✒ 亀の恩返し 2
──*──*──*── 海賊船
──*──*──*── 客間
[ 厨房 ]から移動して[ 客間 ]で海亀さんの話を聞く事になった。
海亀さんの体は、血行が良くなったみたいに鮮やかに色付いていた。
海亀さんは、父親の誕生日を祝う日に城を抜け出したおてんば姫とやんちゃ姫を探す為に海を泳いでいたらしい。
2人共、人間の世界に憧れを抱いていたから、浜辺へ見に来たらしい。
結局、おてんば姫とやんちゃ姫を見付ける事は出来なかったらしい。
諦めて海に戻ろうとした所で人間の子供に見付かってしまい、散々な目に遭っていたとの事だ。
浜辺で綺麗な貝殻を探していたセロとオレが、子供達に囲まれて悪さをされて困っていた海亀さんを見付けた──って事らしい。
海亀さんはセロとオレを見て、“ 人間じゃない ” って事を瞬時に理解したらしい。
《 龍宮城 》に戻るとおてんば姫とやんちゃ姫は既に帰宅していた。
父の祖父母,母の祖父母,両親,姉達からこっぴどく怒られた後、謹慎を食らっていたらしい。
海亀さんもおてんば姫とやんちゃ姫に御説教をしたそうだ。
その時に少しでも人間の世界の危険性を知ってほしくて、浜辺で凶悪な人間の子供達に囲まれて、酷い目に遭わされた話もしたそうだ。
それが拙かったらしく、人間の世界の危険性を知ってほしかったのに、逆に興味を持たれてしまった。
おてんば姫とやんちゃ姫からしつこく詳細を聞かれる事になって──、人間じゃないセロとオレに助けられた事を話しちゃったらしい。
そんなこんなで、おてんば姫とやんちゃ姫は海亀さんを助けたセロとオレに興味を持っちゃったみたいで──、教育係を助けたセロとオレに御礼がしたいから “ 連れて来い ” っていう我が儘を言い出した。
それが両親の祖父母,両親,姉達にまで知られてしまい──、海亀さんは再び浜辺へ赴く事になったらしい。
そんで、土産に自分の子供を持参して訪問した訳だ。
マオ
「 セロ、どうするんだ?
招待されてるし、《 龍宮城 》に行くのか? 」
セロフィート
「 マオは行きたそうですね 」
マオ
「 そりゃ行きたいに決まってるだろ!
だって《 龍宮城 》だぞ!
絵にも描けない美しさで有名な──《 龍宮城 》だぞ!! 」
セロフィート
「 マオが想像しているのは、お伽噺に登場する “ 龍宮城 ” でしょう。
明らかに違うと思いますけど? 」
マオ
「 そゆこと言うなよぉ~~。
気分を削がないでくれよ…… 」
海亀:ムシュカ
「 来て頂けるとぉ~~わたしも助かりますぅ~~ 」
セロフィート
「 はいはい、分かりました。
では招待されるとしましょう 」
マオ
「 やったぁ!! 」
という訳で、セロと一緒に海亀さんに招待された《 龍宮城 》へ行く事になった。
──*──*──*── 浜辺
海亀さんは亀なのに意外と動きが速い。
亀ってノロノロ動くもんだと思ってたんだけど、そうでもないのかも??
マオ
「 でもさ、どうやって《 龍宮城 》へ行くんだ?
ムシュカさんの背中に乗って行くの? 」
セロフィート
「 流石に2人乗りは無理だと思いますけど? 」
海亀:ムシュカ
「 これを口に咥えてくださいぃ~~。
これを咥えていれば、溺れなくてすみますぅ~~ 」
マオ
「 ピカピカして綺麗だけど?
これって人魚の鱗? 」
海亀:ムシュカ
「 御存知でしたかぁ~~。
そうですぅ~~。
これは人魚の鱗を職人が加工して作られましたぁ~~ 」
マオ
「 海に入るんだよな。
溺れなくても、濡れちゃうんじゃ…… 」
海亀:ムシュカ
「 それは諦めてくださいぃ~~。
海中に入ればぁ~~気にならなくなりますからねぇ~~ 」
マオ
「 セロ、シャボン玉で行こうな? 」
セロフィート
「 はいはい 」
海亀:ムシュカ
「 しゃぼんだま??
それは何ですかぁ~~? 」
マオ
「 濡れないで海中を移動する為のシャボン玉だよ 」
海亀:ムシュカ
「 そんなモノが有るのですねぇ~~ 」
セロフィート
「 折角ムシュカさんが用意してくれた鱗です。
ムシュカさんの厚意を無下にする訳にはいきません。
有り難く使わせて頂きましょう 」
マオ
「 えっ……使うのか?
じゃあ、シャボン玉は? 」
セロフィート
「 使いませんけど 」
マオ
「 何でだよぉ? 」
セロフィート
「 偶には海水に濡れてみるのも良いでしょう? 」
マオ
「 マジかよ…… 」
セロフィート
「 マオ、そんな顔をしないでください。
何事も経験です。
楽しみましょう 」
マオ
「 楽しいのはセロだけだろぉ~~ 」
海亀さんから受け取った人魚の鱗を加工したモノをセロから受け取る。
セロは加工された人魚の鱗を口に咥えている。
オレも加工された人魚の鱗を口に咥える。
咥えて見て分かったんだけど、鱗の真ん中が膨れていて、息を吹くと鱗から息が抜けて行く。
マオ
「 穴が空いてるんだな。
穴が開いてたら、水が口に入って来るんじゃ…… 」
セロフィート
「 心配性ですね、マオ。
腕の良い職人さんに加工されている品です。
息は吐けても水は入って来ない作りをされてます。
使っても大丈夫です 」
マオ
「 うん…… 」
海亀:ムシュカ
「 ではぁ~~出発しましょうかぁ~~ 」
マオ
「 お…おぅ……。
でもさ、どうやって? 」
海亀:ムシュカ
「 供を連れて来てますぅ~~。
呼びますねぇ~~ 」
海亀さんは一緒に来たらしい供を呼んだ。
もう1体の海亀が浜辺へ来た。
どうやら海亀の甲羅の上に座れば良いらしい。
オレは海亀の甲羅の上に跨がる。
……………………甲羅の上に乗って「 サーフィン、うぇ~~~~い★ 」って、やりたく思っちゃう子供の気持ちが分からなくない……かも知れない。
流石にサーフィンは駄目だよな。
マオ
「 亀さんの甲羅の上に跨がるなんて初めてだよ!
なんかさ、浦島太郎になった気分かも 」
セロフィート
「 マオは浦島太郎体験したいです? 」
マオ
「 言ってみただけだから!
マジで何もしないでくれよ!
爺さんになる煙が出る玉手箱とか要らないからな!! 」
セロフィート
「 最後には鶴となり空へ去って行き、 “ 鶴の恩返し ” へ繋がるんですけど── 」
マオ
「 そういう大ホラは吹かなくて良いからさぁ! 」
セロフィート
「 はいはい 」
セロは声を出さないで上品にクスクスと笑っている。
セロは海亀さんの甲羅の上に座っている。
オレみたいに跨いで座っている訳じゃない。
着ているコートを脱がないとセロの場合は跨いで座るのは難しいかも知れない。
海亀さんと供の海亀さんが海へ入って行く。
衣服に海水が染み込んで身体が冷たくな────らない!?
そうか、この衣服はセロがオレの為に用意してくれたんだ。
通気性も抜群だけど、防水性にも優れているから海水も染み込んだりしないんだ!
その代わりに顔と髪と両手は海水に濡れまくってるけどな!!
海中で目を開けていられるのは不老不死だからかな?
海亀さんと供の海亀さんはどんどん深く潜って行く。
あんまり深く潜られると水圧で潰れちゃうんだけどぉ!?
口に鱗を咥えている所為で声を出せない!
……………………どんな場所に連れて行かれるのか不安だぁ~~!!




