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余命100ありがとう  作者: Q輔
第一章「余命宣告」
9/46

ありがとう 9

 アルバイトを辞めた翌日、僕は病院へ行った。


 感謝病かんしゃびょうは不治の病。これといった治療法がない。だから、その日も、ただ検査をした。


 先生に訊いたら、明日も、明後日も、ひたすら検査をするらしい。


「そうやって検査を繰り返しているうちに、万に一つの確率で治療法が発見されるかもしれない。それに掛けるしかない。頑張りましょう、スズキさん」


 先生はそう言う。

 

 僕は、次の日から、病院へ行かなくなった。治療が馬鹿らしくなったというか、生きる気力がなくなったというか、とにかく、それから3日間家に引き籠って寝込んでいた。


 その日も、夕方まで寝ていた。


 目を覚ますと、目の前に、恋人のルミがいた。


「わあ! びっくりしたあ! どうしてルミがここにいるの?」


 アパートの、僕の散らかった部屋を、せっせと片付けている。


「どうしてじゃないでしょう? 大学には来ないし、何度電話を掛けても出ないし、ラインは既読にならないし、心配して家に押し掛けるに決まってるじゃない」


 テーブルの上を布巾で拭きながら、ルミが言う。


 当たり前だろう。これまで通りルミと会って遊んだり、電話でお話しをしたら、どれだけ「ありがとう」と連呼してしまうか分からない。苦渋の決断として、あえてルミとのお付き合いを断っていたのだ。


「どうやら、風邪が長引いているみたいね。安心して。あなたの風邪が治るまで、私が、このアパートに住み込みで看病してあげるから」


「ええ!……いや、でも」


「ケンイチは、よくできた彼女を持って幸せね。あら嫌だ、自分で言ってりゃ世話ないか。あはは。ほら、少しは感謝しなさい!」


「……ありがとう」



……余命、あと91回。

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― 新着の感想 ―
[一言]  いいコだ♡  もう、このコの胸で、死ぬまで感謝しまくって、逝ってしまいたい。  あ、このコのトラウマになるか(汗)
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