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余命100ありがとう  作者: Q輔
第五章「結婚」
43/46

ありがとう 43

「ねえ、ルミ、あなたは、日常生活の中で、目眩めまいがしたり、重度の倦怠感を感じたりすることはない?」


 ルミが落ち着きを取り戻したのを見計らって、お義母さんが、ルミに話しかける。


「……ママ、何よ突然。質問の意味が分からないわ」


 ハンカチで涙を拭いたルミが、首を傾げる。


感謝病かんしゃびょうの症状よ。パパの家系には感謝病かんしゃびょうで亡くなった人が多いらしいの。癌と一緒で、なりやすい家系があるって病院の先生がおっしゃっていたから、ママ、あなたが心配で……」


目眩めまいや倦怠感? 月イチの生理の時に、あると言えばあるけど、今は妊娠中だし……」


「吐血したりしない?」


「するわけないじゃん! ケンイチじゃあるまいし!」


「嫌だ。ケンイチくんは、吐血するの?」


「いや~、一時期、体調が優れない時期があって……でも、今はすっかり治っています。あはは」


 ばれたか?……いや、どうやら大丈夫そうだ。急に話題がこちらに向いたので、僕は焦った。


「ケンイチくんもルミも、もう一人の体じゃないんだから、とにかく健康には気を付けてね」


 お義母さんの言葉が身に染みる。「実は僕も感謝病かんしゃびょうなのです」と喉まで出かけるが、やはりとても言い出せない。


「うん、気を付けるね。ママ、ありがとね」


「お義母さん、ありがとうございます」



 ……余命、あと57回。



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― 新着の感想 ―
[一言]  そのタイミングで血を吐くのでは? (笑)
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