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個人面談

「今日は、一日かけて一人ずつ面談していく

残ってる奴等は静かにしてろ

順番は適当に呼んでくから……」


大場が、教卓の前に立って話して始めた。


「面談か…」

「雄一は大場と面談初めてか?」

「うん…」

「オイラもだねぇ」


雄一が頷くと、その後に佐山が続いた。


「どんな感じなのかねぇ?」

「面倒だということだけは言えるな…」

「………ヤダな…」


そして、ヘッドフォンをして机にふせた。


「んじゃ~最初に 佐山昭吾」

「オイラからねぇ」


立ち上がり、大場の後について部屋を出て行った。

1人目佐山昭吾


「え~と、中等部最後のテストは何点だった?」

「258点かね…」


大場が黙り、佐山が照れ笑いを浮かべていた。


「300点満点中か?」

「1000点満点だったかねぇ…」


大場の顔が凍り付く。

佐山は、大場の手がグーになっていることに気が付いた。


「(この点数はヤバいかったかねぇ…)」

「ヤバい所ではないな」

「(心を…)」

「読んだぞ!」


キョトンしている佐山に、大場は拳を振り下ろした。


ゴンッ!


「イタイねぇ…」

「……特技はなんだ?」


頭に出来たコブをさすりながら考えていた。


「…………ジャンケンかねぇ」

「……わかった

よし戻って良いぞ」



7人目織田 一樹


一樹は、大場の向かいに座る。


「まず最初の質問だ

中等部最後のテスト何点だった?」

「225です」

「300点満点中だな?」

「いえ、1000点満点中です」


胸張って堂々と答える。


ゴンッ!


「イタイですよ…」

「あっ……スマン

女子に手をあげるとは…」

「女子じゃないです…」

「女子ではないっと」


そう言いながら個人名簿に書いていた。


「それでは特技はなんだ?」

「走ることです」


即答し、大場に促され教室を出て行った。


「お~一樹どうだった?」

「殴られました

でも…去年ほど面倒じゃなかった」

「言った道理だったねぇ」

「そりゃあラッキーだぜ

なぁ雄一」

「そうだな

あっ…パン持って来るの忘れてた」


雄一の緩さに、周りは苦笑いを浮かべてあった。


そのとき、加藤が戻り、佐々木が呼ばれて行った。

これでクラスの半分である22人目の生徒が面談を終わったことになる。


28人目関西 今日子

「中等部最後の…」

「296点やで」

「それは…」

「1000点満点中の

特技は野球

それと拳骨は勘弁な

ほな」


周りから聞いて質問がわかっていたのでサラッと答え、手を振りながら教室をで手行った。






33人目坂出 啓之


「最後のテストの点数は?」

「301点っす」

「何点満点中のだ?」

「500点くらいだったすかね」

「……1000点だ」


ゴン!

ゴン!


「なんで二発なんすか?……」

「先程の分だ」


啓之には、見に覚えのないことだったが


「さっきクラスで悪口言ったことですか?」


ゴンッ!


「なんで?」

「今のは、それの分だ


…特技は?」

「基本何でも出来ます」


そう言って教室を出て行った。


43人目織田 二美

44人目高山 雄一


「なんでボクたちは二人なんです」

「………」

「二美の言葉は聞き取れんからな…通訳だ」


大場の目に睨まれ、黙って頷く。


「最後の点数は?」

「………」

「………聞き取れません」


ゴンッ!


「何のための通訳だ」

「そんな横暴な…」


涙目になりながらコブをさする。


「何点なのさ?二美」

「………点…」

「953点?

二美はバカだな

ウチの学校は、500点満点だよ」

「バカはお前だ」


ゴンッ!


2段になったコブを頭に抱え、キリッとイスに座る雄一。


「で…お前は何点だ?」

「大体みんなと同じくらいかな」

「だから何点なんだ?」

「100ジャスト」










ガン!!!


二美の隣りで、口から人型の魂をだして机に横たわる。


「………」(大丈夫?)


魂が自分の顔の前で大きく×を作る。


「特技はなんだ?」

「……」(料理)

「(しゃかしゃか)」


魂が一生懸命に料理のジェスチャーをする。

それを見て大場は、顔をこわ張らせて言った。


「居合い斬りだと!!」

「違うわ!!」


雄一が、魂を口のなかに押し込み立ち上がり言う。


「じゃあなんだ?」

「料理ですって」

「お前は?」

「勉強」


親指を立てて言う。










ガン!!!







「じゃあ頼むぞ」

「………」(わかりました)


口から魂を出している雄一の襟を引っ張り出て行った。


「ったくオオバカのやろう…」


大きなコブを作り、クラスの机にあぐらをかいて座っていた。


「まぁ楽に終わって良かったじゃねぇか」

「そうですよ」

「殴られ損な気がすんだよな…」

「まぁ…いんじゃないのかねぇ、楽に終わったし」

「みんな同じことしか言わへんな」


笑いながら関西は呟いた。

その横で、二美は笑っていた。



「え~と全員終わったわけだが……このクラスは困ったもんだな…」


ため息をつきながら言う大場。


「こっちのセリフだぜ…」

「オレもそう思う」


ゴンッ!

ガン!!!


「イテ~…」

「なんでオレのほうが強いの……」


口から出かかった魂を無理矢理押し込む。

啓之も目から出かかった涙を押し込む。


「今度から週一大会もあるんだからしっかりしろよ」


大場の一言でクラスが凍り付く。

雄一は、周りを見渡すが誰とも目が会わない。


「なぁ一樹…週一大会ってなに?」

「知らないんですか!?中等部の時、あれほどやってきたでしょ」

「エラい地獄やったな…」

「………」(もうやりたくない)

「雄一は、1組だったから他の人がサボってた分を穴埋めしてたんだねぇ」

「とりあえず負けたら楽しい高校生活はねぇな」


「ふ~ん

良くわかんないな……

今日、マカシンだ」


この後、話を聞いていなかった6人に、大場のミサイルチョークが直撃した。



「校長7組はヒドすぎますでしょう…」

「織田姉妹を入れてるんだ学力、運動ともに問題あるまい」

「確か…一樹の方は男ですよ

それにどうせなら織田三絵も入れれば…」

「まぁワシにも考えってものがある」

「それに佐山と坂出の問題児コンビ

それに関西だって成績は底辺ですよ」

「ワシにも考えってものがある」

「……雄一君に関しては…なんで進級させたんですか?」

「ワシにも考えってものがある」


なにを聞かれても校長はそれしか言わなかった。

教頭の頭を悩ませ続けた。

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