表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Trick and treat  作者: T.S キャロル
5/22

第五章 佐奈恵

 青色のはちまき……。小学生のころは、青団なんて一度もなったことなかったんだよなぁ。あ、中学校では青龍団って言うんだっけ。

 そんなことを考えながら、私ははちまきをしっかり結び、体育館へ向かった。新校舎のこの学校は体育館へ続く廊下が明るい。お兄ちゃんのときは、窓がなくって暗かったけど、きっちり窓も左側についている。

「でもほんとよかったね」

 美鈴も同じ青色のはちまきの頭に巻いた。

「うん、ほんと。一緒の団じゃなかったら、さみしいもんね」

 互いに微笑み合いながら、体育館に入った。と、目の前の景色が上へばっと流れ、気付いた時には頭を床にぶつけていた。

「大丈夫?」

 顔を上げると美鈴が心配そうに眉を下げながら言った。幸い、周りに人は少なかったので、目立たずに済んだ。

「大丈夫」

 笑いながら起き上がろうとすると、すっと目の前に手を差し出された。美鈴かと思い、笑いながらありがとう、と言い、差し出された手を握り立ち上がった。顔を上げてびっくりした。

「僕の足でこけさせてしまったみたいだ。すまない。許してくれ」

 既に美鈴は体育館の奥の方にいて、少しぶっきらぼうに謝ってきたのは、メガネの少年だった。

「あ、ぁ……大丈夫です! あやまらないでください!」

 なぜか敬語になってしまう。

 こんなに顔が近かったら、顔に何かついてたら……!

 顔を真っ赤にしながら、気付かれないよう少し後ずさりしたが、すっとまた顔を近づけてきた。

「君はもしかして、この前の……」

 彼の言葉も耳に入らず、私はぼーっと彼の顔を見ていた。こんなに見たら失礼かも、と思いながらも、じっと見入ってしまっていた。

 すっと通った鼻、二重のきりっとした目と眉、なめらかな肌……。

 そう、そこまで見えてしまう距離だったのだ。

 そんな時間はあっという間で、また他の子たちが体育館に入ってきたので、私は「すみませんでした!」となぜか謝りながら、慌てて親友のもとへ行った。

「もう、何してたのー。顔が赤いよ? あ、もしかして、好きな人とラブハプニング?」

 美礼が茶化してきたが、まったく耳に入らず、そうなんだね、と笑いながら肩をぽんぽんとされた。

 彼も青色のはちまきをつけていたような気がする……。そう考えただけで頬が熱くなって、鼓動が早くなる。なんだか彼がなつかしく感じるのはなぜだろう?

 ありがとうございます!

 第六話もいかがでしょう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ