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レンの護りの力と琥珀






「閉じ込められちゃいましたね」


やっと体が少し動けるようになり、壁に寄りかかってだけど座れるようになった。

フレイアは何も言わず、私の方も見ようとせず座り込んでいた。


「先ほどのユウヤ様の話は本当ですよ。王子は花祭りに来ていました。そして誰かを探していらっしゃいましたよ」


あの時の様子を思い出すと、周りを見渡し誰かを探しているような動きだった。

本当は何度もルノアに来ようとしたのだろう。

けれど乙女ゲームの補正でルノアに来ることがどうしてもできなかったのだと思う。

私の心の変化や行動でゲームの補正が追いつかなくなり、たぶんもうゲームとして機能していないのだと思う。

だから、ユウヤ様もルノアに入れた。


「ここから出よう。ユウヤ様に会おうよ、フレイア!」


「ダメだよ、私悪い子になっちゃったからユウヤに嫌われる。もう会えない」


「大丈夫よ。あなたの好きな人を信じてあげて」


私の言葉にうつむき、そしてまっすぐな目で私を見ると涙をポロポロ流しながら、フレイアはごめんなさいと謝った。

初めてフレイアの瞳を怖いと思わなかった。

フレイアは私を縛っている縄をほどいてから、扉が開かないか確認したりどこかに抜け道が無いか、まだ動けない私の代わりに探してくれるが、見つからなかった。

その時、


ドガン!ドーン!


と、上から大きな音が鳴りパラパラ天井が崩れ出し、小石のような破片が降り注ぐ。


「な、何が起きたの?」


「分からない、一体何が!!」


先ほどよりも大きな音が響き、床も揺れだし本格的に崩れ出した。

バラバラ大きな塊も降ってくる。

まさか、あのバカ侯爵次男(名前覚える気なし)建物ごと爆破して私たちを閉じ込める気なの!?っていうか、これでは閉じ込めるだけでなく瓦礫の下敷きになってしまう。


「危ない!フレイア!!」


立って周りを確認してくれているフレイアの頭上から少し大きめな塊が降ってきたのでフレイアの手を引っ張って私の方に引き寄せる。

ギリギリだったけど、なんとか間に合った。

フレイアがいたところには大きな瓦礫が降り、そのままいたら大怪我をしていたことだろう。

徐々に崩れていく天井を見つめ、二人で身を寄せ合い救助を待つ。

もうすぐ、絶対来てくれるから、それまでなんとかもって!

レン!!


ドーンと、また大きな音がした。

まったくあのバカ次男!助かったらレンに言い付けてやるんだからね!!


悪態をついていると、温かな光が私たちを守るように満ちてきた。

来てくれた、これはレンの光だ。

昨日見せてくれた光の力が、私とフレイアを包み込むのと同時に、屋根が落ちてきた。

私たちは、レンの光の壁のおかげで瓦礫に当たることはなく無事でいる。

レンの守る力はすごいと思う。

でも、これだけの時間この壁を維持するのはとても難しいことだと思うし、力の使いすぎでは!? 

レンの体を思うと心配になる。


「アメリー!どこだ、無事なら返事してくれ」


「ノア兄様!ここです!!」


その時、私たちを探す声がしたので大きな声で答える。

現れたノア兄様にももちろん魔力があるので、レンの光の壁を驚いて見ていたが、怪我もない私を見て安心そうな表情をした。

周りの瓦礫をどけ、私たちが抜け出せる道を作ってから、ノア兄様が手を伸ばしてくれたので、その手を取った。

フレイアは兄様と同じ騎士団の方が抱きかかえてくれていた。


私たちは、無事に地上に出ることが出来た。

地上に出ると、そこは凄いことになっていた。

床が抜けた小さな小屋があったと思われるところには大きな穴が空いている。

あのバカ次男どんだけ壊す気でいたんだ。


「レン!!」


地面に片膝をつき、肩で大きく息をするレンは魔力を使いすぎたのが一眼で分かった。

まだちょっと足がもつれそうだけど走ってレンの前に行き一緒に座り込み、そっと手に触れる。


「レン」


「リア、リア、よかった」


ギュッと抱きしめられる。


「レンが助けてくれたんだよ。ありがとう」


私もレンの首に手を回しギュッと抱きしめ返した。

ありがとう、あなたにもう会えないかと不安だったよと、抱きしめることで伝えた。



「ない!」


突然の叫び声に驚き、レンの手が緩む。

振り返るとフレイアが慌てて服の中を覗いたら振るったりしている。

レンの顔を見てから、離れることを目で伝えフレイアの方に向かおうとすると、急にフレイアが走り出し先ほど助けてもらった穴に飛び込んだ。

(まだ危ないのに何をしているの!)

私も慌ててフレイアを追いかける。


「ダメだ!リア!」


レンの声が聞こえたけど、ちょっと前の私にどこか似ているフレイアを放っておくことができなかった。



「フレイア!フレイア!どこ?」


「ないの、どこ?」


フレイアが何を探しているのか、すぐに私には分かった。

瓦礫の山の中かから、弱い弱い石の輝きを感じるから。


「フレイア、こっち」


瓦礫の中から石の輝きを感じるほうにフレイアを呼ぶ。

そこには割れてしまった琥珀のペンダントがあった。

先程瓦礫に当たりそうだったフレイアを引っ張った時、本当は少し間に合わなかったのかもしれない。

琥珀は彼女を守ったのだ。

フレイアは泣きながら石のかけらを集め胸に抱きしめる。


「琥珀が守ってくれたんだね」


主人を守るなんて凄いね、偉いねと話すと、フレイアはうんうんと頷き「ごめんね」と何度も何度も石に誤っていた。


危ないから地上に出ようと声をかけようとしたとき、フレイアの上の瓦礫が降ってきた。


(ダメ。間に合わない)


私は無意識にフレイアを守るように突き飛ばした。






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