元気な令嬢
僕が1週間滞在させてもらう部屋は、日当たりの良さそうな中庭に面した2階の眺めのいい部屋だった。
テラスに出ると花々のとても良い香りがする。
邸宅の庭を見ればその屋敷の庭師の腕が伺える。
さっき何とかお爺さんとかアルメリア嬢が言っていたような気がしたが、よほどの腕のある庭師なのだろう。
ノックの音がしたので室内に戻り、入室の許可をするとアルメリア嬢がひょっこり顔を覗かせた。
「父様から殿下をサロンにお連れするようにと言われました。家族の紹介をしたいのですが、お疲れでしたらまた別の日に場を設けると父様が言っておりますが、いかがいたしましょう?」
「ありがとう。皆さんにお会いしたいのでお願いします」
パッと花が咲くように笑うと「喜んで!」と言って駆けて行ってしまう。
僕はどこに行けばいいんだろうか?
一緒についてきた僕の従者のランバートが笑いだす。
「元気なお姫様ですね。私は殿下をどちらにお連れすればよろしいのでしょうね」
「さあな?僕にも分からない」
しばらく待ってれば戻ってくるだろうと待っていると、慌てたようなノックの音がしてアルメリア嬢が戻ってきたことを知らせる。
顔を真っ赤にしながら何度もごめんなさいと謝りながら、中庭に面した木の温もりの溢れるサロンに案内された。




