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ありがとう 40
「――お義父さん、今なんと?」
「子供が出来たのだろう? こいつは、めでたい。ルミ、ケンイチくん、おめでとう。」
「パパ、ありがとう!」
ルミが、ベットに横たわるお義父さんに、抱きついている。予想外にあっさり承諾するので、僕は椅子からずり落ちそうになった。
「ルミ、産む気だろう? せっかく授かった命だ、産まなきゃ駄目だぞ」
「何を心配しているの、パパ。産むに決まってんじゃん!」
ルミとお義父さんがはしゃいでいる。
頃合いを見て、僕は次の報告をする。
「つきましては、僕とルミさんは、子供を産み育てるために、大学を退学して、働こうと思っています」
「了解!」
「ありがとうございます。…………えっ?」
……余命、あと60回。




