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外出、そして新たな影?

なんかもう……グダグダです


暑さがまだまだ続く今日この頃。

夏休みも明日で最後。

宿題がまだな涼と舞は、今は各人の友達宅で鋭意勉強中だ。

僕は既に終わらしているので問題ない。

だから、暇であるのだけど……。


「ふぁぁあぁぁ……」


クーラーの効いた部屋でゴロゴロとしています。

なに?グータラだと?

ほっとけ。


―トントン―


「ん?」


部屋のドアが控えめにノックされた。


「どうぞ〜」


すると、オズオズと朱里さんが入ってきた。


白のワンピースに小さな鞄を持っている。

さらに、頭には麦わら帽子みたいな帽子を被っていた。

どうも、お出掛け衣装みたいなんだが……。


何となく嫌な予感を胸に抱きながら、とりあえず聞いてみた。


「えっと、何か用?」


返ってきた答えは予想されていたものだった。


「一緒に出掛けましょう!」


その眩しすぎる笑顔に"断る"という選択肢を削除せざるおえなかった。





霧瀬市の繁華街。

一応まだ夏休みだというのに、なんだかいつもより少しだけ若者が少なく感じるのは気のせいだろうか?


「カスミさん!次はこの店に入りましょう!」


「……了解」


かれこれ二時間、暑い中ぶっ通しで朱里さんはこんなテンションだ。

しかも汗一つかいておらず、正直、体温調節のシステムが壊れているのではないかと疑ってしまう。


「さぁ、早く」


「待て、分かったから引っ張るな!」


朱里さんは僕の腕に引っ付いて引っ張っていく。

腕に何やら柔らかい感覚を感じ、青春真っ盛りの男子高校生なら喜ばしいことなんだろうが、今の僕にとっては暑苦しいとしか他ならない。

頼むから離れてください。

そんな僕の切なる願いなんか知ったこっちゃない朱里さんは、そのまま僕を店内に連れ込んだ。


『いらっしゃいませ〜♪』


「……ヌ?」


女性の何だか黄色い声が店内に響いた。

店舗内に入るまで気がつかなかったが、どうやらここは喫茶店のようだ。

適度に効いた冷房が気持ちいい。


「二名さまですね、此方にどうぞ〜♪」


店員の人が先導した先の席に、自然に向かい合うように座った。


「ご注文をどうぞ〜♪」


「……アイスコーヒー」


「じゃあ私も同じ物を……あと、レアチーズケーキ」


「アイスコーヒー二つにチーズケーキ一つですね〜♪かしこまりました〜♪」


やたらテンションが高い店員は注文を取ると、さっと去っていった。


ふと周りを見渡してみる。

そして少し後悔。

客のほとんどが女性ばかりだった。

ちらほら居る男性は彼女連れだ。

なんとも居たたまれない。


「……どうしました?」


「うん?あ…いや、ちょっとこの雰囲気が居づらくって」


僕の答えがいまいち分からないらしく、首を右に傾げていた。


あぁ、分からないですか……。

貴女は、僕がこの雰囲気に居たたまれなくなっていると、察してはくれませんか……。


「アイスコーヒーとチーズケーキお持ちしました〜♪」


「ありがとうございます」


「イエイエ〜、お仕事ですから〜♪」


僕と朱里さんの前にアイスコーヒーが置かれた。

勿論、チーズケーキは朱里さんの前。


「ではごゆっくり〜♪」


再び店員は消えていった。

……なんなんだ、あの店員は?

何故あんなにも間延びした口調なんだ?


「ところで、この後どうしますか?」


「ん?決めてないの?」


「はい」


……なら家に帰りたい。

しかし、この正直な心を素直に言ってはいけないことぐらい分かっている。

とにかく、涼しくて暇が潰せて疲れないところは……。


「……っ!?」


「……どうしました?」


……何か、変な視線を感じて窓の方を向いたんだが……。


そこには道を歩く人々が行き交う光景と普通なものだ。


気のせいか……?


「カスミさん?」


「……何か、変な視線を感じなかったか?」


「……変な視線ですか?いえ、別に…」


「そうか……」


朱里さんも忍者だ。

変な視線があれば気付くだろうし、やはり気のせいか……。


「で、どうしますか?」


「そうだね……」


何か条件に合うのは……

あっ…


「映画館なんてどう?」





霞達が喫茶店から動き出す頃、同じく近くで動き出す影があった。


「ふぅ…さっきはヤバかったです」


緑色の忍び装束を着込んだ少女だった。

霞が感じた視線も、この少女のものだった。


「さすが、霧島家の忍です。完全に気配を消していたつもりが察されるとは思わなかったです」


少女の視線の先には、並んで歩く朱里と霞に向けられている。


「しかし、桃地が既に来ていたとは……出遅れたです。黒井も送り込んだと聞いていますし、油断ならないです」


フッと少女の姿が消える。

次に現れたのはビルの給水タンクの上だ。


「にしても、霧島家の長男……霞と言いましたか、なかなかの良いです」


ちょっと頬を赤らめているが、少女自身は気付いていない。

霞の何がいいのか分からないが……。


「フフフ、落としてみます」


不気味な笑いが、霧瀬市に静かに響き渡った。




「――っ!」


「どうしました?」


「いや、急に寒気が」


「風邪ですか?」


「分からない」


「明日、新学期なんですから。気を付けてください」


「あぁ、すまない」


……本当に風邪の寒気何だろうか?

もっと違うものだと思ったんだがな……。


しかし、映画を観た後、霞はすっかり元に戻っており、変な視線とか寒気のことなんてすっかり忘れて、家に帰ったのだった。

どうも、月見 岳です。 現在、絶賛夏バテ中です……。 話は変わって次回から二学期編です。 新キャラ登場ですよ〜〜。

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