約束とエメラルド
自宅に帰るにあたり大賢者様から守らなければいけないことが伝えられた。
一つ
学園ではレンのそばに居て常に魔力の安定を心がけること。
(離れるのも禁止と言われてしまうが、基本いつもと変わらないのでは?と思ってしまう)
一つ
レンと一緒でない時は、いつも以上に心を安定させること
一つ
絶対に癒しの魔力を使わないこと。
そしてなにより、無理をしないで楽しんできてください。
と言われた。
大賢者様は強面だけど、優しい人なのだ。
あと殿下からはこちらを、と言って大賢者様はレンに細長い箱を渡す。
間に合ってよかった、と言ってレンが箱を開けると中にはエメラルドのネックレスが入っていた。
「レン?これは?」
大きめなエメラルドがとても美しいネックレスを、レンが私の首にかけてくれる。
「エメラルドの石のところを握って目を瞑ってごらん。何か感じない?」
「・・・レンの魔力?!ちょっと温かな気持ちになれる感じがする」
あたたかなレンの魔力を感じる。
「どうしようもなくなったらこれ握って。普段俺の魔力を取り込む時みたいに、この石の中に込められた俺の魔力を自分の中に流すようなイメージでね」
「分かった!」
「石の魔力が少なくなる前に俺を呼んでね。呼びかけてくれたらすぐに行くから」
でもリアと離れるのが寂しいなぁ~ってぎゅっと抱きしめてくれるので、私もレンと離れるのは寂しいよと抱きしめ返す。
楽しんできてねとやさしくキスをされた。
一緒に行けなくてごめんと大門で見送られ、自宅に馬車で帰る。
久しぶりの我が家!
玄関外までお出迎えに出来てくれた家族を見て、馬車から降りた私の涙腺が崩壊し泣きながらノア兄様に抱き着いた。
「ただいま!!」
「「おかえり、アメリー」」
ノア兄様だけずるいとルイが私の腰に抱き着いてくる。
遊びに来るのとは違って今日はずっと一緒にいられると思うと凄く嬉しい。
ノア兄様が優しく微笑んで頭を撫でてくれるのを喜んでいると、中庭の東屋でウタが待ってるよと耳打ちしてくれる。
パッと顔を上げると、慌てないで行っておいでと送り出してくれた。
中庭に出る扉を開ける。
勢い余ってバン!と大きな音がしてしまったが、その時の私は全く気づかなかった。
その音に気づいて東屋で待っていたウタが気付いて立ち上がり、とびきりの笑顔で迎えてくれる。
「お嬢様おかえりなさいませ」
「ウタ!!ただいま!」
私はウタのところまで駆けて行き本当は抱きつきたい気持ちを抑え、目の前で止まりギューっと抱きしめた。
会えて嬉しい!嬉しいのに涙が止まらない。
「ふふふ、ほんとにお嬢様は泣き虫ですね」
コクコク頷き抱きついて離れない私の頭を撫でたり、背中をポンポン叩いてあやしてくれる。
私よりたった7歳だけお姉ちゃんとは思えない包容力。
すごく心が満たされ、気持ちが安定するのを感じた。




