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転生モブ令嬢の幼なじみはヒロインを御所望中  作者: いちご
花祭りと婚約と(17歳編)
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泣き虫なお嬢様をよろしくお願いします

リハーサルが終わっても、レンの難しいことを考えている時の厳しい表情は変わることはなかった。

声をかけても上の空、私何か間違えたかな。

ぼーっとしちゃったのがいけなかったのかな?

シュンとしている私にも気づかないほど、厳しい表情。

一緒の馬車に乗って王城に帰る道もずっと無言。

ダメだ、泣けてくる・・・下を向いていた私の目から涙が出てきてスカートにシミを作る。


「え?!リア、どうしたの?何かあった」


私が泣いていることに気づいたレンが慌てて、ハンカチを差し出して隣に座って背中をさすってくれる。

え?私が何かしたんじゃないの?!

でも、今何か話したら嗚咽が漏れそうで何も言えない。

ゆっくり息してと言われて、自分が息することさえ忘れていたことに気づく。


「ご、ごめんなさい。わた、し、何かまちが、えた?!」


エグエグ泣きながらやっと言うと、?顔のレン。

だって私がダメだから怒ってるんでしょと言うと、


「俺、怒ってた?怒ってないよ、リアに怒るわけないじゃん」


「だって怖い顔して、話もしてくれない。こっちも見てくれないもん」


私の言葉に驚きの表情をするとごめんね、と言ってギューっと抱きしめてくれる。


「泣かないで。ごめんね、思うところがあるというか、人のことを振り回そうとするあいつらに腹が立つというか。決してリアのこと怒っていたんじゃないよ。嫌な思いさせてごめんね」


ごめん、ごめんねとポロポロ溢れる涙を指で掬い目元や頬、額に優しくキスをしてくれる。

久しぶりに泣いたけど、レンはいつもと同じように私を泣き止ませようとオロオロしている。

前に私が泣くと、どうしていいかわからなくなると言っていたけど、今も同じなのかもしれない。

泣いてごめんなさい・・・ううん、俺の方こそごめんね。

額をコツンとくっつけて2人で謝りあった。



私の母様にご用事があるというので、自宅に寄ってから王城に帰ることになる。

陛下からのご用事かしら?

神殿からお帰りになった母様と父様にレンがお会いしている間、私はウタのところでアッシュを抱っこさせてもらいながら、お茶をいただくことにする。

またすぐに来れて、会えて嬉しい!

でもウタには私が泣いたことがすぐにわかってしまったが、大丈夫と言う私の顔を見て安心したような目をする。


「昔のお嬢様の大丈夫は大丈夫ではなかったですが、今は殿下がいらっしゃるからでしょうか。お嬢様の大丈夫が信じられるような気がします」


「ウタ酷い!!」


アッシュも賛同するかのように急に泣き出してしまい慌てる私をウタが笑ってオムツが濡れたかな?と私の手からアッシュを抱き上げる。

オムツを変えてもらいベットで、スヤスヤ眠るアッシュは本当に天使だ。

可愛い!



ノックの音がしてレンが顔を覗かす。


「お邪魔します。ウタ出産おめでとう、アッシュに俺も会わせてほしいな」


殿下恐縮ですと、眠るアッシュのそばにレンを案内する。


可愛い!と言うと小さな手に自分の手を重ねると目を瞑り『光の神のご加護を』と小さく祈りを捧げると人には見えないくらいの金の光がアッシュを包み込む。

すごいね!花の女神と光の神の加護を受けたのだから、元気に大きくなるね!


「殿下ありがとうございます。またお嬢様と一緒にアッシュの成長を見にいらしてくださいね」


にっこり嬉しそうな母の顔のウタだったが、「でも、殿下!」と急にいつものウタの表情になる。


「これからは殿下がお嬢様を守ってくださいね。それとこの顔、泣きましたよね!泣かせないようにしてください。ご存知の通り、お嬢様はかなりの泣き虫です。心の中に溜め込んで夜泣いてることもたくさんありました。それをみんな受け止めて守ってください」


「は、はい」


ウタさん、人のことを指差してはいけないと思います。

でも、目の腫れも引いてるしなんで泣いたってわかっちゃうんだろう?!


「それとお嬢様!」


「はい!」


「お嬢様も一人で泣かないで下さい。あなたを守ってくれる人がいるんです。泣きたくなったら殿下の胸で泣きなさい。殿下はこれからお嬢様の家族になるんですから、今まで以上に甘えていいんです。悩まないで相談される方が、殿下も心配しないで済みますからね」


ウタは殿下に向き直ると頭を深々と下げた。


「数々のご無礼な物言い、申し訳ありません。でも、私の正直な気持ちです。お嬢様には幸せになっていただきたいのです。どうかどうか、私の大切なお嬢様をよろしくお願いします」


ブワッと涙が出てきてしまい、ウタに抱きつく。


「ウタが泣かしたんだからね!私、泣き虫なんでしょ!泣かせるようなこと言わないでよ!!」


「ごめんなさい」と言いながら、ウタの目尻にも光るものがあることには気づかないふりをしてあげる。


ウタは私のお姉ちゃんというより、これじゃあお母ちゃんだよ!!と思ってしばらく涙が止まらなかった。

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