✒ 龍宮城 9 / 闘技場
──*──*──*── 闘技場
ポセイレードさんに案内された《 闘技場 》に到着した。
物凄く立派で広い《 闘技場 》だ。
こんな《 闘技場 》でキノコンと人魚族の精鋭達との手合わせが間近で見れるなんて、嬉しいな~~♥️
テンションが上がっちゃうよ!
海亀
「 ポセイレード様ぁ~~精鋭達を呼んで来ましたよぉ~~ 」
ポセイレード
「 連れて来たか。
では、早速キノコン殿の実力を確かめるとしようか 」
キノコン
「 バッチ来いエリ★ 」
《 闘技場 》に集まった人魚族の精鋭の戦士達は、各々武器を持参している。
どの武器も丁寧に手入れがされている。
1体のキノコンを相手にして、向き合う様に人魚族の精鋭達が対陣を組んで戦闘態勢に入っている。
オレは離れた場所に在る見学席にポセイレードさんさんと並んで座っている。
ポセイレードさんの合図でキノコンの戦闘能力を見極める手合わせが始まった!
此処からはゲーム画面の戦闘シーンで例えたいと思う。
とは言え、ゲーム画面の戦闘シーンは何種類か有るから一寸迷うな。
【 ドラ◯ンク◯スト 】の正面式か、【 フ◯イナルフ◯ンタジー 】の真横式か──。
今回は味方キャラの姿が見える戦闘シーンをイメージしようと思う。
ポセイレードさんとオレは、画面の外で戦闘を見るプレイヤーって所かな。
キノコンと対戦者の精鋭達は画面の中で動くキャラクターって感じだ。
画面の右側にはキノコンが1体だけ。
可愛くも愛らしい外見のキノコ型癒し系怪物が立っている。
キノコンは素手だ。
大抵の動物系怪物は武器なんて持っていない。
画面の左側には武器を構えた精鋭の戦士達が立っている。
縦に4列,横に4列、16名が並んでいる。
1グループが4人パーティで、画面に4グループが出ている形だ。
1人が1ターンで動けるのは1回で、16名の戦士達が1人ずつ攻撃をする事になる。
1ターン目でキノコンは戦士達16名から集団リンチ的な攻撃を全て受け終えてから、初めて1回目の攻撃をする事になる。
対戦者から始まるターン戦闘は、一般的に見るとキノコンに不利な状況に映って見えるけど、そんな事は全くなくて──。
キノコンの攻撃を受けて戦闘不能になった戦士は、退場する形で1列目から去って行く。
2列目の戦士が1列目に出る事になって、新しい戦士は “ 補充 ” という形で最後列の空いた場所に入る形になる。
流石は戦闘狂の雑食系人魚族が誇る選り選りの精鋭なだけあって、戦士達の攻撃は凄まじいものだ。
一撃一撃が強力で重たくて、命中率も完璧だ。
普通の怪物ならば、一溜まりも無いだろう。
深夜に地上の《 フィールド 》を我が物顔で跋扈している強い怪物も楽勝で倒せる威力を放っている!!
オレも手合わせしたい!!
戦士達は各々の武器を使って攻撃を続けている。
戦士達の攻撃を受けてもキノコンは平常心で涼しい顔をしている。
キノコンの防御力は篦棒に高い。
何せ最強種と呼ばれるドラゴンが放つ渾身の全力攻撃すら受け流してしまい、1ダメージすら受けないんだからな!
それに反してキノコンの攻撃は軽いワンパンだ。
手加減をしているキノコンのワンパンを受けた戦士は、白目を剥いて倒れてしまう。
1撃で戦闘不能になり、離脱してしまうんだ。
戦士達の中には技持ちも居て、通常は1回攻撃なのに2回 ~ 5回の攻撃をする凄い戦士も居る。
キノコンは1回しか攻撃をしないけど、着実に戦士達の数を減らしている。
オレの左隣に座っているポセイレードさんさんは苦虫を噛み潰した様な顔をしている。
自慢の実力派の戦士達が次々とキノコンのワンパンを受けて戦闘不能になって離脱して行くからだ。
キノコンが複数攻撃や全体攻撃をしないのは「 ワンパンで十分 」宣言を律儀に守っているからだらろう。
戦える戦士達の人数が減って来た。
ポセイレードさんの両肩がプルプルと小刻みに震えている。
青筋が見えるのはオレの気の所為じゃない。
ポセイレードさんは頭を抱えている。
ポセイレード
「 ………………もう良い…………十分だ……。
キノコン殿の強さは十分に理解した…… 」
ポセイレードさんさんが重たい口を開けて言葉を発すると、キノコンの強さを確かめる為の手合わせは終了した。
無傷な戦士達は10名も残って居なかった。
ポセイレード
「 ………………これ程迄に強いとは……。
キノコン殿の強さを認めざるを得ぬな……。
これだけ強ければ、アリエムとマリエムを任せても安心だ…… 」
どうやらポセイレードさんは、キノコンの強さに納得してくれたみたいだ。
当のキノコンは物足りないのか、体を上下に動かしている。
ピストン運動をしているキノコンも可愛いな~~♥️
キノコンの可愛さは人魚族の戦士達にも通じているみたいだ。
オレは見学席から腰を浮かして立ち上がると、キノコンの元へ駆け寄る。
キノコンは笠の中から、ピンポン玉程の球体を取り出している。
マオ
「 キノコン、お疲れ様!
その丸いのは何だ? 」
キノコン
「 回復薬のグミですエリ。
これを噛めば、回復薬が口内に広がりますエリ。
持ち運び易く、口の中以外で破れない様になってますエリ 」
マオ
「 改良したんだな 」
キノコン
「 海中で液体は使えませんエリ。
海中でも使える様に改良されましたエリ 」
マオ
「 海中で使う為に? 」
キノコン
「 戦闘不能の戦士達に使えば直ぐ元気になりますエリ 」
マオ
「 分かった。
オレも手伝うよ 」
キノコンからプニプニしたグミ系の回復薬を受け取ったオレは、戦闘不能の状態で地面に倒れている戦士達の口の中に回復薬を入れた。
口を動かして回復薬を破らせる。
暫くすると戦闘不能だった戦士達が目を覚まし出した。
上半身を起こして、自分の身体が全回復している事に驚いている。
ポセイレードさんもグミ系の回復薬に興味津々みたいだ。
オレはグミ系の回復薬を持ってポセイレードさんに見せた。
ポセイレード
「 ほぅ……口の中に入れ噛むと回復薬が溢れるのか──。
プニプニしているな 」
マオ
「 グミをヒントにして改良された回復薬だよ。
針で刺しても破れないんだ。
口の中に入れると唾液に反応して包んでる膜が溶けて薄まるんだ。
歯で噛むと簡単に膜が破れて、口の中で回復薬が広がるよ。
この回復薬を作ったのはセロで、破れない様に改良したのはキノコンだよ。
キノコンは強いだけじゃなくて、研究や実験,開発なんかも好きなんだよ。
多才な技術を上手く活かして地上でも大活躍してくれてるよ 」
ポセイレード
「 ほぅ?
キノコンは強いだけではないのか……ふむ── 」
マオ
「 例えばだけど──、キノコンは分身が出来るから、1人の戦士に対して1体キノコンを専属で付けて、鍛練する戦士達の相手にしても良いと思うかな。
防御力と回避率の高いキノコンには手加減なしの大技をつかっても怪我をしないから、強さを求めて更なる高見を目指す戦士達の相手には持って来いだと思うよ。
弱点や改善の指摘もしてくれるから謙虚に学ぶ姿勢が持てれば、更に強くなれると思うよ。
キノコンは陣取りゲームの囲碁も得意だから、戦になった時でも囲碁で鍛えた戦術と戦略を活かして戦を勝利へ導く事が出来るよ。
軍師としても有能だし、分身体が戦場へ直に出て、伝達能力を使って戦士達に的確な指示を出す事が出来るから、戦で亡くなる戦士を減らす事も可能だよ 」
ポセイレード
「 ほぅ?
……………………確かに戦士達の渾身の一撃を何度も受けていたがダメージを負っていないな。
キノコン殿を鍛練の相手にすれば、怪我をする戦士達を減らせるか──。
鍛練でも常に全力を出せるという事か──。
実に魅力的な話だ 」
マオ
「 キノコンの主人はセロだから、セロに相談してみたら良いよ 」
ポセイレード
「 ふむ…………考えてみるかな…… 」
キノコンはと言うと、元気になった戦士達とスッカリ打ち解けていて、仲良くなっている。
戦士達もキノコンの可愛さにメロメロみたいだ。
キノコンの強さが判明した事もあって《 闘技場 》を出て、《 龍宮城 》へ戻る事になった。
ポセイレードさん,キノコンと一緒に《 闘技場 》を去る間、戦士達が手を振って見送ってくれた。




