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REbirth  作者: 柚菜
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第六話

運命を変えた日のひとつは多分今日だった、と思う

なんていうのかな、こういうの。もっとティアにしっかり字習っておけばよかった。あれだ、あれ。

彼女たちと『腐れ縁』になった日。あれ、なんか違う?こういうのなんていうんだっけ。

ああ、そうだ。『友達兼仲間』にきっと今日既になってたんだ


(エンデの手記より)




親子の絆、『陰謀』の章











主に、同乗者くん――エンデの活躍によって馬車は殆ど壊れていなかった

ゆえに再び乗り込み、日が沈む前に王都には着けそうにないとのことで四人、座って寝ている

寝転んでいる、のが正しい。皆目を閉じてすら居なかった

「いやぁ、それにしても、」

不意に、運転手さんが喋りだした。声は静かなものだが興奮した響きがある

「僕は自分のことで必死で見れてなかったんだけどさ、すごいね、やっぱり!

あの数の魔物に囲まれて…僕は死を覚悟したね、ほんと!生きてるなんて…やっぱり魔法?金髪のお姉ちゃんも…まっさかあの降星ミーティアと同じ体術使ってないよね、うん?」

ティアからの返事は小さなものだった

「…私たちの種族は、戦闘種族ではない。それに戦闘に出るとしても体術を使う人は居ないと言ってもいい」

相変わらず無感情な平坦な声だった

「そうか、だよなぁ!!気持ち悪いよな、体術なんてよ。降星だって、なんであんな種族居るんだろうな?」

今度は誰からの返事も無かった。ありゃ、と運転手が不思議がる

「ま、姉ちゃんたちは若いからな。そのうち、落ちた食べ物で腹を足すような奴らの気持ち悪さも分かるさ」

軽快な笑いが馬車の中にこだまする。隣を見ればエンデが手を握り締めるでもなく深くフードを被り直した

「ま、本当のことだからねぇ」

小さな呟きは、多分俺の隣のティアにも聞こえてる


「…ぷぴぃッ!?」

――いつの間にか寝ていたらしい

勢いよく起き上がれば、ティアが目を丸くしてみていた

「お、おそよ」

「ういー…、」

「何の夢見てた?」

周りを見渡す。馬車は既に走り始めていた。前方から運転手の鼻歌が聞こえる

横ではエンデがこっちを見ていた。

なんで二人して目を丸くしているのだろう。いや、確かに今奇声をあげたけれど

「なんかな、黒髪の長い人がこっちに話しかけてくるんだよ。それで何かな、って思ったら急に走り寄って来てさ。それが…髪の毛振り乱して走ってくるもんだから、怖いのなんの…」

「…『ぷぴぃッ』?」

「あ、うん。最後こけて目が覚めた。ていうか無表情で言わないでくれ。なんか怖い」

「ごめん。」

「二人とも。もうすぐ王都に着くよー?」

エンデが不意に声を出す。それに応えればエンデがか細い声で告げる

「王都に入ってもし僕に会っても話しかけないで。僕らは会ったことなんてないから。」

は、と声を出そうとした瞬間に、前方から「もうすぐ着くぞ、仕度しておけー」と声がかかった

それを聞いた後に、ティアがわかった、と了承の返事で応える

どっちに対しての返事かは分からなかった。でも、きっと、多分両方

がたん、と馬車が大きく揺れる。王都に入ったらしい

そのまま、馬車は静かに進む





「おおッ、なんだこれーッすげぇー!!!」

馬車から足を踏み出した瞬間に思わず大声を出す。後から出てきたティアに邪魔で通れない、と足でどかされた

しかしだ、今の俺はそんなこと気にもならない

「人、すごい人だなおい!店が道の両端、じゃない両脇にぎっしりあるぞおらぁ!!なぁ、ティア、すっごい屋敷が向こうにいっぱいあるぞ!って、おい!向こうにあるのが城か!?空に近いな、大きいな!!ティア!!」

「…うざぁ…」

「なんて顔してるんだよ!折角ここまで来たのにyo!あ、おいあの店なんだあれ、みたことない果物だ!お、でもあれはリオルだな!」

「…うざぁ…」

ばたばたと人が行きかう街へと俺は脚を向けた。心がわくわくしてはちきれそうだ!

店がいっぱいある。さあどこへ向かおうか?

だから、俺はティアとエンデを置いていってことに気付かなかったとしても仕方が無いと思っている。俺は悪くない

「…エンデ」

フードを再び深く被るエンデにティアは話しかけた。けれども目線はユウナが走っていった方向にあり、エンデには向いていない

「それじゃ、ばいばい。

それから、恥じることはないよ。自分まで、自分を見下げてみるのは駄目」

それだけ一息に言ってティアがユウナの元へ走り出した

走り出した、彼女は。背中に重いものを背負って走る彼女を見送ってからエンデは溜息をついて自分の居場所へ向かった

――そんなことしてない、と胸を張って言えない自分が居る


「ティアーッ!?ティアどこだよー!?」

おろおろと辺りを見回す。けれども周りにはいっぱい人が居てよく分からない

確か馬車降りて…ああ、置いていったのか俺!

「ティアッ!?ごめん、置いていってお店見てたのは悪かった。だけど」

どこだろう。人がいっぱい居る

大きな迷い子は道の真ん中でただ呆然としていた

――王都。こんなに人がいっぱいいるなんて

ティアを目で探しつつ、思わず溜息をつく

この中で見つけられるわけない気がする。

今まで見てきたものの少なさを思い知らされた気がした。ティアと旅をしはじめて数日。たった数日で色々と知ったことがある

人が生きて暮らす。その生活の重さ

少しずつ分かっていけるはずだと思う。こんな、こんな自分でも

たとえ、人間とかけ離れている自分でも、人間として生まれてきた自分だから、人間として生活してこなかった自分でも

分かっていけるのだ。きっと


――あれ、


「なんだ、そりゃ」

ぽつり、と小さく自嘲した

人の波は良くない。感情が高ぶって変なことを考える。そう、俺は大事なことを忘れてる


「馬っ鹿じゃねぇの、俺」

ユウナがどんどん言葉遣いが男らしくなってきた気がする

エンデの名前がようやく出せました。エンデくん、旅についていくかどうかはまだ不明です


誤字脱字あったらお知らせ願います

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