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余命100ありがとう  作者: Q輔
第二章「同棲」
20/46

ありがとう 20

 けぽっ。


 僕は、三たび吐血した。


 駄目だこりゃ。マジで死ぬわ。


「……別れよう」


 僕の体を抱きしめるルミに向かって、僕は、決定的なセリフを言った。


「え?」


「聞こえなかったのか。別れよう。そう言ったんだ」


「何でよ!」


「……聞くな。今は黙って出て行ってくれ」


「他に女でも出来たの?」


「……出ていけ」


「それ、本気で言っているの? 私、本気で出て行くよ? ケンイチと本当にお別れしちゃうよ?」


「……出ていけ」


 ルミは、ひっくひっくと嗚咽をしながら、荷物をまとめ始めた。ルミ、ごめん。今はこうするより仕方が無いんだ。


 荷物をまとめ、玄関で靴を履いたルミが、振り向いて僕に言う。


「はやく元気になってね」


「……出ていけ」


「ご飯、ちゃんと食べなきゃダメよ」


「……出ていけ」


「ケンイチが私のことをどれだけ嫌いでも、私はケンイチのことずっと好きだからね」


「はやく出ていけってば!」


「ケンイチ、今日まで、いっぱい、いっぱい、ありがとう! あれ、ごめん、約束の言葉で言うんだったね。ケンイチ、今日まで、いっぱい、いっぱい、うるせえバカヤロー」


 号泣をしたルミが、部屋を飛び出す。


「ルミ、うるせえバカヤロー!」


 僕は、消えかかるルミの背中にそう叫ぶ。


 そして、静まり返った部屋でこう呟く。


「うるせえバカヤロー。……ほんと、こちらこそ、ありがとう」


 


……余命、あと80回。

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― 新着の感想 ―
[一言]  どうせ独り言で言うなら。  本人に言ってやればよかったのに。
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