第二十六章62 【アンサー・クリエイト/アンサー・クリエイト3】62/第13班/【出鱈目の序列第0席】に逢いに行く11
【友也】は、【弓弦】を呼びつけ、集団で暴行した。
そして、【弓弦】が考えた【アート】を奪い、
「これは俺達が有効に使わせてもらう。
嫌われ者のお前にはもったいない出来だ。
この作品も俺達の作品として発表された方が幸せだ。
お前もそう思うだろ?」
と憎まれ口を叩いた。
【弓弦】は、
「や、やめろ・・・
やめてくれ・・・
それは俺がやることに意味があるんだ・・・
お前達じゃ、その良さは引き出せない・・・
それに約束したんだ・・・
あいつに・・・
悲しませてしまったあいつに・・・
贈りたいんだ。
だから、他のものなら何でもやる。
金が欲しいなら持ち金を全部やったって良い。
でも、それだけは・・・
それだけはやめてくれ。
奪わないでくれ。
それは大切な・・・」
と【友也】にしがみつく。
【友也】は、【弓弦】を蹴り倒し、彼が作った【アート】を持ち去ってしまった。
後にはボロ雑巾の様な【弓弦】だけが取り残される。
そこへ【遥香】が駆けつける。
「何があったの?」
【遥香】が尋ねる。
【弓弦】は、
「俺の何が行けなかったのかな・・・
俺は自分の信じた道を進んでいるだけなのに・・・
悔しいなぁ・・・
なんでなんだろうなぁ・・・」
と悔し涙を流した。
【遥香】は、
「大丈夫。
奇跡は起こる。
起こせるよ。
何をしたかったの?
私に話してみて」
と言った。
【弓弦】は、
「お前に・・・言っても・・・なぁ・・・」
と言った、
「教えて。
お願い」
「・・・俺にはさ、恩人が居るんだよ。
【道治】って言う奴なんだけどな。
そいつとの友情が壊れちまってそれを取り戻したくて頑張ってそいつと約束したアートを作ったんだ。
だけど、【友也】って奴が裏で糸を引いていて、俺とそいつの友情の証を奪っていった。
あいつのバックには政治家の父親も居る。
もう、取り戻せない・・・」
「大丈夫。
私には奇跡を1つだけ叶える力が与えられている。
私を信じて。
それで全て上手く行くから」
「信じる・・・
俺に出来るかな?」
と言う【弓弦】の唇にそっと口をつけ、
「大丈夫。
私を信じて」
と繰り返す。
その表情は悲壮感があるものではない。
喜びに満ちた笑顔だった。
【弓弦】のために自分の命を使える。
これほど嬉しい事はない。
そう思う笑顔だった。
彼のためなら死も怖くない。
そのための悲しい笑顔だった。




