✒ 龍宮城 8 / 交渉
──*──*──*── 謁見の間
[ 謁見の間 ]の奥には厳かな椅子が2脚並んでいる。
椅子に座っているのはポセイレードさんと奥さんだ。
美人さんだけど、厳しそうな奥さんだなぁ……。
双子姫も大人になったら、奥さんみたいな美人になるんだろうな。
ポセイレード
「 どうされたのかな? 」
セロフィート
「 実は提案したい事が有りまして── 」
ポセイレード
「 提案したい事?
ムシュカの恩人のだ。
どんな提案なのか聞こう 」
セロフィート
「 アリエム姫とマリエム姫の事です 」
セロが双子姫の名前を出すと、ポセイレードさんは身を乗り出した。
セロはポセイレードさんと奥さんに巧みな話術で話し始めた。
オレより2100年も長く生きているセロの交渉術は見事なものだ。
口から嘘っぱちな言葉が湯水の様にスラスラと出て来る。
交渉が上手くいかなかったら、ポセイレードさんと奥さんの記憶を改竄するんだろうけどな?
ポセイレードさんと奥さんは双子姫が地上へ行く事を許してくれると良いんだけど──。
ポセイレード
「 だ…駄目だ!!
見聞を広める為とは言え、地上で暮らす等──!!
そんなとんでもない提案に頷ける訳が無い!!
駄目だ!!
ポアリナーラ、お前も反対だろう! 」
ポアリナーラ
「 社会勉強の一環として地上の生活を体験する──。
別に良いと思いますけど? 」
ポセイレード
「 ポアリナーラ!
何を言うんだ! 」
ポアリナーラ
「 そんな事より大事な話が有ります! 」
ポセイレード
「 大事な話だと?
アリエムとマリエムの事より大事な話とは何だと言うんだ? 」
ポアリナーラ
「 アリエムとマリエムの部屋を見ました。
模様替えがされていたわ。
2人を問い詰めたら、セロフィート様が模様替えをされたそうですね 」
ポセイレード
「 模様替えがどうしたと言うんだ? 」
ポアリナーラ
「 ワタクシの部屋も模様替えをしてほしいのです。
ワタクシの部屋をアリエムとマリエムの部屋より素敵な部屋に──!!
引き受けてくれるなら、アリエムとマリエムの社会勉強を許可します。
気の済む迄、地上での生活を謳歌しても構いません 」
ポセイレード
「 な゛っ?!
何を言うんだポアリナーラ!! 」
ポアリナーラ
「 良いではありませんか。
嫁いで家庭を持てば、地上へ行く事も叶わなくなるのです。
独身の時にしか体験の出来ない事なのですよ。
偶には貴重な人生経験をさせてあげるのも良いでしょう 」
セロフィート
「 “ 可愛い子には旅をさせよ ” と言う諺も有ります。
旅ではなく、海辺に近い≪ 村 ≫で暮らすくらいです。
何も危険な事は有りません。
海賊も退治しましたし 」
ポアリナーラ
「 まぁ!
セロフィート様は海賊退治もされるのですか? 」
セロフィート
「 勿論です。
路銀稼ぎに丁度良いですし 」
ポセイレード
「 危険は本当に無いのだろうな! 」
セロフィート
「 勿論です。
≪ 村 ≫での滞在中には海賊船を改装した宿泊施設に宿泊してもらいますし、護衛には常にキノコンを付けます。
仮に怪物と遭遇してもキノコンが瞬殺してくれます。
アリエム姫とマリエム姫が戦う必要は無いです 」
ポアリナーラ
「 母とワタクシの教育係りだったムシュカを助けてくれた恩人の言葉ですもの、信じます。
さぁさ、大事な話はこれくらいにして!
セロフィート様、早速ワタクシの部屋の模様替えをしてくださいな 」
セロフィート
「 喜んで。
お母様方の部屋も模様替えしますよ 」
ポアリナーラ
「 まぁ!
良いのですか?!
母も御義母様も喜びますわ♥️
アリエムとマリエムの部屋を羨ましがっていましたもの!
先に行って声を掛けてきますわ!
アケシャ、セロフィート様をワタクシの部屋へ御案内してね 」
海亀:アケシャ
「 畏まりましたぁ~~ 」
ポアリナーラさんは座っていた椅子から腰を浮かせると、一足先に[ 謁見の間 ]から出て行った。
ポセイレード
「 全く…………我妻と来たら── 」
ポセイレードさんは呆れた表情で、去って行く奥さんのポアリナーラの背中を見送る。
決定権は奥さんの方が強いのかな??
セロフィート
「 ワタシは失礼します。
マオ──、アリエム姫とマリエム姫の護衛を任せるキノコンを召喚します。
護衛として相応しい事を証明し、安心させてあげてください 」
マオ
「 お…おぅ……分かったよ。
自慢の精鋭達にキノコンの相手をしてもらえば良いよな? 」
セロフィート
「 十分です。
此処は海中ですから呉々も胞子を撒かない様、キノコンに言い聞かせてください 」
マオ
「 分かったよ 」
セロフィート
「 任せましたよ 」
セロはオレの額に口を付けてデコチュしてくれる。
古代魔法で召喚されたキノコンが[ 謁見の間 ]に現れた。
セロは海亀さんに案内されて[ 謁見の間 ]を出て行く。
ポセイレードさんは現れたキノコンの姿をマジマジと見ている。
キノコン
「 初めましてエリ。
キノコンですエリ。
キノコンの強さを体感してほしいエリ 」
マオ
「 キノコン、此処は海中だから胞子を撒くのは無しでな。
城内だし、キノコン砲も禁止で良いかな? 」
キノコン
「 構いませんエリ。
ボクはワンパンで十分ですエリ 」
ポセイレード
「 ………………人語を話す怪物なのか……初めて見たぞ。
随分と知能が高いのだな。
海中でも平気なのは摩訶不思議だな 」
キノコン
「 キノコンは海底の水圧にも熔岩のマグマにも耐えれるエリ。
精鋭達を集めるエリ 」
ポセイレード
「 場所を変えるとしよう。
《 闘技場 》が在る。
案内するので着いて来るが良い 」
マオ
「 闘技場!?
そんな場所が在るんだ。
オレも人魚族の戦士達と手合わせしたいなぁ~~ 」
ポセイレード
「 ふむ?
良いだろう。
好きなだけ戦士達と手合わせをすると良い。
海中での戦闘はマオ殿に不利かも知れんがな 」
マオ
「 貴重な経験になるよ。
人魚族の戦い方も見たいし!
《 闘技場 》って事は大会とかするの? 」
ポセイレード
「 勿論だ。
4年に1度、強者を決める大会を開催しておる。
残念ながら大会は2年後だ 」
マオ
「 そっかぁ……。
武器はOKなの? 」
ポセイレード
「 勿論だ。
皆、自慢の武器を持参して戦うのだ。
大会では同族だが、実際に戦う相手は怪物だからな。
武器は必需品だ。
皆で切磋琢磨し合い、技を高め合った実力を披露する大会でもある 」
マオ
「 そういう胸熱な大会、大好きだよ!! 」
キノコン
「 マオ様、キノコンが喜んで相手しますエリ。
《 闘技場 》でお手合わせしますエリ 」
マオ
「 ……………………キノコンは強過ぎるんだよ。
キノコンから1本も取れないのにセロから1本を取れる訳が無いよなぁ…… 」
キノコン
「 マオ様、ドンマイですエリ。
成長したいなら強者と戦い、己を鍛える事ですエリ 」
マオ
「 分かってるよぉ…… 」
ポセイレードさんとキノコンと話ながら[ 謁見の間 ]を出た。
ポセイレードさんに案内されて《 闘技場 》を目指す。




