ブーメランで廻る世界
意味不明な内容だと思いますが、奇遇にも私も同意見です。
二十二世紀初頭、とある科学者の発明が世界を変えた。
その発明とは――ブーメラン、である。
だが当然のことながら、それはただのブーメランではない。
そのブーメランは『才能反映金属《ARM》』という特殊な合金で作られたブーメランであった。
才能反映金属《ARM》とは、持ち主の有する才能を読み取ることで形状や色彩、あるいは性質までも変化させる金属。また、持ち主の経験にも影響を受け、その姿・能力を変え続けるという特徴を持つ金属でもあった。
故に、この合金で作られたブーメランの登場は、これまでの世界を一新した。
だって自分にどんな才能があり、今どの程度のレベルにあるのか。それがブーメランを通じて分かるのなら、人は自らの歩むべき道を間違うことはない。
そして周りの人々も、その人物がどんな才能を持っているのか、それを瞬時に理解できる。何故なら、その人物の持つブーメランと才能はイコールなのだから。
政治家のブーメランを持つ者は、政治家に。漫画家のブーメランを持つ者は、漫画家に。
医師のブーメランを持つ者は、医師に。漁師のブーメランを持つ者は、漁師に。
それぞれが自分の才能をよく理解し、それを活かせる職業に就き、社会における自身の役割を全うする。
こうして人々はブーメランに導かれ、世界はブーメランによって安定した。
――ブーメラン至上主義社会の誕生である。
これは、そんな社会に違和感を持つ一人の少年――武梅走。
そして『非才能者』の烙印を押された者達の、反逆の物語である。
「――というか、そもそも何でブーメランなんだよっ!?」
悪ふざけにお付き合いいただき、まことにありがとうございました。
これでようやく健やかに眠れます。