第十九章 佐奈恵
最近、森沢さんに会いに行っていない。偶然今日のバスで乗り合わせたけど、特に何もしゃべれてなくて、バスを降りた時はなんだかとても後悔していたけど、そこまで後悔することじゃない。なのに、なんでこんなにも胸が痛くなるんだろう? わからない。
「えー、何―? 恋してるのー?」
すぐそばからした美鈴の声に思わずドキッとした。けど、美鈴が他の女子との会話の中でそう言った、と知り、ほっとため息をついた。
……あぁ、そうか。私、恋してるんだ。なんでかわからないけど、あの森沢さんを、好きになっちゃったんだ。だって、絶対この、胸が痛くなる、動悸が速くなる、頬が燃えるように熱くなる、っていう症状は、病気以外に恋しかありえないもんなー。
ためしに森沢さんの顔を思い浮かべてみた。
……あ、ダメだ。
みるみる体温が上昇し、動悸が速くなった。すぐに美鈴が気付いて、大丈夫? と声をかけてくれたので、にっこり笑いながら大丈夫、と答えた。
やっぱり恋してるんだなぁ。でもなぜ? あんな無愛想で、口が悪いわけじゃないけど、ひどいことをぽんぽん言えて、なんであんな人に? 恋するわけないんだけどな……。
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