2/46
ありがとう 2
「す、スズキさん! 言ってる側から感謝をしないで下さい!」
先生が、真っ青になって、僕の口をふさぐ仕草をした。
「しまった~、つい言ってしまった~」
僕は、診察室床に膝をついて、打ちひしがれた。
「とにかくこれからは、軽々しく感謝を口にしないことです。うっかり命を縮めてしましますよ」
「はい、すみません」
「では、今後の治療などについては、また明日説明をします。本日の診察は、これでおしまいです。スズキさん、流石に疲れたでしょう。今日はゆっくり休んで下さいね」
「ありがとうございます」
……余命、あと98回。