『無貌彷徨の登場人物』
【笹ヶ瀬 衛】
ココと鏡花のクラスメイトで、名字通りのサワガセ担当。
昨今流行の「ウザかわいい」を目指して作ったキャラクター。そのため、心霊スポットと思しき場所でさんざん写真撮影をしておいて、いざ心霊写真が手に入ったら、どうしようと友だちに泣き付いたり、その一件で世話になった鏡花の趣味を、知ってか知らずか「お子サマ」の趣味と小馬鹿にしたり、ココに断りもなくグロ画像を見せようとしたりと、とにかく読者がイラッとさせられる言動が目立つ。
実際『連続動物〈盗難〉事件』のココを見ていると、「わりと本気でウザがってないか……?」と思しき台詞がちらほらとある。そう思われることは笹ヶ瀬の自業自得なのだが、一部地の文がややキツ過ぎるせいで、返ってココが腹黒に見える始末。
ただ『無傷』における意趣返しのシーンなどを見る限り、ココのお腹は天使のように真っ白というわけでもなさそうである。というか、笹ヶ瀬除霊イベントに鏡花を巻き込む辺り、もう充分腹黒なんじゃないんだろうか、ココさん。和菓子一個でそれを引き受ける鏡花も鏡花だが。
ちなみに「空気が読めない」という特徴は晶にも当て嵌まるが、彼女のそれはムードメーカーとして基本意図的に行われているため、笹ヶ瀬のそれとは根本的に異なる、気がする。
実は無駄に重い裏設定があったが、氷垣と藤枝の存在を飲み込まないため、またココにとって笹ヶ瀬は日常のシンボルであったため、『笹ヶ瀬 衛』にて語られた過去もそれなりのものとなった。多分ファザコン。
【藤枝 蘇子】
ささめのクラスメイト。
一応「ネタバレ厳禁」の方針で書いているため、彼女についてあまり多くを語ることはできない。
ささめ曰く一片の隙もない優等生。スタンダードな三つ編みにメラニン色素の有無を疑うほどの白い肌、同年代にはあまりないおっとりとした雰囲気に、今時珍しい(?)「子」の付く名前も相俟って、古式ゆかしい女学生を絵に描いたような人物である。
大野木家に起きたつくしの一件を知っている(事件の内容から考えて、笹々瀬も当然知っているはずだが、それに対する詳しい描写は本編中にない)ため、ささめがこれ以上大切な何かを失うことを恐れている。それゆえ、矛先は自らの秘密に近付こうとしている(と、藤枝が判断した)少女Sに向いたわけだが、想い人である少年Hと後輩である少女Oの仲に心乱された結果、凶行に走ってしまう。彼女の冷静さを欠いたのは、単に純粋な恋心か、それとも……。
ちなみに『藤枝 蘇子』にて、ささめにバレーボールのフォローを願うシーンがあったが、あくまで球技が苦手なだけであって、決して運動オンチではない。むしろ基礎体力は中の上レベルである。
あと演劇部所属。整った目鼻立ちと女子にしては高い身長から男装がえらく似合うらしい。
【氷垣 蓮太郎】
ココの先輩でささめのクラスメイト。
彼もまた、蘇子同様多くを語ることは叶わない。
少女のように繊細な柳茶色の髪と透き通るような白い肌──って美白率高いな第三弾。ココ曰く自分の違和感バリバリの白さとは違う、見ていて綺麗だなと思える純朴な白さらしい。ただ、ここで忘れてはならないのは、我らがココさんの他の追随を許さぬ自尊心の低さである。彼女から見れば大半の色白は「美白」に映る。
某後輩曰く学ランが似合わないらしい。これにはココも同意しており、ブレザーならしっくりきただろうにと心の中で感想を述べている。
異性関係に疎いココからは、異性に自然と耳打ちをしただけで、実は遊び人なのではないかと疑われていた。ココさんマジピュア。
既読者ならもうおわかりだろうが、彼はロクでもない人物といえばロクでもない人物である。しかし、本作はあくまでココとささめの視点(一部例外有り)からしか語られないため、彼の詳しい人物像を読者が知ることは難しい。蘇子と同じで抱えている問題・テーマが大き過ぎるキャラクターなので、彼女ともども作者が今より齢と経験を重ねてから、もう一度じっくり考えていきたいなぁと思っている。