、チェーンロックを外す。
「どなたですか〜」
僕はそう言ってドアを開ける。
ドアの向こうには清楚な感じの女の子とその横には……今なら秋葉原にいるような格好の人。
「えっと……メイドさんですか?」
「はい、確かにそうです。私はこちらの香苗お嬢様専属のメイドでございます」
「はぁ、そうですか……」
専属ってことは横の女の子はお金持ちか……。
「どうも初めまして。私は西山 香苗と申します。よろしくお願いします」
そう自己紹介をして深々と頭を下げる。
礼儀正しい娘だな。
「これはこれはご丁寧に」
こちらも頭を下げる。
一応、こっちも名乗らないとな。
「僕の名前は霧島 霞だ。よろしく」
「霧島 霞さん……涼様のお兄様ですね」
……涼様?
「涼様って……もしかして霧島 涼のことでしょうか?」
自分の頬がピクピクとひきつっているのがわかる。
「はい、そうです」
西山さんは満面の笑み。
なんだか周りに向日葵が咲いてるみたい。
「ところで、涼様はご在宅でしょうか?」
「ん……涼ね。多分居るよ。ちょっと待ってね、今呼んでくるよ」
「はい!ありがとうございます」
やっぱりいい娘だな〜
「涼〜」
僕は今涼の部屋の前にいる。
「涼〜」
ドンドンとドアを叩いても反応がない。
だけど僕は中に涼がいると確信している。
だって涼の気配がするし。
「涼〜、居留守使うつもりなら完全に気配を消せ〜」
「――っ!」
涼が息をのむのが分かった。
たぶん、完全に気配を消していたつもりなんだろう。
まだまだ未熟だね。
僕もだけど……
「……むっ!」
気配からして逃げようとしているみたいだ。
なぜ逃げようとするのか分からないけど、僕から逃げれると思うなよ!
僕はドアを蹴破り涼の部屋へ入る。
その途端、部屋は煙に覆われる。
煙玉か……まだまだだね。
「ていや!」
僕は涼の部屋の窓に鎖分銅を放つ。
「うわぁ!」
涼の声と手に持った鎖に感じる手応え。
捕まえた。
煙幕がなくなるとそこには鎖でぐるぐるになった涼が転がっていた。
「に、兄さん!今回は見逃して!」
「見逃してって言われてもな。何を見逃すんだ?」
「い、今家に来ている娘から……」
「ん?彼女なのか?」
「違うよ!」
なんだ違うのか……
「まぁ、とにかくお客さんがお待ちだぞ」
僕は涼に巻き付いている鎖をほどくと、涼の首をヒョイと持って玄関へ向かう。
なんか涼が猫みたい。
「兄さん!お願いだから見逃して!お慈悲を〜!」
「諦めろ」
「そんな〜」
色々とジタバタしていた涼だったけど玄関にきた途端、ピタリと動きが止まった。
よく分からないね。
「はい、涼を連れてきたよ」
「ありがとうございます!お兄様!」
ははは、お兄様って……
「さて、僕は自分の部屋に戻るとするよ。昨日、東のせいで観れなかった映画を観ないといけないからね」
「兄さん!行かないで!」
「あぁ、西山さん。何だったら家にあがってくれてもいいよ」
「お心遣いありがとうございます。ですが、私は涼様と私の家に向かう事になっていますので……」
「えっ?そんなのしらな――」
「そうか、まぁ、夕飯までには帰ってきなよ」
「兄さん!?」
僕と西山さんは涼の発言を華麗に無視して勝手に話を進める。
いや、だって我が弟にやってきた春だよ?応援しなきゃね。
「ではお兄様、少々涼様をお借りします」
西山さんはそう言うと、家の前で急停車した黒塗りの高級車に涼を放り込む。
アレ?運転していたのさっきのメイドさんじゃなかったかな?
「それでは」
そう挨拶をして黒塗りの高級車に西山さんも乗り込む。
黒塗りの高級車は西山さんを乗せるとタイヤを滑らせて急発進。
ものすごいスピードで去っていった。
それにしても……メイドさん、かなりのやり手だな……。
あと、誘拐や拉致と……違うよね?
そろそろ、主人公を戦わそうと思います。どんな感じにしようかな〜。それはともかく、さすがに1日2回の更新は辛い……。もうすぐ暇ではなくなるので更新が遅くなります(多分)