鱗のぱぱちゃん
初投稿なんですが、…はい。すみません。
ぐわっと首をのけぞらせるアタシ。
白色の髭を蓄えた人が餌をつまんで差し出してくれる。
パクつこうとした瞬間 反対の手でアタシの口に丸い何かを押し込んだ。
「……!」
蜥蜴のアタシは鳴き声なんてあげられない。
???
…っていうかこれ硬ぇ!超絶、硬ぇ!!
くるしくて ぺっ!したかったけど、このやぁるろぅ(巻き舌で)、
アタシの口を親指と一指し指で押さえつけてやがる!
冷血なアタシだが、この時は確実に「ころす!」と昂ぶった。
「教授、この白蜥蜴めっさ睨んでませんか…?」
「ほっほ。しばしの我慢。しばしの我慢。いやはや、黒曜石の瞳が美しいのお」
「めっちゃ睨んでるめっちゃ睨んでる・・・!」
******
はてさて、ここは魔法のある和風な世界。山奥にちょこんと建てられた教授の個人的な研究室。先ほどのは教授とその助手の会話。
「もう!僕、恨まれるの嫌ですからね!買いだし行ってきます!」
助手の少年はエコバッグを手に移転魔法を使って行ってしまった。
「ほっほ。まあ、この子が眠りにつくにはあいつがいると騒がしいからの…」
アタシに優しいまなざしを向けていたことなんて知らない。
…だって、だってアタシは
「(死ぬ…!死ぬ…!)」
喉に丸くて硬いを詰まらせていたんだから。
教授は閉じ込めた蜥蜴を見た。
「これは 私の娘なんだよ」私はしてはいけないことをした…。
部屋には教授一人だが、
彼は助手がいなくなったとたん表情をなくすと白衣を脱いで、下に着ていたとっくりの黒いセーターも脱いだ。静電気なのか小さくぱちぱち鳴る。
彼の体は顔よりも歳をとっていた。
異常に細い上半身は白く、艶がないが 皺はない。
よるべき皮膚が背中に向かっていっていた。
「…」
教授がおっくうそうに曲げた背骨には 黒くまがまがしいものが埋まっていた。
陥没した そこに皮膚がひっぱられてひきつっている。
彼の背骨は濡れているのかと思うくらいうるうると光を反射している。
教授はそれに手を伸ばすと 思いっきり、引き剥いだ。
ぱぱちゃんは、教授ちゃん。です。あは。