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第十五章 学
彼女は一体何を怒ってるんだ? 喫茶店に入ってカプチーノとショートケーキを注文したっきり、むっつりした顔のままで、何も言わない。
「おい」
「なんですか」
返事もとげとげしている……。
「もう、何もないなら話しかけないで下さいよ」
「すまん」
彼女は少し眉を下げ、水を一口飲んだ。しばらくして、彼女の視線に気が付き、目が合った。
「どうかしたのか。僕の顔に何か付いてるのか」
「別にっ」
無愛想に返事をし、すぐにそっぽを向く。かわいいと思ってしまった。そのとき、福山さんのココアとショートケーキが来て、福山さんは一口ココアに口をつけ、少し顔をしかめた。
しかし、なぜこんなにも彼女をなつかしく感じるのか……僕にはさっぱりだ。