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余命100ありがとう  作者: Q輔
第三章「ボーダーライン」
23/46

ありがとう 23

 ね、吐血した。


 だぶん、かな? と予測していたが、やっぱりね、吐血したよね。


 僕は、懲りずに考えた。


 でもやっぱり、感謝病かんしゃびょうの闘病を始めるにあたりするべきことは、どの『ありがとう』がセーフで、どの『ありがとう』がアウトなのか、そのボーダーラインを見極めることではなかろうか。うん、ぜっってーそうだよ。そうじゃなきゃ嫌だあ!


 よし、思い立ったら吉日。さっそく検証を始めよう。


 これまでのように、アウトの場合は、『けぽっ』と吐血をする。その吐血が、今後も判定基準になる。


 性懲りもなく、表参道を一人で歩く。


『ありがとう』を、戦国時代の武士言葉に変換したら、どうだろう?


 ひょっとしたら、現代人の僕が、現代語で『ありがとう』と言うからアウトだったのではないか?


 きっとそうだ。現代人の、現代語の『ありがとう』はアウトなのだ。


 では、すんごいネイティブな戦国時代の武士言葉で感謝伝えたら、どうだろう?


 感謝病かんしゃびょうの病原体が、僕の発言だと気付かず、うっかり見逃してくれるのではなかろうか?


 表参道を闊歩する。


 頃合いを見て、僕は、道にわざとハンカチを落とす。


「あの~、ハンカチを落としましたよ」


 僕の背後から、親切な人が声を掛けてくれる。


 ……ネイティブな戦国時代の武士言葉……ネイティブな戦国時代の武士言葉……ネイティブな戦国時代の武士言葉……


 心中で呪文のように繰り返しながら、くるりと振り向いた僕は、ハンカチを拾ってくれた通行人にこう言った。


恐悦至極きょうえつしごくぞんじます」


 けぽっ。



……余命、あと77回。

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  そこは「かたじけない」では? (笑) [一言]  つっこみ不在が命取り。
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