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転生モブ令嬢の幼なじみはヒロインを御所望中  作者: いちご
花祭りと婚約と(17歳編)
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東国の要人

花祭りに参列してくださる各国の要人の方々の来国が始まった。

そして今日待っていた彼らが到着する。

私はまだ婚約者として発表されていないので、お出迎えをするわけにはいかずレンからの声かけを自室で待っていた。


「姫様、来たみたいだぜ!殿下が南の応接室に通されたから、一緒に来てくれって」


「はい!今行きます」


パッと扉を開けて出てくる私に、姫様警戒心無さすぎ!とジンさんが苦笑する。

だって、楽しみだったんだもん!と弁解する。

でも、今日はミーナはカサヴァーノ邸宅に呼び出され居ないため、そばには代わりの王城の侍女がついてくれている。

確かに彼女と私では賊に侵入されたら対処できないわね。

肝に銘じますと反省する。


ジンさんに連れられ南の応接室に行くと、そこには東国の代表として来られた第三王子のユウヤ・ダイレン様と赤毛の婚約者様がソファに座っていらした。

私は深くお辞儀をし、口上を述べる。


「ユウヤ殿下この度は東国からルノアまで、遠い道のりを起こし頂きありがとうございます。滞在期間、婚約者様とご一緒に花祭りをお楽しみ下さい」


「アルメリア様、お久しぶりです。体調が回復されてよかったです。また、ますますお美しくなられたようですね。ここにファーレン殿下がいらっしゃったら、間違いなく牽制されてそうで、くくくく、ぜひ見たかった」


「これから滞在中いくらでもお目にかけることと思います。お恥ずかしい限りです」


笑いを堪えるユウヤ様には苦笑しかでない。

レンはユウヤ様とあまり上手にお付き合いすることができない。

やっぱり昔の自分の顔を相手にするのは苦手なのかもしれない。

それに私がユウヤ様の顔が好きなのが気に入らないらしい。

うーん、好きなのは顔だけなんだけどな。


「アメリーお久しぶりです」


「フレイア、お元気そうで何よりです!」


そう、この赤毛の女性がフレイアなのだ。

赤毛は染めているわけではなく徐々に色が変わっていき今ではあの当時のチェリーブロンドは見る影も無くなってしまった。

でも、フレイアにはこの髪の色の方が似合うと感じる。


「フレイア!髪の色とても綺麗ですね!それに今のフレイアにとても似合っています」


「ありがとう。色が変わっていく時は不安だったけど、ユウヤがたくさん褒めてくれるし、アメリーにも褒められてよかった!!」


隣のユウヤ様ににっこり微笑みながら話すフレイアはとても幸せそうで、隣のユウヤ様も優しく頭を撫で甘い雰囲気を感じる。

そして髪の色が変わるだけで、雰囲気も変わり一年前に国外追放となったフレイア・バーミンガムとは誰にも気づかれることはないだろう。

今回は東国の第三王子の婚約者フレイア・グレゴールとして中々大胆にルノアに戻ってきたことになる。


「待たせてすまない」


「いえ、私たちも今着いたばかりで、アルメリア様にお出迎えいただいたところです」


王太子の正装を着たままのレンが部屋に入ってくる。

この正装、いつも以上にレンがカッコよく見えてしまうから困る。

次の予定があるので、レンは短い時間だけしか滞在できないようだが、お茶が運ばれてきたことで休憩を兼ねて話をする時間が持てた。

私とフレイアは文通をしているが、会うのはあれ以来になる。

レンに結婚して来国するって言ってたよな!と言われたユウヤ様は、娘が帰ってきて嬉しいグレゴール団長が娘の結婚を渋り、やっと婚約だけは許してもらえたのだと話す。

そりゃあ3年ぶりに帰ってきた愛娘を離したくない親の気持ちも分かるからねと言う。

それよりもお前たちは婚約発表すらしてないではないかと言われてしまう。

俺たちの方が先に進んでいるんだから、細かいことを言うものではないと正論で返されてしまう。

ぐぐぐ・・・おっしゃる通りです。


ノックの音と共にジュローム様がレンを呼びに来られる。


「殿下お時間です」


「分かった今行く。それではユウヤ殿下失礼致します。リアはゆっくり話をしてきてね」


私の額にキスをしてから、レンは部屋を出ていく。

どこぞのアイドルか!と思うほど、秒単位のスケジュール。

王太子は大変だなぁ。

見送ってからお茶を一口飲むと、私を見ながらユウヤ様が話し出す。


「相変わらずの独占欲を見させていただき楽しかったです。それは彼からの贈り物ですか?」


私は左の薬指の指輪を見る。

細い金の指輪には小さなエメラルドがぐるっと一周埋め込まれている。

花畑から帰ってきて寝てしまった私が起きると、指にはまっていてびっくりしたのだ。

ルノアには婚約指輪も結婚指輪もする風習がない。

でも、元異世界人の私に合わせてレンが送ってくれた婚約指輪だ。

結婚指輪は二人で選んで、お揃いのをつけようねと約束している。


「自分の色で自分のものと主張している辺りが、彼らしいですね。でもルノアには指輪を贈る風習はないですよね。東国にはあるので」


「ほら!これは私がユウヤから贈られた婚約指輪!!」


フレイアが琥珀が付けられた金の指輪を見せてくれた。

東国には前世の日本と同じような習慣が結構多くある。

勉強で色々な話しを聞くうちに、よく似ているなぁと感じていたが、その国の食文化はやっぱり大事だと思う。

でも私は今はルノアに住んでいるので、ルノアの食文化を後世に広めたいと考えている。

この思いが王妃になった時に、文化への貢献に繋がったのかもしれない。


その後、フレイアとユウヤ様と話が弾みレンには悪いが、楽しいひと時を過ごす方ができた。

来週の式典で会うことと、その後一緒に出かける約束をして別れた。

頑張って式典を成功させようと心に誓った!

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