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忍者と侍、時々巫女。

作者、現在負けられない戦いの真っ只中です。

僕が来たときはまだ明るかった豊稲神社も、日が沈んだ今、すっかり暗くなっていた。


「霞君、助けてくれてありがとう。だけど下がってて。一般人には危ないから」


鳴海が険しい表情で言う。

僕が一般人だって?

一般人が刀持ってるか普通。


「……鳴海、僕が握っている物、気にならないのか?」


「刀でしょ」


「その刀を一般人が携帯してるか普通?」


「持ってない……って事は、霞君はなんで!?」


今頃気付いたか。

なんて言うか……抜けた奴だな。


「まぁ、僕も一般人じゃないってことさ」


「霞君、一体な――」


『死ねぇぇぇ!!』


いきなり、地面から生えてきた侍が僕に斬りかかってきた。

不意打ちとは……武士道もあったもんじゃないな。


―ズバッ―


侍が霞を斬った……と見えたが、斬ったのは霞の学生服だった。

斬られた学生服を見て、侍はニヤリと笑い、鳴海は呆然としていた。


「全く、侍の癖に不意打ちとはやってくれるじゃないか」


御神木の上から聞こえてくる声。

霞のものだ。

侍と鳴海が声のする方向を見ると、濃い藍色の忍び装束の人間が、御神木の太い枝に立っている。


『やはり忍びだったか』


「そうだ」


『クククッ……ハハハハハ!』


いきなり笑い出した侍。

僕と鳴海は訝しむ。

侍は、怪訝な表情の僕たちに刀の刃を向けると、声高々に宣言をする。


『我は忍びに殺されたんだ!』


……まさかね。

この後、"積年の恨み!"とか言って斬りかかって――


『積年の恨みぃ!』


僕に斬りかかってくる侍。

うわ〜〜〜、最悪だな。

僕は枝からクルリと飛び降り着地。

侍はそのまま、誰もいない枝を切るだけだった。


『大人しく斬られろ!』


「ヤダね。第一、僕が殺したんじゃないんだ。関係ないじゃないか」


『関係ある!貴様が忍びであるかぎりな』


……理不尽だ。


『と言うことで死ね!』


「んなことで死ねるかっつーの!」


競り合う忍者刀と日本刀。

互いの刀がぶつかった時に、火花が散っていた。

……くっ、力じゃ負けるか……。

僕はじりじりと競り負けていく。


「霞君!」


鳴海がMP7A1を発砲。

気の抜ける音を立て、BB弾が発射される。

発射されたBB弾は、見事侍に直撃。爆発した。僕と鍔迫り合いをしていたから、凪払うことも出来なかったし、回避も出来なかったんだろう。


『グハァァァァァァ!』


侍が爆発で吹き飛ぶ。

ちなみに僕も爆風をもろに浴びて、多少ダメージを受けた。


「大丈夫!?」


鳴海が僕に駆け寄ってきた。


「な、何とかね……。あの爆発が無かったら無傷だったろうけど」


「ご、ゴメン……」


僕がちょっと皮肉で言っただけなのに、鳴海はシュンとしてしまった。


「さて、とにかくあいつを何とかしないとな……」


「そうだね」


僕と鳴海は、同じ方向に顔を向ける。

そこには、禍々しい黒いオーラを出している侍が立っている。


『フシュゥゥゥゥ』


侍が刀を構え走ってくる。

今までより倍のスピードだ。


『グガアァァァァァァ!』


振り下ろされる刀。

僕と鳴海は左右別に跳び、なんとか回避する。


「たぁ!」


鳴海が横っ飛びの状態のままで発砲。

しかし、発射されたBB弾は侍の一振りによって全て落とされてしまう。


『邪魔をするなぁぁぁぁぁ!』


侍が高速で刀を一閃する。

その時、発生した強烈な風の風圧で鳴海は吹き飛ばされる。


「きゃああああああ!」


「鳴海!」


ヤバい!あのまま行くと鳴海が御神木に激突だ。

僕は瞬時に動き、鳴海の後ろに回り込んで、鳴海を受け止める。


「ふぅ、危ない危ない」


「あ、ありがとう」


「怪我、してないな?」


「うん」


「よし、じゃあ鳴海は後ろに下がって僕を援護して」


「わかった」


僕は鳴海の前に出て忍者刀を構え、鳴海はマガジンを素早く取り替え、両手にMP7A1を構える。


『うおぉぉぉぉぉぉ!』


雄叫びをあげ向かってくる侍。

僕も侍に向かって走る。

侍が僕に刀を振り下ろす。

その瞬間加速し、侍の斬りを避け、背後に回り込み忍者刀を一閃。


―ガキィィィン―


金属同士が擦れ、火花が散る。

なっ!受け止めやがった!

こいつ、さっきより戦闘能力があがってないか?


―シュポポポポ―


鳴海が発砲。

僕と鍔迫り合いをしている事により、払うことも避けることもできない侍は直撃を喰らう。

僕は巻き込まれないように寸前の所で上空に跳んだ。


……これでやったか?


僕が少し気を抜いた瞬間、背後に強烈な殺気を感じた。

見ると、侍が刀を振りかぶっている。


んな馬鹿な。なんで僕の後ろに……


空中にいるので避けることは出来ない。

僕は振り下ろされた刀を忍者刀で受け止める。

しかし、勢いまでは殺すことが出来ず、地面に叩き落とされる羽目になった。


「ぐっ……」


全身に激痛が走る。

しかし、ここは懸命に耐えなければ……


僕は痛む体に鞭打って、グルリと体を回転させる。

その瞬間、僕が元いた場所に上空から侍が刀を突き刺してきた。


あのままだったら死んでたな……。


僕は立ち上がり、刀が抜けず悪戦苦闘している侍に斬りかかる。


「てい!」


『グハァ!』


お、一応ダメージは与えられるのか。

しかし、そんなに効いてそうにないな……。


とりあえず、もう一回斬りつけようとした時だった。


『グワァァァァァァァ!』


いきなり、侍が苦しみ出した。

倒れ込み、のたうち回っている。


僕、なにもしてないんだけど……。


侍はある程度、のたうち回ると、ピタリと動きを止め、光の粒子となって上空高くに飛んで行った。


何なんだ一体?

とりあえず、終わったのか?


「終わったのか?」


鳴海に聞いてみた。


「うん、勝手に終わっちゃったみたい……」


勝手に……というのがよくわからないけど、終わったんなら普通の恰好に戻るか。


僕は素早く忍び装束から普通の学生服の恰好に戻る。


「あ、そう言えば!霞君て忍者だったんだね!」


「まあね、僕的には鳴海がこんなコンバットなことしてるとは思わなかったよ」


僕の発言に、鳴海はアハハと手を頭にやる。


「でも凄いね霞君。本当にシュッて瞬間移動できるんだね」


「全速力ならね。あと、僕の事は内緒だからね」


「分かってるよ」


本当に分かっているのだろうか……。

少し不安なんだけど……。

しかし、なんであの侍はいきなり苦しみだしたんだ?


「お、大丈夫だったか」


鳥居の方から一人の男性がやってきた。

ここの神主さん……つまり、鳴海のお父さんだ。


「お父さん!」


「鳴海、大丈夫か?」


「うん、なんとかね」


「そうか、良かった」


おぉ、今時珍しい、父と年頃の娘が仲がいいみたいじゃないか。

ウチなんか舞はバカ親父に近づきたがらないぞ。


「君は……霧島君だね?」


「はい、そうですが……何故僕のことを?」


神主さんとは初対面なんだけど……。


「いや、娘から色々聞かせてもらっているからね」


「ちょ!お父さん!!」


「ハハハ、まぁ娘と仲良くしてやってくれ」


「は、はい……」


なんか、この人には適わない気がする……。


「にしてもお父さんはどこに行ってたの?私たち大変だったんだから」


「あぁ、慰霊塔だよ」


慰霊塔?

そんなものこの辺にあったかな……。


「その慰霊塔というのは、昔このあたりであった戦で亡くなった人の為に造られたんだけどな。実はその戦の時に忍者に殺された将の悪霊が封印されていたんだ」


僕たちが戦っていたやつか……。


「で、その封印が弱くなってきたから強化しようと思って行ってみれば、見事に崩れていてね」


「……あのその慰霊塔ってどこに在るんですか?」


何故だろう。

凄く嫌な予感がするんですけど……。


「あそこの山の中腹ぐらいかな」


神主さんはここから近くに見える山を指差す。

あそこは……シバ吉と散歩に行った場所じゃないか……。

まさか……な。


「もしかして、慰霊塔って、よく分からない漢字が刻んである石柱……だったりします?」


「お、知っているのかい?その通りだよ」


なんてこった!

僕が崩したやつじゃないか!

結局は自業自得だったのか!?


「いや〜〜、また封印するのは大変だったよ。適当にその辺の石を器にして、そこにその悪霊を無理やり押し込んだんだからね」


「じゃあ、あの悪霊が消えたのはお父さんが封印したからなんだ」


「そうだ」


「……あれ?霞君、どうしたの?」


「な、なんでもないよ?ぼ、僕、もう遅いし帰るね」


多少、動揺してしまった。

まさか、慰霊塔を壊しましたなんて言えるはずがない。


「あ、うん。それじゃあまた明日」


「じゃあね」


僕は逃げるようにして、その場から立ち去った。

心の中で土下座して謝りながら……。

どうも、月見 岳です。 いきなりですが、なんかグダグダになってきてます。 まぁ、それはそれで続けるつもりですが……。 おっと、忘れてました。作中で"コルトM4カービン"をアサルトライフルとしてましたが、詳しくはカービン銃です。 あと、何かキャラクターに関する質問やリクエストなどあればできる限り答えます。 さて、次はどうしようか……。

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