ガーデンパーティー
次の日は王室自慢の庭園でのガーデンパーティーに参加する。
いつもの中庭は王族と招かれた人しか入れないが、大庭園は先日の舞踏会を行うダンスホールの前なのでパーティーの時に訪れる人や、毎年花祭りの時にガーデンパーティーで人々の目を楽しませてくれている。
この庭にはレンの大御祖母様が好きだった黄色いバラの全種類があると言われ、今の時期黄色で埋め尽くされるかのように咲き誇っている。
今日は控えめな衣装と言うことで、黄色の中でもあまり目立ちすぎないよう薄いクリーム色にピンクと赤の花が大きく刺繍されたドレスを着ている。
反対に赤が際立って目だってしまうかと危惧したが、周りのご令嬢の衣装のが華やかすぎるくらいだったので、私のはちょうどよく感じる。
「今日のリアもとっても綺麗だよ」
と、相変わらずレンはべた褒めしてくれるが、今日も王太子の正装がまぶしいくらいで見惚れてしまい、頬が赤くなってしまう。
そんな私の反応に余計に嬉しそうにレンは笑った。
先日レンの婚約者として紹介された私は、今日はレンの横で微笑んでいることが要求されている。
王太子妃教育の賜物!
私の微笑みは完璧なのだ。
昨日陛下と一緒に各地方の領主様との謁見をされたレンのところに、次々にあいさつに来られる方とレンは難しい話をされている。
私はお飾り王太子妃になるつもりはないので、レンと一緒に少しは各地域のことを勉強している。
レンに紹介をされながら記憶の中の名前とその領土について思い出しながら、話をする。
これからは私にもレンの背負うものを一緒に背負っていく覚悟が必要なのだ。
ご一緒されている奥様やご家族とも談笑しながら、ガーデンパーティーを無事に終えることが出来た。
「つかれた~」
窮屈なコルセットを取り払い、ゆったりとした部屋着に着替えてソファに沈み込むように座る。
「お疲れさまでした」
ミーナが濃いめに入れた紅茶に砂糖とミルクをたっぷり入れたロイヤルミルクティーを淹れて私の前に差し出してくれる。
(おいし~)
甘さとミルクのコクが体に染みわたる。
ほっとしていると、軽くノックがされ普段着に着替えたレンが入ってきて、私の隣に座り優しく両手を取り労いの言葉をかけてくれる。
「リアお疲れ様。初めての王家の花祭りは疲れたでしょう」
「そうですね。初めて王族の立場での出席でしたので緊張しました。明日からの予定は、どうなりましたか?」
「特に俺たちを指名する人はいなかったということで、残りの花祭りを二人で楽しむことが出来るよ」
「ほんと!嬉しい!!」
レンの言葉に嬉しくなって両手をレンの首に回して抱き着いた。
ビックリする気配を感じるがレンの両手も私の腰に周りぎゅっと抱きしめられる。
「そんなに喜んでもらえてよかった。明日は二人だけで花祭りに行こうね!その次からは、ジュロームやユウヤ殿下たちとも一緒にお祭りを楽しもう」
明日はリアを独り占めするからねと呟き、軽く触れるだけのキスをされた。
だから明日はペアルック!となんだか嬉しそうなレン。
「あのスケスケでいいの?」
「大丈夫、対処法は考えてあるから!」
片目を瞑りウインクするレンは、色気の中にいたずらっ子のような雰囲気もあり、私も明日が楽しみになったのだった。




