第二十二章 佐奈恵
こんな物語みたいなことが本当にあるなんて!
さきほどの出来事に驚き、よろこびながら、頬を紅潮させて家に帰った。
前お母さんからもらった、森沢さんにあげた小龍包のメッセージは、「愛しています」。気付いてくれたかな。あの様子だと、気付かなくても十分、って感じだったけど。
家に入るとお母さんに、なんでこんなに遅いの、と問い詰められたけど、秘密! と笑うとなんだか納得してくれたようだった。
自分の部屋に入った途端、電話のベルが鳴りだした。
「はい、もしもし」
「おう、佐奈恵?」
「あっ、はい」
相手は長野さんだ。
「あいつとうまくいったのか? 森沢と」
「えっ、別にいいじゃないですか、そんなこと」
思わず顔を赤くして言った。
「その様子だと、うまくいったようだな」
うれしさのあまりしばらく黙っていると、また長野さんが話し出した。
「付き合うのか?」
「いや、まだそこまではっきりとは……」
「じゃあ、ハロウィンは三人で一緒に過ごそうぜ」
「はい!」
「じゃあな」
「はーい」
そう言いながら、電話を切った。
なぜわざわざ、ハロウィン三人で過ごそう、など言ってきたのだろうか。もともとそうじゃなかったのかな。
うーん、と伸びをして、ベッドに横になった。そして、呼ばれるまで目をつぶることにした。森沢さんとのこれからのことに想像をめぐらして……。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
この小説を読んでくれた友達からは、「是非続きを書いて読ませてほしい」と大絶賛だったので、第二部も書いて行こうかな、と検討中です。
予定は未定ですが、それではこれからも、もしかしたらよろしくおねがいします!